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シドニーで学ぶ日本の伝統文化「金継ぎアート」を体験しました♪

陶磁器にできたヒビや欠けなどの欠損部分を漆で接着し、金属粉で装飾する修復技法である金継ぎ(またの名を金繕い)をご存知ですか? 室町時代に茶道の発展と共に生まれた技術の金継ぎが、実はニューヨークやパリなど文化レベルの高い都市などの海外から徐々に火がつき、その価値が見直されているそうです。

なぜ、金継ぎなのか? それは金継ぎが持つ精神性が関係していると言えるでしょう。世界各国に破損した陶磁器を修復する文化や技法は他にも存在しますが、それは破損前の状態にできるだけ近づけるための修理。対して金継ぎは、破損した陶磁器に新たな魅力を見出す創作でもあります。その精神性は対照的で日本古来の美を感じさせます。

一度壊れてしまったものに、新しく命を吹き込むため、バラバラになったものを金でつなぐ古来の「金継ぎ」。響きがいいだけでなく、縁起もよさそうですね。しかし、完全なる金継ぎには6つの工程を習得する必要があり、なかなか大変。

そこで、金継ぎをアートとして気軽にスタートできるM’s Studioの「金継ぎアート」コースを、JAMSスタッフが実際に体験。日本で金継ぎの修行を積んだという講師の諸岡淳さんに、金継ぎについて教わりながら、「金継ぎアート」の魅力に迫ります♪

「金継ぎ」と「金継ぎアート」の違いってなに?

金継ぎと金継ぎアート……、その違いとなぜ金継ぎアートのコースを開講したのか、講師である淳さんに伺いました!

金継ぎとは?

金継ぎとは、割れたり、欠けたり、ヒビの入ってしまった陶磁器を、天然の接着剤である漆で接着し、継いだ部分に金粉で装飾して仕上げる日本古来の器の修復技術のこと。別名、金繕い(きんつくろい)ともいわれ、金粉の施しには、蒔絵(まきえ)と同じ技法が使われています。

室町時代に茶道の発展と共に生まれた技術で、金継ぎが施された作品の中には、元の器よりも価値が高まるものすらあるんだとか。その精神性はまさに哲学。深いんです!

YouTubeで「KINTSUGI」のドキュメンタリーが88万再生! 海外での注目度の高さがよくわかります。

金継ぎアートとは?

金継ぎの技術を模倣したアートで、実際に壊れた器を修復するわけではなく、漆と金粉を使用して思い思いのアートを描くもの。修復にとらわれず、自由な発想でクリエイティブな作品づくりを目的とします。前衛的な金継ぎアートの中には、壁や大理石の床の割れ目に漆と金粉を施した作品も!

M’s Studioの「金継ぎアート」コースでも、作品に文字でメッセージを入れたり、その他にも陶磁器ではなくワイングラスを修復したりと、現代的なアプローチで自由な創作活動が楽しく体験できます!

金継ぎや金継ぎアートがシドニーで人気の理由って?

壊れたものを修復して再び使うだけでなく、偶発的に生まれたヒビや欠けに新たな美を見出し、そこにアートとして線を入れることで、さらに風情を醸し出させる金継ぎのアートには、日本古来の美の意識を感じる日本国内外の人も多いそうです。シドニーでも日本の伝統美は目を引くもの。

最近では漆も進化を遂げ、陶磁器以外にもガラスなどさまざまな素材を接着できるようになりました。金継ぎアートを施せるモノの幅も広がり、ここシドニーでもより身近に、より気軽にアートを楽しむことができます。シドニーの金継ぎコース受講者の中には「大切なお皿を自分の手で修復したい」と、思い入れのある品を持ち込む人も多いそうです。

また、金継ぎアートでは、普段使っていて飽きてしまったお皿などにちょっと金の線を入れてみたりと、新たな楽しみ方を発見することができるのも、シドニーにおける金継ぎアートの人気の秘密です。

シドニーで唯一の「金継ぎアート」コース、こんな人におすすめ!

  1. 日本古来の伝統文化や美意識に興味がある
  2. なにか特別なものをプレゼントしたい
  3. 外国人の友人と一緒に日本文化を体験したい

いよいよ実際に金継ぎアートコースを体験!

金継ぎアートの道具はすべて材料費に含まれています!
写真左から、①漆、②細筆、③毛筆、④ヘラ、⑤粉筒、⑤金粉(真鍮)
※白い器にはユーカリオイルと漆が入っています。

①金継ぎアートで使用したい器を持ち込み

お酒好きな私は、おつまみ用のお皿と日本酒セット(とっくり・おちょこ)を持ってきました。果たしてうまくいくのか? んーー、うまくできるかドキドキ(笑)。

②想像力を膨らませて下書きを描いていく

紙にお皿の縁取りをして、まずは下書きをしながら完成イメージを膨らませます。淳さんから、「自由に描いていいよ」と優しく声を掛けてもらいましたが、自由に描くのが一番難しい!

「どうしようかな?」と迷いながらも、もともと食器にある模様を生かしたアートを描くことに。

③作品にアウトラインを描いていく

水性ペンで器に直接アウトラインを描いていきます。紙とは違い、平らではないので少しコツが必要でした。下書きの紙を見ながら同じように模様を描く……、つもりがこの時点ですでになんか違う(笑)。

考えすぎず、直感に任せた方が、意外と味のある作品に仕上がるなんてことも? ありますよね??(必死)

④下書きに合わせて漆を塗っていく

細筆を使用し、下書きの模様に合わせて生漆を塗っていきます。ここがポイント! 漆を乗せすぎると、金粉(真鍮)をまいた時に固まったり、ムラができるので要注意。

多く塗りすぎず、漆をゆっくり薄くのばして線をたどっていくのがコツです。また、塗る時は上から下へ必ず一方向になるように気をつけます。

集中力が必要な作業なので、黙々と思わず自分の世界に入り込んでしまいました。とっくりの中が細かい作業で難しく、ちゃんと漆が塗れているかドキドキ……(笑)。

⑤金粉(真鍮)を漆の上に撒いていく

いよいよ漆の上に金粉(真鍮)をまく作業に突入。粉筒に金粉(真鍮)を入れて、ポンポンとリズムよく、タバコの灰を落とす容量で漆の上に乗せていきます。粉筒を叩きすぎると勢いよく金粉(真鍮)が出てくるので、優しく優しく扱いましょう。

⑥毛棒で優しく金粉(真鍮)を掃く

最後は毛棒を使って漆の周りの金粉(真鍮)を優しく掃いていきます。まだ漆が乾いていないので、強く力を入れてしまうと金粉(真鍮)が伸びてしまいます。静かに優しく毛棒で慣らしていくことがポイント。

金継ぎアートは心を穏やかにして進めていく作業が多いので、自然と集中力も高まり、時間を忘れて没頭できますね。

⑦完了した金継ぎの器を乾燥させる

これで一旦、金継ぎアートの作業は終了。集中する時間が長かったので疲れましたが、楽しかった! この先は自宅に持ち帰り、バスルームなどの湿度の高い部屋で3日間ほど乾燥させます。十分に乾燥したら、残りの金粉(真鍮)を洗い流して、ようやく完成!

心配なのは”おちょこ”の模様(笑)。細かいデザインで、金粉(真鍮)まみれになっていますが、果たしてうまく仕上がるのでしょうか……?

⑧完成した金継ぎアートをお披露目!

こちらが完成した私の作品です。葉っぱのお皿には木と花を描きました。”とっくり”は花の模様の上に金と銀の装飾を入れたのですが、なんだか分かりにくいですね(笑)。”おちょこ”の中の模様はなんとか出ましたが、デザインが細かすぎた上に、私が金粉(真鍮)を落としすぎたためにムラができちゃいました。

うまくいったものも、そうでなかったものもありますが、世界に一つだけの金継ぎ日本酒おつまみセットですから、やっぱり思い出になりますね。淳さん、本当にありがとうございました!

金継ぎ作品を使用する時の注意点

  1. 洗浄する時には強い洗剤の使用を避け、優しく手洗いする
  2. 熱湯を使用すると金粉や漆が剥がれる可能性があるので注意
  3. 金粉(真鍮)を使用しているので電子レンジの使用は厳禁
M’s Studioの「金継ぎ/金継ぎアートコース」の特徴をおさらい
☑︎シドニーで唯一、本格的な金継ぎを基礎から学ぶことができる
☑︎少人数制クラスで日本伝統の技法を楽しくしっかり身につけられる
☑︎コースはいつでもスタートできるチケット予約制
☑︎アクセスに便利なシドニーシティで自分の時間に合わせて学ぶことができる
☑︎4名以上であれば出張講座も可能(ママ会、女子会、誕生日会などもOK)*金継ぎアートコースのみ

「金継ぎアートコース」の講師である淳さんからメッセージ

自分が金継ぎを体験した時に、オーストラリアでも多くの人に金継ぎの楽しさと魅力を広めたいと思いました。「SUSHI」が世界的な言葉になったように、「KINTSUGI」も身近な存在になってほしいと願っています。

M’s Studioでは金継ぎの基礎から上級コースに至るまで、レベルに合わせて細かくコースを分けています。すべてクリアすれば一通りの器を、自分の金継ぎで修復できるようになります。いずれは自分の生徒が、M’s Studioで教室を開いてくれたりしてもうれしいですね。

ゆくゆくは「金継ぎアート」コースをもっとレベルアップして、旬な絵を描いたり、イベントとして開催するのも面白いなと考えています。

金継ぎアートコース 取材のまとめ

金継ぎ初心者の私でしたが、講師の淳さんは丁寧に指導してくださいました。日本の古き良き伝統文化を、アートと融合することでより現代的に身近に楽むことができるなんて。モノを大切していくという心は日本人に限らず、世界共通で通ずるものだと実感しました。そして何より自分自身で手を加えたモノはよりいっそう愛着が湧きますね。

4名以上で予約をすれば、淳さんが出張で金継ぎアートコースに行ってくれるので、お茶会や誕生日会、クリスマスなどのイベントで、友達とワイワイ楽しみながら金継ぎアート体験もできるんだとか。

たった1本の線でさえ、今までとは違う美を醸し出し、その器が大切にされてきたものなのだと感じさせられます。過去のものを現在、未来へとつなぎ、時代をつないでいく「金継ぎ」。忘れてはいけない日本人の心を思い出させてくれたような気がします。

各種金継ぎコースの詳細

金継ぎアートコース

  • 金継ぎアートドローイングコース
    料金:$66(材料費込み/全1回)
    各レッスン:60分~90分(器や皿を2つまで持ち込み可能)

金継ぎ修復コース

  • 金継ぎ修復マスター 基本コース
    料金:入会金$33+材料費$44+講座全7回$462(代用金粉使用)
    各レッスン:90分~120分
  • 金継ぎ修復マスター 中級コース
    料金:材料費$66+講座全12回$720(代用金粉使用)
    各レッスン:90分~120分
  • 金継ぎ修復マスター 上級コース
    料金:材料費$220+講座全12回$780(純金使用)
    各レッスン:90分~120分

金継ぎ持ち込み修復コース

料金:1回$55+材料費($5~10)+講座回数(4~7回)
※持ち込まれた器の状態で、レッスン回数と材料費が変動します。

大切な器の欠け、ひび、割れの修復もお任せください。

各種金継ぎコース開催日

講座は予約制です。ご都合の良い日を下記の講座開催日からお選びください。
  • M’s Studio シドニーシティ校
    月曜日 10:30-12:30/18:00-20:00
    火曜日 10:30-12:30
    木曜日 10:30-12:30/18:00ー20:00
    金曜日 10:30-12:30
    日曜日 10:30-12:30
  • M’s Studio アーターモン校
    水曜日 18:00-20:00
    土曜日 10:00-12:00

M’s Studioへのお問い合わせ

まずは、お気軽にお問い合わせください!
お問い合わせ&お申込み
担当講師:諸岡 淳(もろおか じゅん)
※講座中で電話にでられない場合がございますので、Emailにてお問い合わせください。
※お問い合わせの際は「JAMSを見ました♪」とお伝えください!
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M’s Studio Sydney City

所在地:Suite 402, 235 Clarence Street, Sydney NSW 2000

M’s Studio Artarmon校

所在地:28 Elizabeth street, Artarmon NSW 2064

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