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医療/保険

身体の不調や疲れに終止符を!怪我にも強い身体を作るプログラム

(※撮影は2020年1月に実施)

普段よく運動をする人もしない人も歳を重ねるごとに感じているのが、身体の衰え。また新型コロナウイルスの影響により外出自粛が推奨される現在では、運動不足により体の衰えを実感する方が増えているかもしれません。「昔はもっと走れたのに…」「最近は激しい動きをするとしんどい」「以前より体調を崩しやすくなった」など、身体の悩みは多かれ少なかれ誰にでもある悩みですよね。

健康意識の高い人が多いオーストラリアでは、そんな身体の悩みを改善するために、フィジオセラピー(理学療法)が用いられるそう。スポーツ選手やスポーツチームにもフィジオセラピスト(理学療法士)が携わっており、またフィジオセラピストが処方するプログラムは、各種民間保険の保険適応となるため普段スポーツをしない一般の人でも、体力低下や体調不良を緩和するために通うことが多いんだとか。

フィジオセラピストの奥谷先生によると、慢性的な疲労や身体の不具合は、身体本来の基礎動作がしっかり機能できていないことから生じるとのこと。

そこで今回は、しっかり機能していない身体の部分を知れて、その部分を強化するアメリカ発祥のトレーニングプログラム「Functional Movement Systems:FMS」をご紹介!

本来の身体の運動能力を取り戻し、日々のパフォーマンスが向上し、慢性的な疲れも改善されるとのこと。身体の不調や疲れやすさとさよならし、怪我にも強い身体を手に入る魅力のプログラムを体験しに、Metro Physiotherapy and Injury Clinic」へJAMSスタッフが行ってきました♪ どんなテストをするのか、そして自分の身体がどうなってるかを知るのはドキドキです!

「Functional Movement Systems(FMS)」とは?

身体の基礎動作がどのくらい機能しているかを診るために、7種類の動作をテストするプログラムのこと。この診断に基づき、身体本来の機能を取り戻すためのトレーニングプログラムが組まれます。

それを実施するのがフィジオセラピスト。日本では理学療法士のことを指します。筋肉、関節、神経といった内臓以外の身体全般、身体の動きに関する問題や痛みなどを診断し、リハビリを行う専門家です。

奥谷先生はシドニーでメトロフィジオセラピーを開院して12年。一般人はもとより、プロスポーツ選手やパラリンピック選手の身体の治療、パフォーマンス向上を手がけている敏腕フィジオセラピストです。そこで、7項目のテストについて詳しくお聞きしました♪

人は脳の中に筋肉の動きに関するプログラムをもともと持っているため、赤ちゃんは目的を持たずして寝返りをうち、転がり、ハイハイをします。そして立ち上がり、歩き、走れるようになります。しかし、その後成長していくにつれてすべての運動能力が自然と上がっていくわけではないんです。生活や運動習慣が人それぞれですからね。

例えば、肩に100本の筋肉線維があるとします。デスクワークはそのうちの15本しか使わないとなると、全体の15%しか使ってないため85%は休眠状態。それが生活の大半ですと、15%で頭や腕など合計18kgを支えているのです。これでは、どう考えてもキャパオーバーですよね。使う筋肉線維が弱まるため、たえず疲れが生じてしまいます。

普段通りの生活の中では、弱っている箇所は見つけにくいもの。それを7種類の基礎動作を測るテストで見つけていくわけです。

身体の基礎動作を診断する7項目のテストを体験!

先ずは痛みや怪我など、身体に関するヒアリング

奥谷先生はボードを手にして、「どこかに痛みはありますか?」と、日常で痛くなる体の部分、過去の怪我、そして現在の生活などをヒアリングします。

さらに、身体の使用履歴を知るため「学生時代に何かスポーツはしていましたか?」と質問。吹奏楽部で打楽器を担当し、マーチングしていたことを伝えると、「その時に怪我したり、どこかに痛みはありましたか?」など、細かく尋ねます。

その後、7つの基礎動作に関する概要と、3・2・1・0点で点数をつける診断方法について説明。問題なくできれば3点、痛みがある場合は0点で、各項目の左右での点数や全点数のバランスによって総合評価し、その人に適したトレーニングプログラムを作成するそうです。

1. スクワッティング(Squatting)

まずは、筋力トレーニングでもお馴染みのスクワット。これは、脚、お尻、お腹、上半身のコンディションを診断します。

長い棒を持ち、肘を真っ直ぐに伸ばすように押し上げます。膝を前に出さずにお尻を後ろに引いて深くスクワット。このとき、前傾してしまう場合は、かかとの下に板を置きます。

実際にやってみると…かかとを上げずにスクワットをすると前に倒れてしまい、非常に難しい! かかとを上げるとやり易いですが、手に持っている棒を地面と平行に保たないといけないため、身体のいろんな部分を使うとともに頭も使っているなと感じます。

身体が前後にゆれる度合いや、棒が斜めになってしまうか、どのくらい深くスクワットできるかなどを見て点数をつけます。

2. ステッピング(Stepping)

次は、お腹を固定し体重移動しながら、下半身をどのくらい安定して動かせるかを診断します。

またぐことは簡単にできましたが、脚を戻すときに体のバランスを保つのが難しい…。左脚の方がバランスが崩れやすく、特にゴムバンドを超える際、足を1番高く上げるときに身体がグラグラしてしまいます。

3. ランギング(Lunging)

3つ目は、体感、足、上半身が連携して動くか、どのくらい安定して動けるかを診断します。

板の上でスネと同じ長さだけ脚を開き、背中に当てた棒を頭と腰のあたりで持ちます。後方の脚のひざを前方の脚のかかとにタッチするように動かし、前後の脚を反対にして同じ動作をします。

奥谷先生がNG例も説明してくれるので、分かりやすく、比較的簡単にできましたが、これまでの動作同様手で棒を持つため、バランスが取りにくいです。

体が横に揺れたり、お辞儀するように前のめりにならないように。シンプルの動きだけど、お尻や背中も使うので、全体のバランスが悪いと身体がぐらつきますね。

4. リーチング(Reaching)

続いて、肩甲骨、肩、胸椎の可動域を診断。デスクワークだと固まりやすい場所だそうです。

右腕は容易に上げられ、左の拳に近づけられるのに対して、左腕は上げにくく、右の拳に近づけにくかったです。左肩がよく凝るので、関係しているのでしょうか…。

5. レッグ・ライジング(Leg Raising)

これは、脚、骨盤、インナーマッスルのコントロール度合いを診ます。この3つの連携が整わないと難しい動作だそうです。

私は身体が硬いので、脚を上げると太ももの裏がとても痛かったです。棒に近づけようと頑張ると、片方の脚が地面から離れてしまいます。

身体がねじれたり、片脚が浮いたりしてはいけません。私が持つ棒を超えるなら、いい状態ですね。

6. プッシュアップ(Push-up)

6つ目は少し変わった形の腕立て伏せ。上半身と体幹の連動を診断します。

親指を目の高さの位置において、腕を肩幅に開き、肘を曲げてつま先で立ちます。そして、お腹に力を入れて体を持ち上げます。腰がしならないようにとのことですが…すごく難しい!  次に親指の位置を鎖骨まで下げて、同じ動きをします。

先生のデモンストレーションを見たときは簡単そうに見えたのですが…実際にやってみると難しい。特に親指が目の位置にあるときは、体を地面と平行にしたまま持ち上げるのがたいへんで、先に肩だけ上がってしまいます。

7. ロタリィ・スタビリティ(Rotary Stability)

最後は、とてもハード! オリンピック選手でもできない人はたくさんいるそう。身体をまっすぐに安定させた状態で腕と膝が動かせるかを診ます。

マットの上で板を挟んで四つん這いになり、板と身体を平行にしながら左手と左足を同時に上げ、ひじとひざをつけて、また伸ばします。できない場合は、左ひじと右ひざといった対極の手脚を上げて、ひじとひざをつけます。これを左右両方実施します。

実際にやってみると、これも難しい! 手足を伸ばしているときはまだバランスが取りやすいですが、ひじとひざをくっつけるときはかなりバランスが取りにくく、左右にぶれて姿勢を保てません。 左右交互のひじとひざでの動作はまだ楽でしたが、それでもくっつけるときは身体がグラグラとしてしまいます。

気になる結果は?!

上記で実施した7つのテストを基に、身体の特徴や気を付けるべき点などを奥谷先生が導きだしてくれます。

スクワッティングやランギングはよかったですが、4つ目から7つ目の項目で診る身体の基礎的な部分は、点数が低いので弱いポイントです。また、まっすぐな動作は上手にできますが、身体を捻る力が弱いですね。

下半身はとても強いので、例えばウエイトトレーニングなどをどんどんやっても問題ありませんが、軽くでも捻る動きがあるとその部分を痛めたり、捻じろうとして身体の他の部分に負担がかかり痛みが生じる場合があります。

奥谷先生の診断結果を聞いて、初めて自分の下半身が強いということを知りました…。

普段、自分の身体と他人の身体とを比べることがないので、新しい発見です! こうやって自分の身体をプロの目で見てもらい、身体の長所や短所を把握することで、運動のパフォーマンスを向上させたり、ケガ予防することができるんですね。

続いては、筋肉トレーニング!

診断結果が出たら、奥谷先生がそれに基づいてトレーニングプログラムを作成します。

奥谷先生によると、身体は生理学的に見て、変化をもたらすのに13週間くらいかかるそう。そのため、トレーニングプログラムは13週間で構成されています。奥谷先生の指導のもと、弱まった筋力を動作回数や負荷量を増やすなどをすることで、段階的に筋力を強化していき、改善度合いを見るために4週間目と6週間目、13週間目に同じテストを実施します。こうしてトータル13週間のプログラムが終了となるのです。

でも、なぜそんなに長くかかるのでしょうか?

負荷をかけて筋肉をトレーニングしたあとは、筋肉繊維が痺れるため筋肉痛が起きます。そうしたら、筋肉を休ませてそれを修復することで筋肉が強くなるそうです。このサイクルを繰り返し、弱まった筋肉が使えるようになり始めるのが約6週間後、フルスペックになるまでは、もう少しかかるんだとか。

負荷をかける場所を集中させて、効率良く身体を強くしていくので、身体のパフォーマンスを向上させ、慢性的な疲れもとります。

実際のプログラムにあるトレーニングを体験!

今回、自分の弱かった部分を強化するために、2つのトレーニングを教えていただきました。そして、体験してみたのですが……。

1:アブローラー

お腹とお尻に力を入れて、腰をそらせないようにして、できるだけ遠くまで転がします。そして、腕の力で引いて元に位置に戻します。

実際にやってみると、すごくしんどいんです…。だからこそ効果があるんだなと感じました。 自分が戻ってこれると思う限界のところまでローラーを進めて止め、そこから腕の力だけで戻すのはとても難しいです。また、お腹が下がらないようにお尻に力を入れておくことを意識しました。

お腹とお尻という表裏が連動することで脊椎を安定させるので、実はハイハイしてるとき、これをやってるんです。

ちょっとハードですが、最低3週間やると、デスクワークをしてても違いが分かります。

2:捻る運動

おへその辺りでロープを持ち、手でロープを引くようにして体をねじります。

腕の力でゴムを引くのは問題ないのですが、体を捻るのはかなりの力が必要でした。一人ではできないトレーニングを最も効果的な姿勢でできるようにアドバイスしてもらえるので、基礎からしっかり学べるのが嬉しいですね!

地味な運動ですが、捻る動作が弱いと腰を痛めることもあるので、しっかり鍛えましょう!


13週間のトレーニングを終えた後は、普段生活しているだけでも身体の変化に気が付くんだそう。

これまで頑張っても更新できなかった自己ベストを更新できたり、激しい運動をしても次の日に影響しなくなったり、スポーツをする際のパフォーマンスが向上されるとのこと。普段スポーツをしない人も、これまで気になっていた身体の痛みが改善されたり、疲れにくくなったり、怪我をしにくくなったりと、効果は人それぞれ。

巷で流行りのトレーニング方法をただただ真似するだけでは、自分の身体が本当に必要としている運動を的確にできているかは不安…。自分の身体のコンディションに合わせた最適なトレーニング方法をプロから学び、「身体」だけでなく「生活の質」も向上させていきましょう♪

JAMSスタッフの感想

得意な動きとうまくできない動きが顕著に表れ、自分の身体に足りない部分がよく分かりました。

もし、スポーツを始めたいと思ったときに自分のダメな部分を知っていると、無理することなくスポーツを楽しめるので安心だなと思います。また、自分がうまくできない動きを補強し改善するプログラムを組んでいただけるのは嬉しいですね。腹筋ローラーはたった5回のみでしたが、次の日に腹筋がとても痛かったので、効果を実感しました!

デスクワークでも頭の重さなどで身体に負荷がかかっていることに驚きましたが、体幹や腹筋を鍛えることでその負荷も軽減できると分かり、今回知った自分の身体を意識してトレーニングしていきたいと思います。

メトロフィジオセラピー(Metro Physiotherapy and Injury Clinic)

所在地:Suite 406a, Level 4, 250 Pitt Street, Sydney
担当:奥谷匡弘/APA認定筋骨格系理学療法士
電話:0414 272 440
Email:info@metrophysiotherapy.com.au
WEB:http://metrophysiotherapy.com.au
営業時間:予約制/日祝休

奥谷匡弘(ただひろ)先生

シドニー在住のフィジオセラピーの第一人者。学術的にも臨床的にも高い教育レベルを要求されている「オーストラリア理学療法学会(APA)」に認定された頭痛や腰痛など、筋骨格系のスペシャリスト。その中でも専門は顎関節で、オーストラリア国内のさまざまな場所から何時間もかけて患者さんが来院する。また、頭痛の治療技術も高く評価されている。

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