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強い豪ドル、弱い米ドルで大国中国を考える

強い豪ドルというか、弱い米ドルというのか、オーストラリア・ドルがこのところ強くて、経済的によい面と悪い面があります。もちろん輸入には良いですが、輸出には不利益です。オージーにとっては海外旅行に行くチャンスですね。

オーストラリアの輸出の25%を占めている中国は、今や世界第二位の経済大国ですが、最近では労働者の賃金も高騰し、かつての低賃金労働による「世界の工場」は、いまではさらに低賃金の国々、ベトナムやバングラディシュにシフトしています。

ところで、実は米国の労働者の賃金もかなり低いということが明らかになりました。米国南部の州の典型的な工場労働者、ブルーカラーの賃金は、低いところでは連邦最低賃金並で、しかも健康保険や年金がまったくない状況です。

日本も米国も、先進国での格差の広がりによる国内低賃金労働者の現実は、いまでは中国の通貨「元」が強くなったために、中国の工場労働者とほぼ同じレベルになっていることを示しています。

先日、米国のバイデン副大統領が6日間も中国に滞在して熱烈歓迎を受け、次期国家主席と言われている習近平国家副主席がつきっきりで歓待したのも、米中の思惑あってのことですが、米国にとっては中国は最大の米国債保有国ですし、そう簡単に手放すことがないようにしたいわけです。中国は米国相手に政治的にも軍事的にも良い関係を保って、これまで同様中国製品を買ってもらいたいと願っているわけですね。

そんな両者の思惑が、このところの両国の蜜月関係を生んでいますが、現実的な国内の経済格差と国民の不満はそう簡単には払拭できません。

例えば中国高速鉄道事故は、中国国民の怒りや反発を巻き起こし、中国国内のネットで論議がおこって政府批判につながっています。もちろん中国政府は共産党一党独裁ですから、これまでのような押さえつけ路線が働くとは思いますが、ここにきてどうもそんなに簡単に強権政治を行うことができていないようなんです。

最近中国各地で起きている反政府、もしくは政府批判のデモや集会は、いま中国で次第に経済格差や強権政治に反対する人たちの声が高まっていることを示していて、政府もこれまでの権力的な対応よりは若干、軟化した対応を示しています。

これで一気に民主化という流れは予測できませんが、経済的に大国となった中国が、内政においても外交においても、名実共に大国となるのかどうか、これまでの経済成長同様に、そのスピーディーな動きが注目されます。

もちろんそこには、民主化を求める国民の地道な歩みがなければならず、覇権主義、大国主義でやってきた中国政府に上手く着地点を見つけてもらいたいですね。

(水越)

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