at_money_service
ビジネス

「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣)11 December 2023

11 December 2023

<ポイント>先週は一時141円台まで調整
・先週ドル円は一時141円台まで調整反落した。ドル円の“絶対値”が大きいために100円割れのレベルとは同列に論じられないが、上値151円台から一月で10円落ちたわけで、これも大きな動きと言えるだろう。
・「150円の上に定着は時期尚早」と述べていて、事実その通りの動きとなっているが、下値目標を145円台としていた。
・しかしそこで止まらないのが為替相場、、木曜日は高値147円台から一気に141円台まで急落したのは、まさにストップロスを巻き込んだロングの崩しであった。直接の原因は日銀の植田総裁が出口に言及し始めたこと。「賃金上昇を伴う2%の物価安定目標実現を目指し、粘り強く金融緩和を継続」と従来の姿勢を保ちつつも「国民からインフレ、円安への批判的な意見が増えている」と述べ「利上げの場合は具体的な新たな水準を念頭に置いていない」、「出口のシミュレーションは時期尚早」と市場の出口観測に釘を打ちつつも、徐々に金融政策正常化への本音が聞こえだした。→そこに市場が反応した。
・今週は米・英・ECB・スイスなど各中銀の年内最後の金融政策会合が開かれるが、予想は全て据え置きだ。また米国の11CPIが発表されるが予想値は3.1%(前回3.2%)、だがコア(前年比)は4.0%と変わらず。10月は3.7%から3.2%に大幅ダウンしたが、昨年10月~11月にガソリン価格が大幅ダウンしており、11月分は昨年の低いガソリン価格との比較になるため、“見せかけの数字”は然程インフレ低下とはならない見込み。果たして市場がどう反応するか
・今週は係る主要国の金融政策会合と米CPIが焦点だが、さすがに日米金利差に根ざしたドル円の上値も昨年10月の151円台後半と、今年11月の151円台後半で“ダブルトップ”形成だろう。
・むしろ来年のシナリオを描くと、中東やウクライナ、東アジア(中国、北朝鮮)などの地政学的懸念の行方に、米大統領選を控えて再び、前回相場に混乱をもたらした「不透明感の主因」であるトランプ氏の動静が大いに気になる。
・係る中、内外からの圧力により日銀は金融正常化に踏み込まざるを得なくなるが、当初は円高に反応しても、結局日本の経済、財政に混乱をもたらし、来年中に再び円が大きく下落する(新安値)というシナリオは変えていない。

◎<豪ドル相場>――ドル反発する中、反落

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6525-0.6688  AUDYEN  93,72-97.91
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6450-0.6750  AUDYEN  93.00-98.00

・先週豪ドルは、米ドルが買い戻される中(ドルインデックスは102台前半から104台まで反発)、66セント台が天井となり65セント台前半まで反落した。対円ではドル円が一時141円台まで値崩れしたため、93円台まで下落する局面もあったが、その後ドル円が145円台まで反発したため、豪ドル円も95円台に値を戻している。
・今月のRBA理事会では一部の利上げ観測をよそに、RBAは金利据え置きとしたが、11月の利上げはやはり“単発的な最後の利上げ”であった可能性がある。ただ市場は来年のQ1にもう一度の利上げを読んでいるようだ。
・今週は主要国の金融政策会合や米国の11月CPIが注目されるが、クリスマス休暇を控えて実質的に今週が「最終週」となることも考えられる。
・豪ドルは一旦66セント台でキャップされた形だが、米ドルが軟調に転ずる場合には、恒例である年末の資源会社の豪ドル輸出予約(豪ドル買い)もあり、年末に向けて再び堅調推移する可能性があるだろう。
対円では引き続きドル円のボラタイルな動きに連れてのアップダウンが予想される。


―読者各位―
◎ジョーのTWITTER、フォローしませんか??
アドレスは@joetsudaFX です-相場の話など意見交換しましょう!!
◎セントラル短資FX社の「マーケットビュー」(https://www.central-tanshifx.com/market/marketview/column/?morecnt=0&itemtype=1&pdate=2022112115年近く投稿しています。
月報(毎月第三月曜日にアップ)ですが斬新な相場観をご披露します!!

 

 

この記事をシェアする

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら