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シドニー大学主催第一回豪州井上靖賞授賞式

6 月8日(金)、Chifley Plaza内Japan Foundationにて、シドニー大学主催第一回豪州井上靖賞授賞式が行われた。
受賞されたのはクイーンズランド大学アジア言語研究学科シニアレクチャ ラー(日本語日本文学)の青山友子氏で、会場には井上靖氏の次女である黒田佳子氏も駆けつけ、スピーチを行い、詩の朗読を披露した。

 
 
井上 靖(いのうえ やすし)
1907年5月6日-1991年1月29日
小説家、詩人
 
1950年「闘牛」で第22回芥川賞を受賞
1958年「天平の甍」で芸術選奨文部大臣賞
1959年「氷壁」で芸術院賞
1960年「敦煌」「楼蘭」で毎日芸術大賞
1961年「淀どの日記」で第12回野間文芸賞
1964年「風濤」で第15回読売文学賞
1969年「おろしや国酔夢譚」で第1回日本文学大賞
      ポルトガル・インファンテ・ヘンリッケ勲章
1976年文化勲章
1981年NHK放送文化賞、仏教文化賞、「本覚坊遺文」で日本文学大賞受賞
1985年朝日賞
1989年「孔子」で第42回野間文芸賞
 
現在、井上靖氏原作の「風林火山」がNHK大河ドラマで放送中。(2007年6月現在)
 
 
   
会場の様子と会場に設置された井上靖氏の写真
 
 
司会を務めるシドニー大学のクレモント・やすこ氏
 
 
スピーチを行う在シドニー総領事川田司氏
「本日の授賞式で第一回の井上靖賞受賞をお祝いすることが出来て大変嬉しく思います。」
 
 
スピーチと受賞者の紹介を行うシドニー大学のエイドリアン・ビッカー氏
「青山友子氏は日本の文学をオーストラリアに伝えることで両国の文化交流に多大な貢献をされました。」
 
スピーチを行う受賞者青山友子氏
「今回の受賞を大変嬉しく思います。これまで井上靖氏についての論文を発表した事がないので、今回の受賞を機に代表作の“しろばんば”などを読み直し、論文を発表したいと考えております。」
 
スピーチで父・井上靖氏がどのように文学を始めたかを語られる黒田佳子氏
「父が存命の頃はオーストラリアに来た事がなかったので、このような形でセレモニーが行われていることを知ったら大変驚き、また、喜んでいたことと思います。」
 
黒田佳子氏が語る井上靖氏の若かりし日の思い出
 
「父は文士にし ては健康で活発なほうで、若いころは柔道部に所属していました。毎日一生懸命に柔道の練習をしていました。実家は医者でした。しかし柔道に明け暮れていた 父は医学を学ぶ余裕がなく、部活動と勉学の間で将来について悩んでいた時に、ふと立ち寄った本屋で詩の本を手に取り、その本に感激して詩を書き始めたので す。それが父の文学への道のきっかけでした。ノベリストとして知られる父ですが、作品を書き始めるきっかけは作詩だったのです。
 
その後、父は友 人の勧めで京都大学の哲学科に入学しました。そこでたくさんの小説を書き、雑誌社に応募しました。その頃の小説を書く動機は“やりがいがあって、入賞すれ ば懸賞金がもらえる”というもので、小説家としてキャリアを積むためではありませんでした。しかし父の作品は応募すればするほど入賞し、数々の雑誌に掲載 されました。あんまり掲載されるので作品ごとに名前を変えて応募を続けたほどです。そのうちにお芝居や文学賞からもお声がかかるようになり、雑誌からも執 筆依頼を受けるようになりました。
 
しかしその反 面、父の中で“自分は小説家になりたいのかどうか分からない”という疑問が浮かぶようになり、ある時から仕事の依頼を全て断って、小説を書くのを辞めてし まったのです。父は大学卒業後、毎日新聞社に入社し、記者として働き始めました。そこでたくさんの文化人・芸術家・宗教家と知り合い、その影響でお坊さん になろうと考えました。そしてお坊さんになるための勉強をしたのですが、生憎、試験当日に高熱を出して受験することが出来ませんでしたので、お坊さんにな るという道を断念しました。
 
そして戦争が終わる頃、父は、“小説家になろう”と決意しました。大学の頃に小説を書くことを止めてから10年以上後になります。それ以降は様々な作品を発表して皆様に親しまれるようになりました。父の作家生活は43歳からスタートし、亡くなった83歳まで続きました。」
 
 
受賞者を囲んで記念撮影会
 
 
黒田佳子氏による詩の朗読
「残照」「新しき年の初めに」「雪」を朗読
 
 
井上靖氏原作映画「氷壁」鑑賞会
「氷壁」
1958年
主演:菅原謙二、山本富士子、上原謙
TVドラマ化:67年、72年、2006年
 
会場を訪れた方々のパーティでの様子
 
 
(左)角田徹也氏(キャノンオーストラリア)
(右)深町恒之氏(紀伊国屋書店)
 
(左)谷脇茂樹氏シドニー商工会議所・日本人会事務局長)
(中央)堀内丈太郎氏(JNTO)
(右)ジェイコブ氏(ニューサウスウェールズ州日豪協会)

 
 
 
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