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オーストラリアは学ぶに値する国?

街を歩いていて数多くのアジア人の若者の姿を目にします。多くは、ワーキングホリデーや学生の人たちでしょう。特に中国人の若者が多いようです。

オーストラリアにおける教育は輸出産業といわれるほど、海外からの留学生を数多く受け入れて成り立っています。政府による教育機関や履修コースの登録制度により、安定した質の高い教育を提供することを保証しているわけです。

輸出産業全体では、輸出額で比較した場合、石炭、鉄鉱石、金に次ぐ産業として教育があります。2009年度の留学生数は約63万人。特にアジア諸国からの留学生が全留学生の約70%を占めています。

特にアジア諸国からの留学生が増えてきたのには、以下のような理由があります。

(1)政府の積極的な受け入れ政策

(2)公用語が英語

(3)アジアに近い地理的な位置

(4)比較的安全で差別が少ない

(5)質の高い教育を提供

(6)永住権取得が容易

ところが、それほど重要な位置を占める教育産業ですが、その留学生が減ってきているんです。先週発表されたデータによると、2009/10年度の留学生数は32%も落ち込んでいるというんです。

これは移民省の発表で、海外からの学生ビザ申請数を元にしています。2010年の下半期、6カ月間のビザ申請数が前年同期比で32%、また、2009年の同じ時期では2008年と比べて22%減少しているというのですから、ここ数年減少傾向が続いているということです。

いったいどうしてなんでしょう。

考えられるのは、世界金融危機による景気悪化、豪ドル高、移民政策の変更、インド人留学生への暴行事件、などがあります。特に、増えてきた理由の(4)と(6)がもはや魅力的ではなくなっています。インドからの留学生数は、暴行事件の後、半減しています。いまや「比較的安全で差別が少ない」などとは言えなくなっているのでしょうか。

また、これまでは学生ビザから永住権取得が比較的容易という理由で、留学生数が伸びてきた現実があります。ところが今年7月には移民法が改正され、独立技術移住の申請条件が大きく変わる予定です。改正案によると、留学生にとってかなり不利な条件になっています。そうなるとますます留学生が減ってしまうようですが、はたして政府は抜本的な対策を行なうことができるのでしょうか。

慌てて移民省では、学生ビザの見直しを検討し、対策を練っています。政府としては、ライバルの英国やカナダに留学生を奪われないようにと、大学関係者を引き連れて、中国詣でをしています。なにせ中国は最大の留学生供給国なんですから。いわば、資源も学生もお得意様は中国の時代です。

海外留学生の出身国ベストファイブは、中国、インド、韓国、タイ、ブラジルですが、各国ともに15%〜29%の落ち込みを示しています。日本人の留学生も2003/04年度は1万3,000人ほどいたのですが、以後、毎年減少し、2009/10年度は6,374人と半減しています。

ちなみに、ビザの申請数と発給数による発給率を比較した場合、日本人留学生への学生ビザ発給率は99%台と非常に高く、申請者のほぼ全員がビザを取得しています。国によっては65%というところもあるのですから、日本人留学生は優等なビザ申請者となりますね。

でも、最近は「内向き志向」と言われる若者が増えて、旅行にしても留学にしても、海外へ出たがらない人が多くなっているようです。

せっかく教育環境を整備して万全な受け入れ態勢を築いているオーストラリアなのに、留学生数の減少と政府の補助金の減少で、各教育機関ではその経営が危惧されるほどです。

教育はわたしたちの未来の世界を築いてくれる大事な分野です。世界の人が交流できる海外留学制度は、世界の多様化を推進してくれるものです。

なんだかインターネットの普及で、世界との交流をネットの世界で満足している人たちが増えています。でも、それでいいのかな?  ネットの世界から現実の世界に、多様な現実世界を体験するのも大事だと思うんですが…、留学もそのひとつの方法ですよ。

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