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「今週の相場の焦点」bu Joe Tsuda (津田 穣)25 September 2023

25 September 2023

<ポイント>あきれた植田総裁

・先週ドル円は昨年11月以来の148円台まで上昇した。
パウエル議長がインフレ警戒姿勢維持を表明し、片や植田総裁は金融緩和姿勢の継続を強調しているわけで、依然として絶対的な金融政策格差を反映した相場といえるだろう。
・コロナによるサプライチェーンの寸断にせよ、ウクライナ危機にせよ、インフレの原因は必ずあるわけで、それを“特殊理由”として「本来のインフレ率は低い」などと評価するのはいかがなものか?
・植田総裁は、現在米国と同じインフレ率(3%台後半)を抱えながら、「来年の春闘における賃金上昇率を確認してからアクションを取りたい」とおっしゃる。
今年の春闘が29年ぶりの3.8%上昇しても、なお来年を確認したい??
・植田総裁は、エコノミストとしても、完全に骨の髄までデフレ恐怖症に侵された人間であり、その頑迷さはむしろ黒田総裁以上と言っていいだろう。
・あの“マイナス金利の不動の帝王”であるスイス・ナショナル銀行でさえ、世界的なインフレ懸念下2%まで利上げしているのだ。全くバッターボックスに立たない(金融政策を駆使しない)植田総裁は、「控え選手以下のIR(故障者)リスト入りのバッター」のようなものだろう—―その通り、日本の金融政策は重病状態なのだ!
30年以上続くゼロ金利政策(途中からマイナス金利!)、明らかな財政ファイナンス!これら主要国でも稀な日本の“特殊事情?”がいつまで許されるのか??
・来年後半インフレ率がさらに低下し、主要国が金利引き下げに動いた場合、日本には再びデフレ圧力がかかるだろう。そうなれば結局今回のインフレ高騰期に金融政策の正常化の機会を逸した日本は、再びデフレの泥沼に沈むだろう。
・「日本はせめてスイス並みに(2%程度)利上げをし「将来物価上昇が収まり、デフレ懸念が再燃した時に金融緩和をする」―なぜこんな基本的なことが植田総裁にはできないのか?
・現在のゼロ金利政策を脱却して、日本国民2,000兆円の金融資産に付利する!―これがデフレマインド払拭のベスト・チョイスであろう。
・そうすれば円が一時的にせよ買われて日本におけるインフレ懸念は軽減するだろう。
・主要国中唯一マイナス金利政策を継続する日本。今後30年にわたり日本の経済力は低下し2050年にはGDP順位も10位程度まで下がるだろう。それを見越しての金融緩和死守ではあるまいが、いつまでも“日本の特殊事情”が容認されるとは思えない――筆者は今年中に日銀が利上げをし、まず円高となり、その後の経済・財政における“混乱期”に大幅円安が訪れると予想したが、その時間軸は既に狂いつつある。

◎<豪ドル相場>――中国不動産懸念一服で週後半は豪ドル反発だが、依然上値は限定的

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6385-0.6511  AUDYEN  93.53-96.06
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6300-0.6600  AUDYEN  93.00-97.00

・先週豪ドルは、米ドル堅調地合の中、65セント台、95円超えでは上値の重い展開となったが、上海や香港の株価指数が反発に転じる中、週末には豪ドルも64セント台半ば、95円台半ばまで回復して越週した。
・ただムーディーズ社が新たに中国の不動産会社4社の格付け見通しを「ステーブル」から「ネガティブ」に引き下げるなど、中国の不動産債務問題は終息とは程遠い状況。
・またドルインデックスが105台に上昇するなど、先週のFOMCを経てもドル堅調地合に著変なく、豪ドルの上値も65セント台でキャップされる状況は変わっていない。ドルが堅調を維持するか?あるいは反落か?が最大の要因とろう(豪ドルは米ドルの受け皿)。
・先週対円では93円台から96円台までとボラタイルな動きを見せているが、ドル円が150円を目指す動きとなるか、あるいは反落かで豪ドル円の方向性も決まるだろう。
・今週水曜日(9/27)には8月CPIが発表されるが、予想値は+5.2%(前回+4.9%)と前回からリバウンド予想。また28日(木)には8月小売売上高が発表されるが前回の+0.5%から+0.3%に低下予想となっている。今週末発表される中国の9月PMIにも注目したい。

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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