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豪州発豪ドル見通し(26 February 2018)

<主なイベント・日程>

2/26(月)米1月新築住宅販売、セントルイス連銀総裁講演
27(火)パウエルFRB議長下院金融委員会で半期に一度の議会証言、米1月耐久財受注、米2月消費者信頼感 28(水)中国2月製造業PMI、米Q4GDP改定値、米1月中古住宅販売指数
3/1(木)豪州Q4民間設備投資、中国2月財新製造業PMI、米2月自動車販売、米1月個人所得収支、米2月ISM製造業景況指数、米新規失業保険申請件数、パウエルFRB議長上院銀行委員会で議会証言
2(金)日本1月雇用統計 4(日)イタリア総選挙

 

 

<マーケットの焦点>

2月の初めの世界的な同時株安から約3週間が過ぎ主要国の株価も落ち着きを取り戻しました。
NYKダウ、日経平均共に前週末より100ポイント程度上昇し、株価暴落で一時37まで上昇したVIX INDEX(恐怖指数)も先週は16台まで下落しました。
ただ26,600台から23,800台に2,800ポンと下がったNYKダウは先週末で25,300と約半値戻ししましたが、依然として不安感は完全には払拭されていません。
同時に105円台まで下落したドル円は108円台手前まで反発しましたが、現在107円台を挟んだ取引で、こちらも上値が重いようです。
先週は大して大きなイベントはありませんでしたが、今週は豊富です。
まずパウエル新FRB議長の半期に一度の議会証言が26日と3月1日に下院、上院で行われますが、就任後初めてその肉声が聞けるとあって注目されます。 元々民主党下で任命されたイエレン議長に対して、トランプ政権下での任命であり、加えてブッシュ政権下で財務次官を務めた人間であるため、政府寄りで追加利上げに慎重であるとの見方があります。逆に利上げを加速させるような発言があればドル買いに市場は反応するでしょう。
またトランプ政権の大幅減税や国防費増加、インフラ投資で財政赤字が大幅に増加するとの懸念が聞かれます。格付け会社からのネガティブな評価が出始めればドルの信認が低下する可能性があります。
その他欧州中央銀行(ECB)は従来の方針通りに緩和政策を将来的に縮小する見通しであり、巨額の貿易黒字や景気拡大観測の元、ユーロ選好地合が継続しそうです。
一方懸念は4日に行われるイタリア総選挙です。 絶対多数政党不在に加えて右翼政党や反EU勢力が躍進すれば政治的混乱に結び付き、その動きが他の欧州諸国に連鎖し、再び欧州不安の火種になる可能性も否定出来ません。
今週は中国の製造業PMI(政府/民間)が発表されますが、中国では来年秋に行われる中央委員会全体会議(3中全会)を26/28日に前倒しして行うと発表しています。
週末に国営新華社通信は習政権は憲法改正を行って2期10年の国家主席任期の制限を撤廃する意向と言われ、習体制の長期化を目論んでいるようです。 この動きに対する反発も根強く、中国の経済のみならず今後の政治動向も要注意といったところです。
先週まで続いた株価回復の流れが果たして今週も継続するか、中折れとなるかが大きなポイントです。
 

 

<豪ドルマーケット>

今週の豪ドルは引き続き上値が重い展開でしょう

先週のレンジ: AUDUSD 0.7790-0.7935   AUDYEN 83.27-84.87

今週の予想レンジ:AUDUSD 0.7750-0.7950  AUDYEN 82.00-85.00
先週発表されたRBA議事録(2月理事会分)では「低金利が雇用改善とインフレ上昇に役立つ」と述べて緩和基調の継続を示しました。
一方の豪ドル相場のレベルについては「豪ドルは貿易加重ベース(TWIベース)では若干上昇しているが、ここ数年のレンジから見て比較的狭いレンジでの動き」と述べて、今現在の77-79セント当たりの豪ドル相場に対しては特に問題視していない模様です。
このスタンスは前週のロウ総裁の議会証言の内容とも一致します。
また発表されたQ4の賃金価格指数は前期比+0.6%(予想+0.5%、前回+0.5%)、前年比+2.1%(予想+2.0%、前回+2.0%)と予想をやや上回りましたが、内容的には民間の伸び鈍化、公共部門の伸びが上昇で、あまり楽観視できるものではありませんでした。
今週木曜日にはQ4の民間設備投資が発表されますが、一時の大幅減少傾向からは回復が見られますが、あまり市場の注目度は高くないようです。
株価反発はリスク通貨豪ドルをサポートしますが、一方先週は米豪10年債利回り格差が米国>豪州と逆転しており、高金利通貨の名折れとなっています。
3月の本邦期末を控えたリパトリ(資金還流)の動きもあり、豪ドル円を中心に豪ドルの上値は引き続き限定的とみています。

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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