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◆◆心理治療者の変更を考えるときに、留意すべきこと - 「転移」と「アクティング・アウト」◆◆

人間みな特徴がありますし、相性がありますから、しばらくかかった心理治療者(サイコロジストやカウンセラー)を変更したくなることもあります。

治療者の変更は、クライエントの権利です。基本的にはもちろんクライエントが決めて良いのです。

しかしそこで、留意しなければならないケースがあります。特に短期療法であるカウンセリングで現実的・表面的な問題を扱っているのではなく、長期療法である心理療法的に、クライエントの中での「ひと全般に対する信じられなさ」や「その感覚の不安定さ」を扱っている場合などです。

後者の場合には過去の、多くは親子関係に由来した感情である「転移」感情を、治療者に対して持っていることが多いです。例えば、信じたいけれど簡単に信じられない、いつひどい存在に変わるかもしれないような不安定な感情です。

そしてそのような場合、ほんのちょっとしたきっかけで「現治療者は信じられないかも知れないから、治療者を変えよう」という、信じられる者が信じられない者に急に思えてくることがよく起こります。その時に治療者をやすやすと変えてしまうことを、「アクティング・アウト」(行動化)と言います。本当は治療関係の中でその感情を話し合っていくことが治療的であるのに、少しでも嫌な感情が出てくると、行動を起こしてその関係から飛び出してしまう方法で解決してしまうことです。それは一時的な嫌な感情の解決法であっても、そんなことばかり繰り返していては、長い目で見て治療にならず、そのクライエントの世界観・他人感が良くなっても行きません。

それで、他の治療者にしばらくかかっていたクライエントが他の治療者にかかりたいと連絡して来た場合には、そのクライエントにできる限り許可をとって、以前の治療者に連絡して経緯を聞いて、一番治療的な方法が何かを考え、時には押し戻すことが治療的であり、心理治療のプロとしての態度であるというのが鉄則です。

中には、他の治療者の方が治療費が安いことが分かった、通いやすいことが分かった、などの現実的な事情がある場合もあるでしょう。そのような場合でも、率直に現在の治療者に事情と、治療者変更の希望を話し合ってから、変更するならした方が良いです。良い治療者であれば、そんなことで気分を害したりはしないはずで、クライエントと一緒にいちばん良い方法を選んでくれます。

かつての精神分析的心理療法から、認知行動療法などの短期療法への推移で、このような治療者変更にまつわる転移関係とアクティング・アウト、それにまつわる治療者の変更についても、以前よりはかなり容易に変更が行なわれるようにもなっています。

しかしそれでも私は、クライエントが以前の治療者との関係の中で何を体験していたのか、変更する・しないのどちらがクライエントにとって治療的であるのかをプロとしての心理治療者はよく吟味するべきであると思うし、このような事柄の理解をGPなどにも深めていただきたいと思っています。上のような発想がまるでなくて、単に「相性が悪かったようであるから」「クライエントが希望しているから」とクライエントその時の希望だけで治療者の変更にやすやすと応じることは、結局はクライエントの心理治療を促進しているのではなく妨害していることにもなりかねないと医療関係者は認識を深めるべきであるし、警鐘を鳴らし続けて行きたいと思います。もちろん、現実的な問題のみを扱う短期療法的なカウンセリングで、治療者の変更をもう少し気楽に考えても良いケースもあります。それらの事情を把握するのに、前治療者に事情を聞いてみるというのが必要なケースがとても多いと思っています。

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