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「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣)24 July 2023

24 July 2023

<ポイント>今週は日米欧政策会合など盛りだくさん

・先週は前週続落したドルが反発し、再びドルインデックスは100台を回復した。100割れはアンダーバリューとの指摘は取り敢えず当たったようだ。
・ドルの上昇にはそれなりの理由があった。
①ドル円は週初植田日銀総裁が緩和姿勢の維持を再確認した発言をし、YCC修正観測が後退したこと。
②ポンドの反落は発表された6月のCPIの伸びが予想を下回ったこと。
③ユーロの反落は、タカ派と目されるクノットオランダ中銀総裁やナーケ゛ル独連銀総裁が9月の追加利上げに対して明言を避けたことなどが挙げられる。
・金曜日には古沢元財務官のコメント「来週の会合で日銀がYCC変更をする可能性は低く、あればサプライズ」に反応してドル円は141円台後半に急伸した。
・今週は日米欧の政策会合(FOMCECBでは25bpの利上げ予想)の他にも米Q2GDP、欧米の7PMIなど重要イベントが盛りだくさん。
・注目はFOMC後のパウエル議長の発言でターミナルレート達成が示唆されるか?現在政策金利4.0%ECB9月以降の再利上げの可能性はあるが、最近のCPIの伸び鈍化を勘案すれば利上げ休止に傾いても不思議ではない。
・植田総裁は先週のハト派発言を翻すような“YCC修正”に言及すれば「彼は役者やのう」―ということで、インパクトがあろう。
・先週発表された6月貿易収支(通関ベース)は原油輸入額の減少(価格低下)を反映して久しぶりに430億円の貿易黒字を記録したが、足元の原油価格の反発が気になるところ(安値67ドルから足元77ドルまで上昇)。
・米欧英など主要国のターミナルレート達成観測がある一方、逆に日本の消費者物価の低下が遅れており、「何から何まで主要国とは逆の」日銀は早晩YCC修正を実施するだろう。従来からツイッターなどで「植田総裁はゼロ金利を捨ててイールドカーブを立たせる戦略を取るべき」と指摘しているが、この声が天に届くか?
・日本と主要国との金利差縮小は短期的には円買い材料となろうが、日本の金融政策が正常化に近づけば、日本経済・財政政策への金融面での庇護をはずれて、逆に“実力=本来の実態”に近づくわけで、それは決して円高を意味するものではない。
・ドル円は短期的に反落、中期的に大幅上昇と読んでいる。

 

 

 

◎<豪ドル相場>――ドル反発で豪ドル反落

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6722-0.6846  AUDYEN  93.77-95.78
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6650-0.6950  AUDYEN  94.00-97.00

・先週豪ドルは前週まで全面安であった米ドルが反発したことから67セント台前半に反落する一方、対円ではドル円の141円台への急伸を受けて95円台後半まで反発した。
・原油価格の77ドル台への反発にリードされて商品相場(CRB Index)が308台まで上昇し、発表された6月雇用統計が前月の非常に強い数字にもかかわらず、就業者数が+3.26万人(予想+1.5万人)、失業率3.5%(予想3.6%)と市場予想を上回る好結果となるなど、豪ドルサポート要因が目立つが、いかんせん「豪ドルは米ドルの受け皿」で、米ドルの急反発から軟調に転じた。
・今週のFOMCでの25bp利上げで米金利がターミナルレートに達する可能性があるが、RBAについても状況は同様であり、今週水曜日に発表されるQ2及び6月月次のCPIの伸び率が予想通りまたはそれ以上に鈍化すれば、RBA利上げ終了観測が強まるだろう。
・豪ドルは指摘しているように、ここまでのRBAのアグレッシブな利上げが経済に与える影響が懸念されることなどから、自力で70セントを上回る状況にはないが、一方円クロスなどクロス取引の堅調が豪ドルをサポートし、大きく下落する状況にもない。
・暫く66-70セントレンジでの揉み合いを予想する。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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