医療/保険

■よくある質問:カウンセラーとのちがい

よくあるご質問にお答えしておきたいと思います。「サイコロジストとカウンセラー、同じようにカウンセリングが出来るようですが、資格の名前がちがいます。どのようにちがうのですか?」

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豪でカウンセリングができる資格名として、主に「サイコロジスト」「カウンセラー」「サイコセラピスト」「ソーシャルワーカー」があります。私は一番はじめの、オーストラリアのRegistered Psychologist、日本の「臨床心理士」です。

サイコロジストになるには大学で心理学を専攻し、その後臨床心理学専攻で大学院で修士課程を終えて、指定の実務を行ったことを認定されて、やっと晴れてHeath Board of Australiaに資格登録されます。そう、サイコロジストはオーストラリアで「医療系の国家資格」です。心理学の修業年限は5~6年です。日本では大学院修了後臨床経験1年を経てから、資格試験を受けて合格する必要があるので、大学の心理学専攻に入ってから資格の取得まで合計8年はかかる気の長いコースです。

この四つの資格名の中で、「サイコロジスト」とならんで医療資格なのは「ソーシャルワーカー」のみです。「カウンセラー」や「サイコセラピスト」は実ははっきりとした資格が存在せず、医療資格でもありません。何の学士でもいいのですが大学卒業資格があって、その後1年間のGraduate Diploma of Counsellingを勉強しただけで、カウンセラーを始める人が多いようです。「資格制度が存在しない」ために、CAPAやPACFAなどのカウンセラーとサイコセラピストの学会員になることを持って、そのメンバーシップが資格であるかのように仕事をしているのが現状です。

日本でも実は「カウンセラーをめぐるあいまいな状況」は同じで、カウンセラーと言う資格自体がやはり存在しません。日本でカウンセリングが正式にできるのは、「臨床心理士」だけです。つまり、なるのに8年以上かかるサイコロジストしか資格としてはないんですね。(他に数週間程度の研修だけでなれる NPO法人認定カウンセラーやストレス・カウンセラーなるものもあったりしますが、それは「資格としては心理臨床業界では一切認められていない」と言わざるを得ません。それは心理臨床とはまた別の、「ヒーリング」などの分野です。またNPO法人は、自分の団体の認定としてどんな資格でも独自に作ってしまうことができます。正確に言うとそれは業界で通用する「資格」ではなく、ただの「団体独自認定」に過ぎませんが)。

豪ではサイコロジストもカウンセラーもサイコセラピストもカウンセリングができますが、なるまでの勉強量と年月や資格制度もちがうのです。サイコロジストは 医療資格として最上位に位置づけられていて、行える守備範囲が広く、例えば心理検査や発達検査などのアセスメント をして心理査定レポートを書くことができるのはサイコロジストのみです。移民局や裁判所に資料として提出する正式な書類は、サイコロジストでなければ書けないことがほとんどだと思 います。

また現実には、サイコロジストとカウンセラーでは、その資格的重さがちがうために、請求可能な料金がまったくちがいます。Australian Psychological Societyが設定しているReccomended Fee(推奨料金、2014年度)は、初回一時間半316ドル、二回目以降一時間228ドルです。カウンセラーの相場は、一時間100-85ドル前後です。このとれる額の違いが、資格自体の重さと研修量を示しています。しかし当相談室での料金に関しては、日本人にはこういったサービスに対して費用を払うという習慣がほとんどなく、それでは必要な方に活用していただきにくくなることをよく理解していますので、プライベートでお支払いの場合このような料金設定にはせず、極力自己負担費用のないように設定しています。(料金改定もありますので、具体的にはどうぞお気軽にお問い合わせください)。

例えば建物や家を建てたり直したりできる資格として、この国ではビルダー、カーペンター、ハンディマンがありますね。ビルダーが最も資格がとれるまでの要件が厳しく、またやっていい範囲も広く、だからこそその高い専門性が認められて請求できる料金も高いのだと思いますが、サイコロジストは建築業界で言えばこの最上位のビルダーと同等のようなもの、と言えると思います。

このようなちがいがあるので、オーストラリアの国民健康保険であるMedicareは医師による紹介を持って、資格要件の厳しい、高い専門性が認められた医療資格であるサイコロジストの料金しかカバーしないのです。学生さんのOSHC保険も、Medicareに順ずる医療制度となっているため、医師の紹介があれば、サイコロジストのみ治療費をカバーします。またプライベート医療保険(Medibank, MBF, HCFなどなど)も、サイコロジストの料金であればほとんどカバーされます。カウンセラーは医療資格ではなく、これら全ての保険で料金をカバーできないのです。カウンセラーがカバーできるのは、医師の紹介による海外旅行保険、ほぼそれ一種類のみです。プライベート医療保険のほんの一部がカウンセラーの料金をカバーすることがありますが、サイコロジストであればほぼ全てのプライベート保険でカバーされるのとはずい分ちがいます。

それでも一部医療クリニックがサイコロジストではなくカウンセラーを使いたがるのは、端的に言って「料金がより低いから」ということも主要な理由であるようです。

サイコロジストはカウンセラーより高い専門性を持っていますが、その守備範囲は心の病理的な分野に限られるかと言うと、けっしてそんなことはありません。確かに、心理についての高い専門性が認められて いるために、医師と連携して仕事をすることは多いです。病院臨床をやっていれば、そのような病理の深い患者さまに会うことが多くなるでしょう。しかし開業臨床 の場合、ちょっとした悩みやブレイクダウン、また進路やさらに良い関係を求めて、といったクライエントが大半です。精神構造としてはとても健康な方だけれ ど、最近のストレスやトラウマを乗り越えるために…といった方がとても多いです。

心の病理の深い人がサイコロジストに会いに行き、もっと一般的な問題なら他の資格の人の所に行く??という振り分けのイメージについては、明白に「それは誤解です」。事実ではありません。

サイコロジストは研修期間が長く、必ず精神科研修に行きますから、病院臨床の中でよくお会いするような病理の深いクライエントについても経験はあります。そのような方についても守 備範囲にできることが多いとも言えます。しかし、病理の深い方だけの専門、ではありません。正確には「病理の深い方から健康度の高い方まで守備範囲が広 く、経験が多い」のです。

また私自身は、自分のことを「カウンセリング・サイコロジスト」だと思っています。私自身が一番好きで得意分野だと 思っているのは、非構造的で、共感的なカウンセリングです。ヒューマニスティック・アプローチである「来談者中心療法」、そして「交流分析」に基礎的な足場を置いていると思います。大学院での臨床心理学の専攻は、日本ではいまだに強いアプローチである「精神分析と精神力動学」でしたが。その知識を「交流分析」というカウンセリングのやり方の中で応用していると思います。

もちろん「認知行動療法」やら、「動機付け面接」やら「マインドフルネス、アクセプタンス・コミットメント・セラピー」やらさまざまなスキルを、クライエントの必要に応じて応用しますが、治療的人間関係は、「クライエントをあるがままに受け止めて傾聴するカウンセリングからしか発展していかない」ことが身にしみています。基本的にはクライエントの方に役立ちそうなことは何でも提案して、取り入れられるものは取 り入れていこう、といった柔軟なスタンスです。

大学院を出てから、私のキャリアはずっとこの分野、心理臨床で、カウンセリングの経験は非常に長く、すでに二十年以上(正確に言うと二十二年)になってきました。日本でも臨床心理士の資 格を持ち、働いた経験があるので、日本人の心にありがちな問題にずっと関わっていますし、豪に来てからのこの十六年以上では、在豪邦人の心にありがちな問題につ いて経験が長くなって来ました。

もちろんカウンセリングは人間関係ですから、人と人との相性がありますね。それは間違いのないことです。 私自身は、自分がクライエントだったらこういう風に扱ってもらいたい、こういう風には扱って欲しくないという自分の感覚を何よりも大事にしたいと思います。その一番は、「平等主義」ですね。要は、プロとして身につけた知識と経験で全力で援助しようとするけれども、基本は知識と経験がちがうだけの「横並びの、長所も短所もある同じ人間同士」であるという感覚のことです。臨床家本人が自分自身の問題を持ち、クライエントを丁寧に扱えない、またはむしろ傷つたり混乱させてしまうという残念な事例を、二十年以上にもわたる心理臨床人生の中で、正直見聞きしたことも多々あります。そうはなりたくない、援助するということは一体どういうことなのかという難しい問いを、常に問題意識として持っていたいと思っています。

臨床家を選ぶ際には

*資格が何か

*臨床経験の長さ

*保険カバーの有無や費用面

*アクセスしやすさ(クリニックの場所)

*その方の持ち味や相性

などをポイントに、ご自分のその時のニーズにあった所を選ぶことをお勧めします。

そのためにはまず電話で気軽に問い合わせて、以上の点について質問をしてみる(特に、私だったら臨床経験の長さについて知って納得した上でカウンセリングを受けるというのは重要なポイントです)、またその方の雰囲気を確かめてみることが大事だと思います。私のストロング・ポイントは、「臨床経験の長さと多さによる知識量と経験量」、そして「クライエントに対する同等でフェアな態度」だと思います。

相性が合い、持ち味や能力に納得できる臨床家に会えるのは、とても幸せなことだと思います。臨床家もそれぞれの人がそれぞれの良さを持っていますから、どの人にするのかはクライエントが決める権利があるのです。まずはトライアル・カウンセリングに来る、電話で問い合わせるなどして、納得のいく人と出会えると良いと思います!

お電話での問い合わせ、歓迎です。実は敷居はか~なり低かったことに、気づいていただけるのではないでしょうか。

 

以前のJAMS営業スタッフの海(うみ)さん(左)と。
あれからもう数年です。海さんのときにこのブログを始めました。
海さん、どうしてるかな~?

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