at_money_service
マネー

今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)13 June 2022

13 June 2022

◎<主なイベント>
6/13(月)豪州休場(クイーンズ・バースデー)、Q1四半期法人企業景気予測調査
14(火)5月NAB企業信頼感・景況感、日本4月鉱工業生産、独5月CPI(改定値)、6月ZEW景況感調査(独・ユーロ圏)、米5月PPI
15(水)6月WESTPAC消費者信頼感、中国5月小売売上高・鉱工業生産、米5月小売売上高、FOMC
16(木)日本5月貿易収支、豪州5月雇用統計、BOE理事会、米5月住宅着工件数・住宅建設許可件数
17(金)日銀政策会合、米5月鉱工業生産・設備稼働率、米5月景気先行指数


◎<マーケットの焦点>―135円も「まだ道半ば」

先週は主要国の株価が大幅に下落し、米債利回り上昇・ドル高となった。
週初に130円台まで調整反落したドル円は、結局金曜日の予想を上回る米5CPI発表後の長期債利回り上昇(高値3.17%まで)を受けたドル全面高で134円台半ばでの越週となった。
係る米国はじめ主要国の金利上昇や長引くエネルギー価格の高騰による景気先行き懸念が株価を押し下げたもの。(世銀は今年の世界経済見通しを前回1月の4.1%から2.9%に下方修正し、スタグフレーション懸念を表明している)
株安・米債利回り上昇は再び「リスク回避のドル買い」を活発化させている。
政府は財務省・金融庁・日銀による三者会談を金曜日に開催し「為替相場はファンダメンタルズに沿って安定的に推移するのが重要、為替の急速な変動は望ましくない、最近の為替市場では急速な円安進行が見られ憂慮している、政府日銀は緊密に連携、他の諸国の通貨当局と緊密な連携を継続、G7合意に基づき必要であれば為替市場で適切に対応」と必死にメッセージを発信したが、各国ともにインフレ緩和が主要政策課題である中で自国通貨下落を簡単には認めないだろう。
何と言っても日本は相変わらず主要国中、インフレ上昇率が最も緩やかな国(米欧の1/3以下)なのだ。
今週はFOMCBOE理事会、日銀政策会合が開かれるが、市場予測ではFOMCBOE理事会ではそれぞれ50bp25bpの利上げを予測し、日銀会合では引き続き金融緩和継続と見ている。
今週も週明けから135円台一歩手前まで円安が進行しているが、ファンダメンタルズ的にも貿易赤字の拡大(木曜日に発表される5月の貿易収支は2兆円を超える赤字予想)と欧米の1/3以下のインフレ率では、円買い戻しの説得材料とならないだろう。結局は政府・日銀の“口先介入”に頼らざるを得ず、市場のドル買いポジション積み上がりによる調整反落を待たざるを得ないだろう。
しかしポジション調整によるドル円反落も新たな「買い場の提供」に過ぎない。135円も「まだ道半ば」というところであろう。

◎<豪ドル相場>

豪ドル軟調、豪ドル円堅調地合か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7037-0.7247  AUDYEN  93.78-96.88
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6900-0.7200  AUDYEN  93.00-97.00

先週豪ドルは対ドルで70セント台前半まで下落する一方、対円ではドル円の134円台への上昇と相殺し合いつつ、一時96円台と今年の高値をつけ、反落後も94円台を維持している。
「リスクオフのドル買い」優勢であり、特にユーロやポンドなど欧州通貨の下落が著しく、豪ドルの対ドルでの上値を重くしている。
長引くエネルギー価格の高止まり(原油価格は一時123ドル台まで上昇)により商品相場(CRB Index)は351台まで上昇を見せているが、むしろエネルギー価格の上昇が経済に及ぼすネガティブな影響が懸念されており、商品相場の上昇も豪ドルサポート要因となっていないのが現状だ。
RBAは今月の理事会で予想を上回る50bpの利上げを行いOCR(オフィシャル・キャッシュ・レート)を0.85%とし、今後の継続利上げを示唆したが、FOMCと比較すればモデラートな利上げ予想であり、むしろ豪州国内でも景気減速懸念が浮上している点は要注意である。
豪ドルが本格的に反転するには、「ウクライナ紛争の鎮静化によりエネルギー価格が正常化して、世界経済への不安が解消される」というプロセスを経る必要があるだろう。

―読者各位―
◎ジョーのTWITTER、フォローしませんか??
アドレスは@joetsudaFX です-相場の話など意見交換しましょう!!

この記事をシェアする

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら

マネー

29 January 2024 ◎<ポイント> 今週はFOMCに米雇用統計 ・先週は米株(NYダウ、S & P 500)が史上高値を更新!! …