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オーストラリアの大学で実現できて日本の大学では実現できない3つのこと

2月も終わり、オーストラリアの大学は入学シーズンに入りました。
シドニーでは各々の大学でオリエンテーションウィークが始まり、街で大学のロゴが入ったバッグを持った新入生やキャンパスツアーを回っている学生たちを見かけます。

そこで今回は、「留学大国」オーストラリアの大学留学に注目!
4人に1人が留学生であるオーストラリアの大学と、世界的に見ても比較的ドメスティックな日本の大学環境の違いを3つに分けて紹介します。

 

1. オーストラリアの大学は進学ルートが多様

オーストラリアには各大学ごとの入学試験がありません。そのため現地の高校生が大学に入るには、州ごとの卒業統一試験を受けてそれぞれの希望大学に必要な大学基準得点 (ATAR / Australian Tertiary Admission Rank) を満たす必要があります。

一方で、留学生がオーストラリアの大学へ進学するために求められるものは、英語力の証明高校の成績証明書です。大学によってはエッセイの提出が求められることもあります。

しかし、英語力や学歴の基準を満たしていない留学生や必要なATARがとれなかった現地生にも、希望の大学に進学できるシステムがいくつか用意されています。例えば、、、

  • 各大学付属の英語学校
  • 各大学付属のファンデーションコース (大学進学準備コース)
  • TAFE (州立の職業訓練専門学校)

から希望の大学へ進学・編入することが可能です。

日本の大学進学への道といえば、一発勝負の入学試験による合否に限られてしまうかもしれません。しかし、オーストラリアでは自分に必要なスキルを段階を追って身につけていくことができる教育機関と柔軟な大学進学ルートが確立されています。「留学大国」ならではのシステムですね!

 

2. オーストラリアの大学に見る多文化共生社会

オーストラリアは移民政策を通してその文化的、宗教的、民族的多様性を受け入れていくことで社会経済を発展させてきました。そのため、国籍や民族などにかかわらず誰もが社会を構成するひとりとして尊重されることで多文化共生を実現させています。

多文化共生は社会の縮図「大学」という組織の中にも反映されています。留学生の数はもちろん、留学生へのリスペクト手厚いサポートシステム、外国人留学生の大学生活への積極的参加などが日本の大学と大きく違う点です。

overseas universities

 

日本 VS オーストラリア 留学生比較!

オーストラリアと日本の高等教育課程にいる留学生の数と国籍を比較してみます。

2017年5月のデータ

留学生数
日本 267,042人
オーストラリア 564,998人

オーストラリアの留学生は日本の2倍以上!さらにもっとも留学生が多い大学に絞ってみると、

大学名 留学生数 (割合)
早稲田大学 5,072人 (9.7%)
RMIT University 26,590人 (46.3%)

とかなりの違いが見られます。
数だけで見ても、オーストラリアの大学がいかに留学生を受け入れているかが分かりますね。

さらに留学生の国籍も調べてみました。日本は中国や韓国などのアジア圏からの留学生が93.3%を占めています。対してオーストラリアは、留学生上位10位の国籍に中国、インド、ブラジル、インドネシアが含まれるなどやはりアジア圏が中心ですが日本より幅広い国から集まっているようです。

 

 留学生がもっと輝けるオーストラリア

多文化共生が根付くオーストラリアの環境が留学生のさらなる活躍を後押しします。加えて、国際教育がオーストラリアで重要なサービス輸出として、国を挙げてサポートされていることも、留学生にとっては有利です。

例えばオーストラリアでは異国のアクセントやなまりにも寛容な風潮があります。それは移民を受け入れて成長してきたオーストラリアにとって、さまざまな国籍の人が話す英語を理解しようとするのはごく自然のことだからかもしれません。異国で暮らす留学生にとって、自分の言葉が受け入れられる感覚は大学での活躍にも大きく影響します。

一方で日本人の間でしか話されない日本語は、その固有性からも留学生が日本語を話す際の評価基準が高くなってしまう傾向にあります。それは大学で勉強する留学生にとって積極性をさげることになってしまう場合も。

他にもオーストラリアの大学は卒業後の就職の可能性を広げます。オーストラリアの大学を卒業すればグローバル人材として世界で通用する学歴を手に入れられます。また、大学が提供する豊富なインターンシップや留学生向けのキャリアフェアによって、48%もの留学生がオーストラリア国内での就職を実現させているそうです。

また日本にいる外国人留学生よりもVISAの取得が難しくないことも、オーストラリアの留学生の卒業後のキャリアにつながります。

 

3. 実践的な内容と豊富な専攻分野

オーストラリアの大学は基本的に3年制です。日本の4年制大学より1年少ないですが、その分オーストラリアの大学では一般科目がなく1年次から専門的分野を学ぶことになります。

そのため大学では実践形式ディスカッション形式の授業が多く、学んだことをアウトプットしていく力が求められます。また、受け身では許されないグループワークを通して評価される課題もたくさんあります。

practical studies

それから、オーストラリアの大学には特徴的で豊富な専攻や学科がみられます。特に日本人留学生に人気だというのは、

  • 観光学・ホスピタリティ
    オーストラリアでは政府からの支援を受け、国を挙げて観光学・ホスピタリティ分野の教育に力を入れているそうです。2020年の東京オリンピックに向けてニーズも高まってきているので、専門知識に加えて実践や経験も積めるオーストラリアの大学はこの分野の勉強にもってこいです。

 

  • TESOL (Teaching English to Speakers of Other Languages)
    TESOLでは英語を母国語としない人たちへの講師、教師向けの英語教授法を学びます。歴史的背景からも英語教育が盛んなのは明らかで、オーストラリアではトップレベルのTESOL教育を求めて日本人に限らず世界中から留学生が集まります。

 

  • 医療系
    一般医療とともに補完医療も進んでいるオーストラリアではカイロプラクティック、オステオパス、ボディアトリストなどの日本ではまだ資格がない医療行為を学ぶことができます。この資格はビザの取得にも有利なため、オーストラリアでの就職や永住を目指す人が希望することも多いそうです。

などの特徴的なコースです。また、日本でも学べる経営学全般やITの分野でも、オーストラリアの地理的・社会的特性のもとで視点の違う勉強ができます。

 

あらためて考えるオーストラリア留学

今回あらためてオーストラリアの大学留学について日本の大学と比較して考えてみました。ポイントは、「柔軟な進学ルート」「大学の中にみる多文化共生」「ユニークな専門分野」です。オーストラリアの社会的・文化的背景は大学生活にも通じていて、日本とはまた違った経験になるのは間違いありません。

日本人留学生の減少傾向が叫ばれていますが、オーストラリアという環境で学ぶ利点を伝えられていたらうれしいです。

 

 

文・村上紗英
大学ではメディア学を専攻。JAMSにて主にスポーツやオーストラリアの大学についての情報を紹介している。

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