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シドニー発豪ドル見通し(11 September 2017)

<今週の主な日程・イベント>

9/11(月)北朝鮮制裁の国連採決、日本7月機械受注、クーレECB専務理事講演 12(火)英国8月CPI・PPI、OPEC月報、アップル新製品発表イベント 13(水)米国8月PPI 14(木)豪8月雇用統計、中国8月小売売上高/鉱工業生産、BOE理事会、米8月CPI、米新規失業保険申請件数 15(金)米8月小売売上高、米8月鉱工業生産、米9月NYK連銀製造業景況指数、ユーロ圏財務相会合、EU財務相理事会(非公式)

<マーケットの焦点>

先週は前週末の北朝鮮の核実験を受けて引き続き北朝鮮の地政学的リスクが市場を覆いました。 日米はじめ世界的に株価は軟調でしたが、ECBの緩和縮小観測が後退した独DAXなど欧州株価は堅調でした。RBA理事会やECB理事会が開催されましたが、ECB理事会では事前予想通りにQE縮小に関する示唆はありませんでした。ただ10月にQE縮小に関する判断を決定することが表明され、しかも予想されたユーロ高けん制も然程強いものではなかったことから理事会を受けてユーロは2015年1月以来の1.20台に上伸しました。 ドル安の流れが継続し、北朝鮮リスクからドル円は一時昨年11月以来の107円台前半に下落しました。ただ9月9日の北朝鮮の建国記念日に前後して新たな挑発行為がなかったことから、ドル円は週初108円台前半に反発しています。 太陽表面の強い爆発(太陽フレア)の影響で電子機器への影響が予想されたことが、ミサイル発射取り止めの一因とも言われています。 今週は本日の国連安保理の北朝鮮制裁決議採決が注目されます。 今朝の北朝鮮中央通信(国営メディア)は「米国の行動を注視している。米国がより厳しい制裁を仕立ててくればその代償を支払うことになる。いかなる形の最終手段も行使する用意と意思を有する」と国連決議をけん制しています。 経済指標で注目されるのは木曜日に発表される米国8月CPIで(前回は前年比+1.7%)、結果が弱ければ12月の利上げ観測が更に後退します。 ロシアゲート疑惑が依然くすぶる中、トランプ政権の排他的政策や保護主義に対する内外の批判が強く、加えて大型ハリケーン“ハービー”に続いて“イルマ”もフロリダに上陸し、既に甚大な被害をもたらすなど、米ドルに対する悪材料は絶えません。 悪材料が一旦一巡すると、ドルの買戻しが入るという従来からのパターンが足元続きそうです。

<豪ドル相場>

今週の豪ドルは引き続き米ドル動向をみながら堅調を維持するでしょう。

先週のレンジ: AUDUSD   0.7941-0.8125   AUDYEN 86.55-87.73
今週の予想レンジ: AUDUSD   0.7900-0.8100 AUDYEN 85.00-88.00

先週の豪ドルはじり高推移でした。RBA理事会の声明では先月に続いて豪ドル高牽制がなされました。「豪ドル高は生産や雇用の見通しに悪影響を与える」と指摘しました。ただ「足元の米ドル安が豪ドル高の一因」とも述べており、豪ドル独歩高ではないとの認識も示していることから、RBAのけん制も然程腰が据わっていないとの見方が豪ドルをサポートしました。 発表されたQ2GDPは前期比+0.8%(予想+0.9%、前回+0.3%)、前年比+1.8%(予想+1.9%、前回+1.7%)と前回の低い数値からは回復していますが、依然としてトレンド成長率(+2.75%前後)からはかなり低い数値であり、RBAとしてあは成長を減速させる豪ドル高を何とか阻止したい気持ちに変わりはありません。 その他7月貿易収支は+460mio豪ドル(予想+1,000mio、前回+828mio)、また7月小売売上高は0.0%(予想+0.2%、前回+0.2%)とあまり冴えない内容でした。 今週は木曜日に8月雇用統計が発表され予想は失業率5.6%(前回5.6%)、就業者数+19千人(前回+27.9千人)ですが、ここ数か月目立った反動なしに強い数字が継続しています。ただfull-time-jobは毎月40千人以上のアップダウンがあり、就業者数の数字に加えて注視する必要があります。 北朝鮮の地政学的リスクが更にエスカレートする場合には、リスク通貨豪ドルも下落するでしょうが、むしろドル相場の軟調が継続する場合には“豪ドルは米ドルの受け皿”であり、豪ドルがある程度サポートされる展開を予想します。

 

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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