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【精神科医が解説】海外生活でのこころの疲れへの向き合い方

オーストラリアをはじめとする海外生活は、新しい出会いや経験がたくさん待っていて刺激に満ちあふれています。ですが、ひるがえってその刺激は心身への負担になることもあります。

特に生活に慣れてきた頃にふと襲ってくる「気分が落ち込む」「何もやる気が起きない」「外に出たくない」といった症状は、誰にでも起こりうるこころが疲れた時のサインです。

今回は、なぜそうした状態になるのか、どんな対処法があるのかをイメージしやすいように、症状別に具体的な事例を交えて「MARIKO’s Wellness」がご紹介します。

「MARIKO’s Wellness」は、メンタルヘルス領域で15年以上の経験を持つ首藤まり子先生によるカウンセリングを提供しています。

また、女性のヘルスケアサポートにも力を入れていて、ヘルスケア専門医/産婦人科医の西村陽子先生による日本からのオンライン医療相談も始めました。メルボルンにて診療を行うGPの富田愛子先生とも連携し、オーストラリア在住の日本人の心身の健康をトータルでサポートしています。

目次

  1. 【症状別】「やる気が出ない」「外出できない」…そんな時どうする?
    やる気が出ない・何もしたくない
    外に出られない・人と会いたくない
    頑張っているのに、うまくいかない
    終わりに
  2. オーストラリアでカウンセリングという選択肢
  3. 精神科医・首藤まり子先生の経歴
    連携先のGP(総合診療医)富田愛子先生の経歴
    連携先のカウンセラー(産婦人科)西村陽子先生の経歴
    MARIKO’s Wellnessへのお問い合わせ

【症状別】「やる気が出ない」「外出できない」…そんな時どうする?

① やる気が出ない・何もしたくない

オーストラリア生活の中で、こんなことはありませんか?

  • 朝ベッドから出られない
  • 何をするにも億劫で、気づけばスマホを見て1日が終わってしまった
  • 何かしなきゃと思うけれど、体がついてこない

こうした状態はなぜ起こるのでしょうか?

「やる気が出ない」というのは、精神的なエネルギーの枯渇のサインです。海外生活では、日本にいる時と比べて日々緊張し努力が必要な場面が多くなります。一つ一つは小さなものでも、それらが積み重なることで気がつけば心のエネルギーを消費して、精神的に「充電切れ」のような状態に陥ってしまうことがあります。

特に以下のような状況では要注意です。

  • 英語が思うように通じず、コミュニケーションに自信を失いつつある
  • 仕事や学校で思うように成果が出ず、焦りや落ち込みを感じている
  • 他人と比べてしまい、「自分は劣っている」と自己否定感が強くなっている

事例① オーストラリアでワーホリ中のAさん(20代女性)

「毎日職探しをしても返事がない。焦りが強くなるばかり。外に出た途端に英語が耳に入り、最近はそれを聞くのがしんどい。一日中ベッドにいることが増え、『なんのために来たんだろう…』と自分を責めてしまう」

対処法のヒント

一番大切なことは、「やる気が出ない=サボっている」状態ではないと理解することです。

緊張と頑張りを続けた結果、「これ以上頑張ることができない状態」「疲れてしまった状態」であるということを自分に優しく言い聞かせてあげましょう。

  • 「できたこと」を小さな一歩として認めてみる
    朝きちんと起きるだけでもOK。「ちゃんと朝起きられた」という小さくみえることでも、まずは「頑張っている自分」に目を向けてあげましょう。
  • 日本語で思いきり誰かと話してみる
    「海外に来たのだから、なるべく英語の環境で自分を鍛える!」と頑張りすぎていませんか? 時には日本語で話したり不満や辛さを吐き出すことで、気持ちを軽く、頭を整理することができます。

医療機関(GP)の受診を検討するタイミング

色々なセルフケアや対処をしても改善に乏しく、「ほぼ毎日やる気が出ない状態」「興味や喜びが感じられない」状態が2週間以上持続する場合は、専門的なサポートが必要な場合がありますので、受診を検討しましょう。

② 外に出られない・人と会いたくない

オーストラリア生活の中で、こんなことはありませんか?

  • 外に出る支度をしても、玄関で足が動かず出られなかった
  • スーパーや外出先で英語が通じなかったことを思い出して不安・怖くなる
  • 友達からの誘いも断りがちで人と会うことが苦痛や億劫だと感じる

こうした状態はなぜ起こるのでしょうか?

外に出るためには、エネルギーだけでなく「安心感」が大切になります。オーストラリアなど海外生活では、慣れない環境から外出に対して不安や緊張、時には恐怖を感じやすく、特に以下のような場合、外出は心理的にハードルの高い行動になります。

  • 英語が得意でないため、どこへ行くにも会話がストレス
  • 周囲に知り合いがいないため、何をするのも一人で孤独
  • 過去の失敗体験を思い出し、同じことを繰り返すのが怖い

事例② 駐在妻のBさん(30代)

「夫は忙しく、私は子どもを連れてひとりで公園か買い物に行く毎日。でも英語がうまく通じず、来た当初はコーヒーもうまく頼めなかった。そのうち外に出るのが億劫で不安になって、少し怖い。家にいると安心だけど、オーストラリア生活を全く楽しめていない…」

対処法のヒント

  • 外出のハードルを下げる
    まずは近所を散歩するだけでもOK。近場から少しずつ散歩の時間や距離を伸ばし、「今日は少し頑張れそう」という時はスーパーやカフェで立ち寄るなど無理のないペースで進めてみましょう。
  • 自分にとって安心できる居場所を探す
    実はオーストラリアの図書館にも、日本語の本や雑誌が置いてあるところがあります。そもそも図書館は、静かに読書をしたり勉強したりする施設なので、「話をする必要がなく一人が当たり前の場所」。そういった「安心できる外出先」があると外出へのハードルが下がります。
  • 誰かと一緒に出かけられるタイミングを待つ
    そもそも無理をせず、「誰か一緒に外出できるときに外出すれば良いかな」とのんびり構えておくのも一つの方法です。ただでさえストレスの多い海外生活で、必要以上に自分を追い込む必要はありません。

医療機関(GP)の受診を検討するタイミング

「誰かに見られている」「常に緊張している」「過去の嫌な体験が何度も思い出される」といった症状が長く続く場合、特に生活に支障が出るレベルで2週間以上続く場合は、専門的なサポートが必要な場合がありますので、受診を検討しましょう。

③ 頑張っているのに、うまくいかない

オーストラリア生活の中で、こんなことはありませんか?

  • 努力しているのに結果がついてこない
  • 周りが自分よりうまくやっていることへの焦りや不安
  • 自分の価値が分からない、無価値に感じる

こうした状態はなぜ起こるのでしょうか?

慣れない環境で頑張って余裕がなくなる…そういう時ほど、人は「できない部分や足りない部分に目がいきがち」「自分の価値を他人からの評価で捉えがち」になります。また、海外生活では文化や言語の違いが加わることで、以下のように今までと同じ努力では報われづらい場面を経験することも実際にあるでしょう。

  • 職場で思うように評価されない(駐在員)
  • 勉強に集中したいのに、生活面でのつまずきが邪魔をする(学生)
  • パートナーとの文化的なすれ違いがストレスになる(国際結婚)

事例③ 大学生のCさん(20代男性)

「オーストラリア現地の学生や、他国からの留学生はすぐに質問もするし議論も上手。自分は言葉の壁もあり、話の理解はなんとかできても話すのに時間がかかる。何も考えがないわけではないのに、うまく伝えられない。『何でこんなにダメなんだろう』と、どんどん落ち込む一方」

対処法のヒント

  • 自分の努力や達成を自分で認める
    オーストラリアで思うように結果が出ず、外部の評価を得られないとしても、「努力した過程」は必ずあるはずです。また、何かしら達成したり向上した面もあるはず。そこも含めて全て自分で否定するのはとても悲しいことです。まずは自分を認めてあげましょう。
  • 日本語で自分の気持ちを言語化できる場(カウンセリングや日記)を作る
    言語化して文章で書いたり誰かに話すことは、状況を整理したり客観視するのに役立ちます。「思っていたほど状況は悪くはない」という気付きのきっかけになるかもしれません。
  • SNSなどの情報と一定の距離を取る
    SNSは、あくまで日々の一瞬を切り取ったものですが、余裕がない時ほど「みんなうまくいっている」と、誰かのポジティブな投稿内容が全てであるかのように感じてしまいがちです。自分にとってネガティブな影響が大きいと感じる時は、一定の距離を置くのも一つの方法です。

医療機関(GP)の受診を検討するタイミング

自己評価の低下が、食欲や睡眠、集中力の低下など、日常生活全般に影響し支障が出ている場合、特にそれが2週間以上続く場合は、専門的なサポートが必要な場合がありますので、受診を検討しましょう。

終わりに

オーストラリアをはじめとした海外生活では、誰でも一度は「うまくいかない自分」に直面します。

今回は症状別に分けてお伝えしましたが、どの症状にも共通するのは、そんな「うまくできない自分」を責めてしまう感情です。しかし、その不調は甘えではなく、心が疲れているサインだと理解しましょう。

必要なのはできない自分を責めることではなく「頑張ってる自分を認めいたわる」セルフケアです。頑張れない時があってもいい。むしろ「頑張れないくらい疲れてしまっている自分」に気づけることこそが、回復の第一歩です。心と体の両方の声に耳を傾けましょう。

オーストラリア生活中に不調が続く場合は、我慢せず、専門家への相談を視野に入れてください。この記事が、今ちょっとしんどいと感じているあなたへの、解決のヒントになりますように。

オーストラリアでカウンセリングという選択肢

オーストラリア生活中に不調を感じたとき、医療機関(GP)の受診とあわせてカウンセリングという選択肢もあります。「誰かに話を聞いてもらいたい」「気持ちの整理をしたい」「生活の中で起こっている心の揺れを自分の中で言語化したい」といった時には、カウンセリングがより適している場合もあるかもしれません。

また、「医療機関(GP)を受診するほどじゃないかもしれないけれど、早い段階で対処したい」と感じた場合も、カウンセリングを医療との中間地点として、または併用する手段として活用することを考えてみてください。

「MARIKO’s Wellness」では、日本語での丁寧なカウンセリングに加え、必要に応じて医療機関への受診や他の専門家との連携も含めたサポートを提供しています。日本で精神科医として十分なキャリアを持つ首藤まり子先生によるカウンセリングや、オーストラリアでの医療機関の受診の必要性についての相談にも対応しています。

誰かに相談しづらい内容も、もちろんプライバシー遵守。ワーキングホリデー、語学学校、専門学校・大学・大学院進学、駐在、結婚、育児など一人ひとりさまざまな事情があるオーストラリアでの海外生活だからこそ、特にプライバシーを重視し、共感と理解を基にしたアプローチでサポートしてくれます。

MARIKO’s Wellnessへのお問い合わせ

初回のお試しセッションとして、現在「MARIKO’s Wellness」では初回オンライン相談が15分$35!

【予約フォーム】
https://clientportal.powerdiary.com/clientportal/marikocounselling/AppointmentBooking/ClientAppointment

【サービス概要】
本サービスはカウンセリング/医療相談であり、診療行為(診断・投薬など)は含みません。一般的な診察や投薬をご希望の場合、富田愛子先生のオンライン診療(GP)をご検討ください。診療とカウンセリングの併用も可能です。

【海外旅行保険の適用について】
ご加入の保険の種類によって適用となる場合があります。保険の種類や契約内容により条件が異なります。詳細はご加入の保険会社へ直接ご確認ください。

【オーストラリアでのご利用について】
海外旅行保険を適用する場合、事前に総合診療医(GP)の診察が必要となります。

【支払い】
各種クレジットカードによる事後決済

【予約】
予約締切は予約日の3時間前までとなります。予約キャンセルは予約開始時刻の6時間前まで、「My Appointments」から手続きすることができます。6時間前以降の直前キャンセルは、キャンセル料金が発生する場合があります。予約スケジュールが合わず、個別に日程調整を希望される場合、気軽に下記連絡先までお問い合わせください。

【ご質問・お問い合わせ先】
admin@marikos-wellness.com

精神科医・首藤まり子先生の経歴

沖縄県出身。筑波大学医学専門学群医学類卒。精神科医として各地を転々とし、沖縄県、千葉県、神奈川県、愛知県での勤務歴あり。精神科救急から回復期、慢性期を経験。

【精神科医】社会医療法人友愛会 豊見城中央病院で初期臨床研修を修了。総合病院国保旭中央病院で精神科専門研修を修了。医療法人誠心会 あさひの丘病院、京ヶ峰岡田病院、ココカラハートクリニック、あつた白鳥クリニックと、これまで医療機関や医療刑務所・児童相談所で精神科医として勤務。訪問診療にも従事。

【産業医】三菱電機株式会社等で産業医として勤務。

【カウンセラー】2021年に公認心理士資格を取得。 COVID19パンデミックを契機にオンラインカウンセラーとして活動開始。他カウンセラーのアドバイザーも担う。

当初は一般成人を見ていたまり子先生ですが、より長期的視野を持った診療をという気持ちがあり、小児精神や高齢者(認知症など含む)も対象にした診療、児童相談所で一時保護児童の診察、発達相談などの相談事業なども担当しました。

2011年の東日本大震災時には千葉の銚子・旭エリアの仮設住宅で心のケア事業に参加。クリニック勤務や産業医として企業への勤務を通し、より広い領域でのメンタルヘルスサポートに興味を持ち、「入院が必要になる前の段階」でのケアや介入に重点を置くように。引きこもり者や高齢で動けない方への訪問診療、医療刑務所での矯正医官業務にも従事した経験があります。

2020年の2人目の育休の時に、家族でメルボルンに1ヶ月間滞在したことでオーストラリアに興味を持つようになりました。その後コロナ禍で外出が制限されて自宅に孤立する人が増えたことや、在豪法人が帰国できずに海外で足止めされることで精神的不調が目立ち始めた状況に直面したことから、オンラインカウンセリングサービスの立ち上げに着手。メルボルンの日本人GPの富田愛子先生との出会いもあり、在豪法人に向けたオンラインサポートを開始しました。

その後、 2022年末に渡豪、現在はメルボルン在住。オンラインと合わせて対面カウンセリングも提供しています。

連携先のGP(総合診療医)富田愛子先生の経歴

神奈川県藤沢市生まれ。オーストラリア滞在歴25年以上。

日本とオーストラリアにて旅行業界業務、秘書業務、英会話講師、翻訳業務等従事後、医学部に入学。NSW州のシドニー市内・郊外・僻地と広範囲にわたり、救急外来から内科、外科、総合診療科まで勤務。

2015年よりメルボルンに在住し、総合診療医としてまり子先生と連携しています。

 

連携先のカウンセラー(産婦人科)西村陽子先生の経歴

東京都生まれ。産婦人科系のカウンセリングを担当(日本では産婦人科医)。
これまで総合病院、産科専門病院、クリニックでの生殖補助医療や婦人科診療などを経て、現在は総合周産期母子医療センターに勤務。専門は周産期医療、女性ヘルスケア。これまでの経験から、周産期医療全般、一般婦人科診療(月経困難症や更年期障害など)、生殖医療(不妊相談、カウンセリング)、プレコンセプションケアなど、年齢に関わらずあらゆる女性が抱える悩みに対応いたします。

 

MARIKO’s Wellnessへのお問い合わせ

オーストラリアでオンラインカウンセリングを受けられる「MARIKO’s Wellness」は、日本の医師資格を持つ首藤まり子先生と都合の良い時間にオンラインで相談することができます。

人間関係によるストレスなどの繊細な悩みや、女性特有の悩み、ライフステージに応じた悩みなど、抱える悩みは人それぞれ。一人ひとりさまざまな事情があるオーストラリアでの海外生活なので、特にプライバシーを重視し、共感と理解を基にしたアプローチでサポートしてくれます。

首藤まり子先生は、日本で15年以上の経験を持つ日本の精神科医。医師・産業医・公認心理士というバックグラウンドを持ち、児童・学生・主婦(主夫)・高齢者など幅広い層へのケア、虐待やひきこもり、依存症などに関しても経験豊富です。豊富な知識・経験を活かし、心身のトータルケアについて一人ひとりの状況に適したサポートを提供します。

メルボルン在住のGP (総合診療医)の富田愛子先生、 また新たに日本の産婦人科医・ヘルスケア専門医でもある西村陽子先生とも連携を開始しました。日本とオーストラリア両方の医療・福祉システムに精通した包括的なサポートを提供します。

オンラインセミナーや、対面でのサービス提供についての相談も、受付中!オンライン、メルボルンでの対面、どちらでもお気軽にご相談ください。

初回のお試しセッションとして、現在「MARIKO’s Wellness」では初回オンライン相談が15分$35!

【予約フォーム】
https://clientportal.powerdiary.com/clientportal/marikocounselling/AppointmentBooking/ClientAppointment

【サービス概要】
本サービスはカウンセリング/医療相談であり、診療行為(診断・投薬など)は含みません。一般的な診察や投薬をご希望の場合、富田愛子先生のオンライン診療(GP)をご検討ください。診療とカウンセリングの併用も可能です。

【海外旅行保険の適用について】
ご加入の保険の種類によって適用となる場合があります。保険の種類や契約内容により条件が異なります。詳細はご加入の保険会社へ直接ご確認ください。

【オーストラリアでのご利用について】
海外旅行保険を適用する場合、事前に総合診療医(GP)の診察が必要となります。

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予約締切は予約日の3時間前までとなります。予約キャンセルは予約開始時刻の6時間前まで、「My Appointments」から手続きすることができます。6時間前以降の直前キャンセルは、キャンセル料金が発生する場合があります。予約スケジュールが合わず、個別に日程調整を希望される場合、気軽に下記連絡先までお問い合わせください。

【ご質問・お問い合わせ先】
admin@marikos-wellness.com

MARIKO’s Wellness

ウェブ:https://www.marikos-wellness.com/en
メール:admin@marikos-wellness.com

お問い合わせフォーム:https://www.marikos-wellness.com/contact

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