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「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda(津田 穣)20 November 2023

20 November 2023

<ポイント>米指標軟調でドル反落(149円台前半まで)
・先週は米国指標総じて軟調にて米債利回りも徐々に低下し、主要国の株価は3週連続で続伸した。
・ドルは米指標の軟調を受けて軟調推移した。10月の米CPI3.2%(予想3.3%、前回3.7%)と伸びが鈍化しドル売りを誘った。10月米小売売上高は予想をやや上回りドルが買戻されたが、その後発表された新規失業保険申請件数の増加や、10月輸入物価指数が前月比-0.8%(前回+0.4%)と予想-0.3%を下回ったこともドル売り戻しを誘い、結局ドル円は149円台前半に下落し、ユーロは1.09台、ポンドは1.25台まで反発。
・ただ英国CPIの伸び鈍化と弱い小売売上高を受けてポンドは上値を削り、結局ユーロ/ポンドは0.87台後半まで値を上げている。
・ドル円は月初の弱い米雇用統計後に149円台前半に下落したものの、その後は先週金曜日まで150円台をキープし、むしろ151円台後半の今年の高値を窺った背景は、やはり日銀の根強い緩和継続姿勢があった。しかし米経済に陰りが見え出したことから、ドル円全体に調整売りが入り、ドル円も渋々150円台を割った形だ。
・「足元の円安は御釈迦様の掌で泳がされている感じ」と述べたのは、日米金融格差・景気格差による円安にも限りがあるという意味であり、やっと150円台を割り込んだが、まだドルの天井を確認したとは言えない。
・とはいえ、米国の10CPI3.2%に対して来週発表される日本の10CPI(前年同月比)は予想3.4%と日本の物価が、逆に中々下がらないとの印象であり、今後米経済指標の軟調が鮮明化すれば、“金利差に起因したドル買い”に更に調整が入ってもおかしくない。
・したがって本格的な「円安の嵐」(おそらく来年以降)はやはり日本からの資金流出を伴なうものであり、「日本のファンダメンタルズ悪化の結果である」との筆者の展望には変化はない。

◎<豪ドル相場>――ドル反落で65セント台回復

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6351-0.6542  AUDYEN  96.28-98.60
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6350-0.6650  AUDYEN  95.50-98.50

・先週豪ドルは、週初はドル高や11月のRBA利上げを嫌った消費者信頼感の低下を嫌気して軟調推移したが、週後半にかけては、米経済指標の軟調を受けたドルの反落(米ドルインデックスは105ドル台から103台に下落)を受けて65セント台を回復。
・対円では週初ドル円の151円台と65セント台への相乗効果で98円台半ばまで上昇したが、結局ドル円の150円割れにより97円台半ばまで反落して越週した。
・今週はブロックRBA総裁の豪州証券投資委員会(ASIC)年次総会での講演と、翌日の経済・金融政策についての講演が注目されるが、果たして今月利上げした“タカ派”総裁の発言に変化の兆しが見られるか?
・足元は「豪ドルは米ドルの受け皿」でドルの方向性によりアップダウンが予想されるが、商品相場に従来の堅調さがないのは懸念材料。
・ドル円に150円天井感が出る場合には、豪ドル円が100円方向を目指す可能性も、取り敢えず今回も“お預け”となるだろう。


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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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