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シドニー発豪ドル見通し(12 February 2018)

<主なイベント・日程>

2/12(月)東京休場(建国記念日)、米1月財政収支、米2019年度予算教書
13(火)英1月CPI・PPI、クリーブランド連銀総裁講演
14(水)日本Q4GDP(速報値)、独Q4GDP、米1月小売売上高、米1月CPI
15(木)豪州1月雇用統計、米1月鉱工業生産・PPI、米2月NYK連銀製造業景況指数、米2月フィラデルフィア連銀景況感指数、中国春節休場(~21日)
16(金)米1月住宅着工件数、香港春節休場(~19日)、北朝鮮故金正日生誕記念日

 

<マーケットの焦点>
先週は前週金曜日の強い米1月雇用統計後の米債利回り上昇、株価下落の影響が続き、株式市場は歴史的な乱高下を演じました。
1/26日に日中高値26,616まで上昇にしたNYKダウは、先週木曜日の終値ベースでは23,860まで下落しました。終値ベースの前日比の変動を見ると月曜日-1,175、火曜日+567、水曜日-19、木曜日-1,032、金曜日+330で、結局前週末比では1,330ドルのマイナスです。 また日経平均も前週末比では1,892円のマイナスです。
係る株価乱高下を受けて先週月曜日には恐怖指数(VIX INDEX)も過去最大の上げ幅+20.01の37.32に跳ね上がり、結局29.06と高水準を維持して週を終えました。
今週もマーケットの焦点は引き続き株価動向となりますが、米企業決算が総じて好調であることや世界経済に深刻な問題が見当たらないことから市場の混乱も長くは続かないとの見方もあります。
しかし株価調整が長引けば米企業決算への影響も必至です。 株式ファンドは資金の引き揚げを加速させており、2月第一週で過去最大となる306億ドル(約3兆3,000億円)が流出したとウオールストリート・ジャーナルは伝えています。
今週月曜日には2019年度の予算教書が発表されますが、今後2年間で3,000億ドル(約33兆円)の増加が見込まれ、国債増発懸念、長期金利の上昇、ボラティリティーの増大となり、株価が既に“調整局面入り”したとの見方も広がりつつあります。
またFRBによる利上げ回数も年4回との見方が出ていた矢先で今回の株価の乱高下となり、再び3回程度の利上げ観測に戻りました。ただ株価の調整が更に大幅となれば利上げ観測が更に後退する可能性もあるでしょう。 今週は水曜日に米国1月消費者物価の発表がありますが今後のFRBの政策にも影響するものとして注目されます。
また16日には金正雲の父、故金正日の生誕記念日ですが、現在ピョンチャンオリンピックの融和ムードにある北朝鮮問題もそろそろオリンピック後の駆け引きが開始する可能性があります。
株価の乱高下のもとドル高・円高(欧州・資源通貨安)のリスク回避相場が先週広がりましたが、この流れが今週も継続するのかがポイントとなります。

 

 

 

<豪ドルマーケット>
今週の豪ドルは依然売り圧力強い中、アップ・アンド・ダウンでしょう

先週のレンジ: AUDUSD 0.7759-0.7954 AUDYEN 84.01-87.51

今週の予想レンジ:AUDUSD 0.7700-0.7900  AUDYEN 83.50-86.50
先週の豪ドルはリスク回避の動きに乱高下しましたが一時昨年12月以来の77セント台半ば、昨年6月以来の84円近辺まで下落しました。
発表された国内指標12月の貿易収支は-1.3bioと1年2か月ぶりに赤字となり(10月と11月は黒字に修正)、また12月の小売売上高は前月の+1.3%の大幅上昇の反動で予想を上回る-0.5%の下落となり、これらの指標も豪ドルの重石となりました。
今年最初のRBA理事会声明では「低金利が引き続き豪州経済を支える」とし「豪ドル高は経済やインフレの加速を鈍化させる」と述べ、一方金曜に発表されたRBA四半期金融政策報告書では2018年のGDPを3.25%、アンダーライイング・インフレーションを1.75%としたのは従来とほぼ変わらずでした。
豪ドルも1月の高値81セント台から既に一時77セント台まで下落し、豪ドル高懸念が後退してRBAにとっては適温水準になってきたというところです。 ただ今後世界の株価の調整が長引く場合にはリスク通貨豪ドルへの売り圧力の増加が予想されます。

更に本邦期末に向けた本邦機関投資家のリパトリ(円転)の動きの活発化が予想され、豪ドル円の上値を重くするでしょう。
また1月の中国貿易収支は輸入が前年比30%以上増えましたが、特に鉄鉱石、石炭、LNGなど鉱山資源の輸入増加は豪州にとって朗報です。 一方貿易黒字自体は輸入急増が原因となって前月の約半分に減少しており、これは中国経済にとって問題となります。
今週木曜から中国は1週間の春節祝日となりますが、中国株は2月に入ってから米国株を先取りする形で下落しており、中国が新たな懸念になる可能性も否定できません。
いずれにしても2月になってから株価の乱高下を含めて豪州内外共に豪ドル環境は悪化しており、足元は依然として売り圧力が増加する可能性があり要注意です。

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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