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◆「子どもの不安感をホールドして浄化してあげる機能」◆

子どもを育てる上で、子どもの心理を将来安定したものにする親の機能にはさまざまありますが、非常に重要なものが「子どもの不安感をホールドして浄化してあげる機能」です。

赤ちゃんや乳児のころから、不快感や不安感が高まって自分が押しつぶされそうに感じるとき、誰もまったく助けにはなってくれないのか、それとも親が抱っこしてよしよししてくれて、それが収まっていくのに役立ってくれたのか。この体験です。

この体験があれば、自分以外のひとへの信頼感が育って行きます。やがて、自分もひとにその機能を果たそうとするようになります。

この体験が十分にないと・・・ひとへの基本的な不信感になります。どうせ役立ってくれない。自分しか信じるものがない。不安を下げるのに役立ちそうなふりをして、役立ってくれないひとへの恨みや、やるせなさからくる攻撃性にもなります。

カウンセリングにきて、サイコロジストとの関係の中でもそれを再現して、「この方は不安を親やケアテーカーに下げてもらった経験が本当にないのだな」と思わされることがあります。不信感をところどころで出して来ますし、私はそれが向けられているのを感じます。

そういう方には・・・究極的には、「どう、不安を下げるのにひとが役に立つという体験をしてもらえるのか」「攻撃性を向けてでさえも、壊れずにサポーティブにそこにいてくれる体験をしてもらえるのか」が治療機序になります。

けっこう大変な心理治療プロセスではありますが・・・。

自閉症障害などを持ち、脳の機能から来る認知や行動のたいへんさをお持ちのクライエントの方でも、もともとはそっちの問題ですが、そのたいへんさゆえに、親にちゃんとホールドしてもらえず、ある意味心理的には見捨てられて、ずっととりこぼされて来たような体験があると、二次的な情緒障害でひとへの不信感もさらに加わっているのではないかという方もいたりします。

発達障害などがあったりすると、親としてもホールドするのが非常にたいへんになりますが、それでもホールドされる体験をある程度十分にしてもらうことが、将来の心理的安定のために、非常に大事なのです。ホールドしやすくなるためには、何が必要なのか、まず診断か、お薬か、接し方の指導か、それらを始めて、ホールドしやすくなる必要があります。

それが十分に得られなかったクライエントには、かなり長い心理療法のプロセスの中で、それを体験していだくことを目指し、そのクライエントの究極的な心理的安定が得られることをねらっていきます。

 

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