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オーストラリア人は勤勉か?

いろいろな調査があり、結構、オージー(オーストラリア人)は働き者だというものから、やっぱり怠け者だというものまで幅広いのですが、もちろん一所懸命働く勤勉な人もいますし、怠ける人もいます。

昔はオーストラリアはストライキが多くてまったく仕事にならない、会社も大迷惑という風土でした。それが次第にストによる年間労働損失日数が減ってきて、労働者の平均労働時間も増えたりと、どうやら少し働き者になってきたのかなという感じが出てきました。

これは世界経済に向き合って、オーストラリアの発展を目指して、官民あげて努力した結果なのでしょうね。

一応、政府は平均労働時間を週38時間としていますが、この時間が適正なのかどうか、現実にはどうなのか、調べてみる必要があります。

2008年と、少し古いですが、国別の労働時間を調べた調査があります。(総務省統計局)男女別週当たり実労働時間(調査期間に実際に働いた時間)ということで、日豪の比較をしてみます。

●オーストラリア/就業者(雇用者及び自営業主)

非農林漁業 34.2時間(男38.5、女29.2)

製造業 37.7時間(男40.1、女31.4)

●日本/雇用者

非農林漁業 40.9時間(男45.5、女34.5)

製造業 42.8時間(男45.3、女36.8)

こうして見ると、確かにオージーの労働時間は短かいことが分かります。スペインの34.5/36.0や、イタリアの34.3/35.9と似たようなものです。

ところで、先週報道されたSickieの記事は、オージーの労働状況を示す格好のものでした。

いわゆるSickie(Sick Leave)は、疾病休暇のことですが、よく言われるのは金曜日や月曜日に病欠する人が多いということです。そうすると週末を入れて3連休になるわけで、その多くが仮病による“Sickie”というわけです。

この記事(The Australian Financial Review 03/02/2012)では、1月26日のオーストラリア・デーの祝日の翌27日(金)に病欠した人は、全国で約17万人に上るというのです。その結果、26日の祝日から、29日の日曜までの4連休を楽しむことができるわけで、調査を行ったオーストラリア商工会議所では、このような無断欠勤が増加傾向にあるとし、結果として同僚に仕事を押し付けるのは不公平と指摘しています。

調査では、企業の88%は社員が病欠と称して無断欠勤をしているとし、31%がこの傾向は高まっているとしています。また、オーストラリア統計局によると、毎日平均2.6%の労働者が病欠をとっているようです。その経済的損失は、年間260億ドルにもなるという試算もあります。

ところで、これはオーストラリア人は怠け者の労働者が多いということでしょうか。

例えばスーパー大手のコールスでは、無断欠勤率が12.5%あったのが、買収されて経営陣が代わったあと、3%にまで減少しました。

この変化はいったいどうして起きたかというと、コールスが買収される前の企業風土は、従業員一人一人をあまり大事にしない雰囲気があったというのです。それが、買収によって一新され、企業にとっての社員の大切さ、一人一人が価値ある人材だという考えの浸透により、社員のやる気に大きな変化があったというわけです。

それに、それまでカジュアルスタッフが70%を占めていたのを、パーマネントが80%を占めるまでに変えたことが大きく作用しているようです。

職場環境、労働環境の改善により、会社で生き生きと働くやる気を生み出すことが、週末や祝日の前後に“病欠”する人を減らすことにつながるわけですね。

会社は社員に対して「怠け者」というレッテルを貼る前に、職場環境、労働条件を見直す必要があるということでしょうか。(もちろん、中には疾病休暇は最大限取得しないと損だと考える人がいるのも事実ですが…)

(水越)

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