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イスラム教の1カ月断食「ラマダン」が始まりました!

毎年、ヒジュラ暦の第9月におこなわれるイスラム教徒の義務のひとつ「ラマダン(Ramadan)」が今年も始まりました。

ラマダン(Ramadan)ってなに?

ラマダンとは、簡単に説明するとイスラム教の主神であるアッラーへ感謝を捧げるために約1カ月に渡って、禁欲をするという神聖な行事。目的は欲を捨て、イスラム教の主神であるアッラーへの献身と奉仕に没頭し、信仰心を清めること。

ヒジュラ暦は西暦と毎年11日ほどのずれがあるので、その年によって開催時期は異なりますが、2018年は5月16日(水)より6月14日(木)までとなり、その期間中には日の出から日没までの時間は食欲だけでなく、その他の禁欲も課せられるんだとか。

ちなみに、およそ33年ですべての季節のラマダンを体験することになり、イスラム教徒は一生のうちに同じ季節ののラマダンを平均2回ずつ過ごすと言われています。

オーストラリアにおけるイスラム教

2016年の国勢調査データによると、オーストラリアで最も信仰されている宗教はカトリックで22.6パーセント、そしてイスラム教は2.6パーセントとなり、約10倍の差があります。

多民族国家と言われるオーストラリアですが、イスラム教徒は統計上そこまで多くないようです。しかし、実際にシドニーの街を歩いていると、多くの中東系の人々を見かけるので、期間労働者や学生、旅行者の人が多いのかもしれません。

次に世界のイスラム教に目を向けると、2006年に世界人口65億人のうち、イスラム教徒が19%以上、カトリック教徒が17.4%と、イスラムがカトリックを数で上回ったと報道されています。

ただしカトリック、ギリシャ正教、英国教会、プロテスタントなども含めたキリスト教全体では「世界人口の3人に1人」の割合となり、イスラム人口を上回る計算になります。それも急速に拡大するイスラム教に2100年には追い越され、イスラム教が世界最大の宗教になると言われています。

ラマダン期間中に日本人が気をつけるべきことは?

昔、私が語学学校に通っていた時に、友達が電子レンジで温めたお弁当を教室で食べようとしたのですが、その時に何人かのイスラム教徒のクラスメイトが無言で一斉に席を立ち、クラスから出ていきました。

あとで、その事について話しを聞いてみると、「ラマダン中で食べ物の匂いを嗅ぐとお腹が減るから」と。普段は一緒にバカな話をする仲間なのに、この時ばかりは文句のも言わず、整然とした対応をしていたことに彼らからイスラムの誇りを感じました。

また、日本でイベント会社に勤務していた時に、モロッコやアルジェリア、セネガルなどの西アフリカをルーツに持つアフリカ系フランス人で構成されたチームをダンスの大会のために招致したのですが、ラマダンと大会が重なっていて、彼らは出番前に食事や水分摂取もできませんでした。

絶対的に不利な状況にも関わらず、言い訳ひとつせず、むしろいつも以上にチームメイト同士が団結して戦っている姿を端から見て、心が震えました。

ラマダン期間中に日本人が気をつけるべきこと……、結論から言うと特にありません。断食は楽なことではありませんが、つらさと向き合うことに意味があるわけで、その気持ちをイスラム教徒以外の人が完全に理解するのは、不可能だからです。

イスラム教徒ではない私たちに、できることがあるとすれば、それはイスラム教だけでなく異なる宗教や文化を尊重し、理解を示すことではないでしょうか?

最後に……

現在のオーストラリアは、約2,300万人の人口のうち、4分の1が海外生まれという、移民の力によって成り立っている移民国家です。「オーストラリア人第一」を掲げ、移民法の改正をはじめとする右傾化は進んでいますが、その一方で、経済・産業界にとっては、国際競争力のために優秀な人材の確保が不可欠で、移民に頼らざるをえない現実があります。

それは日本も同じ。世界に例のない少子超高齢化時代に入ったぶん、他国よりも労働者不足の問題は深刻なのかもしれません。「移民受け入れ=治安の悪化や民族・宗教上のトラブル」といった考えを持つ人も多く、さまざまな反応があるようですが、今後どう新たな時代に対応しているのか気になります。

むずかしい話になりましたが、個人的には「答えを出すこと」よりも「問題を共有すること」が大切なのかなと思っています。そして、イスラム教の人って真面目ですし、すごく親切なことを知っていただければと思います。シドニーには、おいしいトルコ料理やレバノン料理などが食べれるレストランもあるので、そちらもぜひ機会があれば挑戦してみてください。

 

文:德田直大

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