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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)12 September 2022

12 September 2022

◎<主なイベント>
12日(月)中国・香港市場は中秋節のため休場、国際原子力機関(IAEA)理事会(16日まで)
13日(火)日本国内企業物価指数(8月)、日本景況判断BSI大企業全産業(第3四半期)、ドイツZEW景況感指数(9月)、ユーロ圏ZEW景況感指数(9月)、米消費者物価指数(8月)、OPEC月報、第77回国連総会開幕14日(水)英消費者物価指数(8月)、米生産者物価指数(8月)、G7貿易相会合(15日まで)、フォンデアライエン欧州委員長施政方針演説

15
日(木)NZ GDP(第2四半期)、豪雇用統計(8月)、英中銀政策金利、米小売売上高(8月)、米NY連銀製造業景気指数(9月)、米フィラデルフィア連銀景況指数(9月)、上海協力機構(SCO)首脳会議(16日まで)
16
日(金)中国小売売上高・鉱工業生産(8月)、英小売売上高(8月)、米ミシガン大学消費者信頼感(9月)、ロシア中銀政策金利、北大西洋条約機構(NATO)会合(18日まで)
週内
中国習近平国家主席とプーチン露大統領、会談


◎<マーケットの焦点>―ドル高の調整継続か

先週ドルは新高値に上昇後調整反落した。
前週まで3週続落した米株も先週は大きくリバウンドし、リスク・オンモードになったこともドルの反落を誘った。
週初は前週の強い米雇用統計の余韻からドル円は140円台をキープし、今月のFOMCでの75bp利上げを織り込む形で続伸し、水曜日には144.99まで上昇。
ユーロは一時0.98台、ポンド1.14台に下落し、ドルインデックスは20年ぶりの高値110台を付けた。
しかし145円乗せに失敗する中、黒田総裁/岸田首相会談で黒田総裁が「一日2円も3円も動くのは急激な変化」とコメントするなどして、急激な円売りへの警戒感が高まり、ドル円は一時141円台半ばまで急落。またECB理事会で75bpの利上げを行い今後も大幅利上げを続ける可能性が示唆され、トラス新政権への期待感にポンドが底入れするなど、ここまで急激に溜まっていたドルロングポジションの調整色を強めて越週した。
今週は8月米CPIが発表され、やや上昇幅緩和予想であるが依然8%前後の強い数字が予想されるが、9/21FOMCを控えて当局発言の規制期間(ブラックアウト)に入る。依然として市場には年末に向けて150円またはそれ以上のドル円先高観が強いが、その多くは日米金利格差の更なる拡大を理由にしているようだ。
したがって黒田総裁としても145円を容認すれば一気に150円という認識で先週は円安けん制に出たが、同氏が本気であるとすれば、実弾としての日銀単独介入(ユーロ安懸念を抱くECBと同調できればベター)や100兆円に上るGPIFの外貨資産の為替ヘッジ(円買い)の可能性はあるだろう。実弾がなくてもドル全面高の調整が継続する場合には、ドル円も140円割れへ続落の可能性があるだろう。
それにしても持論である“日本サイド、円サイドの悪材料による円売り”があまりフォーカスされないのは不思議である。日米金利差拡大を囃したドル円上昇が一服した後は、いよいよ「円固有の売り材料」が注目されて150円方向に高値を更新する動きを予想する。

 

◎<豪ドル相場>

ドル反落で豪ドル買い戻し、対円では依然堅調

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6699-0.6877  AUDYEN  94.64-97.91
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6700-0.7000  AUDYEN  95.50-98.50

先週豪ドルは週半ばまでドル全面高地合となる中、一時67セント台を割るレベルまで売られたが、週末にかけてドルが軟調となる中買い戻された。対円ではドル円の反落と相殺しつつ97円台の高値圏を維持した。
今週は9月WESTPACの消費者信頼感と8月NAB企業信頼感・景況感、そして木曜日には8月雇用統計などの重要指標が発表される。中でも金利先高観とガソリン価格の高騰を受けた消費者信頼感の悪化が懸念材料だ。前月予想外の4万人減少となった就業者数は3万人増加の予想であるが、ボラタイルな数字であり油断禁物。
また先週90ドル割れまで下落している原油価格は、このまま落ち着いた動きとなればガソリン価格高騰の沈静化につながり、消費者信頼感には好材料であろう。(はたして今回の9月の消費者信頼感に反映されるか?)
ただ基本的にはドルの動きが豪ドルの行方を決定する(豪ドルは米ドルの受け皿)以上、ドルが反発に転じれば再び上値の重い展開となろう。
対円ではドル円の大幅クラッシュがない限り引き続き堅調推移を予想する。


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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