未分類

政府なんか信じないぞ!

およそどこの国の国民でも、自分の国の政府に対して不満を持っているものです。

それもそのはず、国の一番大事な仕事は、国民からお金を巻き上げることだからです。昔は領主に年貢を納め、今日では国に税金を納めるわけです。

一生懸命に働いても税金をしっかりと取られてしまい、じゃあ、その分豊かな暮らしが送れるかというと、なかなかそうはいかず、不満が政府に対してぶつけられます。

もちろん独裁国家のようにあまりに圧政が続くと、国民の不満が反政府運動にまで高まり、政権交代や革命ということになりますが、では、先進諸国、民主主義国家ではそんなことがないかというと、必ずしもみなが満足しているわけでもありません。

民主主義国家であっても、政府の政策に対して、特に税金に対しての不満は消えず、なかなか政府の思惑どおりにはいかないもので、国民というものは常に不満を持つようです。

オーストラリアの国民は、政府に対して果たしてどんな気持ちを持っているのでしょうか。

モナシュ大学の教授による調査(Scanlon Foundation)によると、「the government is so stupid they can't even solve the simplest problems」(政府は本当にどうしようもない、簡単な問題ひとつ解決できやしない)なんだそうです。

政府は国民に対して正しいことをしていると信じていますか? という質問には、「常に」「ほとんどの場合」と答えた人は全体の30%です。68%は「たまに」「ほとんどない」と感じています。

この世論調査は2007年、2009年、2010年、2011年と4回実施されていますが、2009年を除き、年々、政府の信頼度が落ちて来ています。

特に国民にとって論議を呼ぶような問題が生じた場合は、政府の対応に対して国民の意見も二分されるようで、最近では難民移送問題がそうです。この点、オーストラリアはほかの国と違い、税金問題での不満も確かにありますが、やはり移民国家ですから、移民政策に対しての不満というのは高いようです。

移民国家オーストラリアでは、国民の多くが移住者ということで、難民を含む移住者の受け入れに対してわりと寛容です。もちろん急激な移住者増に対して反発があるのも確かですが、それでも移住者を受け入れないと国が発展していかないとの認識は多くの国民が共有しています。

そんななか、政府が難民に対して、難民条約を批准していないマレーシアに移送して審査するということは、人道的に問題があると裁判所に認定され、国民の半数以上がこの政府のやり方に反対しています。

移民問題は人種問題でもあり、往々にして人種差別に転換するものです。そのため政府がやり方を間違えると、途端に暴動が起きたりするほどのセンシティブな問題です。

以前は、ベトナム難民が大きな社会的な問題でしたが、今日ではベトナム系移住者に対する反発的な感情は7%にまで落ちています。その代わりに中東系移住者、例えばレバノン人移住者に対しては24%と高い比率で不満があるようです。

何をやっても政府は国民から文句を言われる立場ですが、難民問題同様、これからは経済問題が大きな課題としてオーストラリアに生じてくるようです。米国や欧州の経済危機が、再び世界金融危機の再来としてオーストラリアにも襲ってくるのか、それとも中国経済が世界の救世主として活躍してくれるのか、いずれにしても国民の不満や不信が高まらないような政権運営をギラードさんにお願いするしかないのでしょうか。

(そういえば昨日の話題ではないですが、この調査についても新聞記事には調査日や調査対象、有効回答数など一切明記されていませんでした。こんなんでいいのでしょうか、心配です)

(水越)

この記事をシェアする

この投稿者の記事一覧

その他の記事はこちら