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新年度で変わるもの

新年度というと日本では4月からですが、オーストラリアでは7月から新年度が始まります。これは会計年度のことで、7月1日から翌年6月30日までの1年間が会計年度で、そのため国の予算も7月1日から適用され、法律が改正になった場合も、多くはこの日から適用されます。

さて、2012/13年度は何が変わって、私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。一言で言えば、新年度は「物価が上がる」ということです。

まず光熱費が値上がりします。電気・ガス・水道料金の値上げですね。その他、日常生活用品や普段得ている多くのサービスで値上げがされます。これは、「炭素税」(炭素価格制度)の導入ということが背景にあります。政府は温暖化ガスの削減を目標に、クリーンエネルギー政策を掲げ、基準以上の二酸化炭素を排出する企業に対して課徴金を課すというものです。当然、企業はその負担を製品やサービス価格に反映させますので、結局、物価が上がることになります。

すでにオーストラリアは豪ドル高などの影響で物価が上昇しています。世界の都市別の生活費ランキングでも、オーストラリアの主要都市は高い順位に名を連ねています。そんな状況の中、さらに新年度からの物価上昇で、ますます生活が苦しくなりそうです。

一方、政府は、炭素税導入と同時に、できるだけ影響を少なくするために、家計への援助を抱き合わせた政策を発表しています。

新年度の連邦予算案では、個人所得税の税率区分を大きく変更しました。これは母子家庭や年金生活者などの低所得者を対象に、これまで非課税だった年間所得6,000ドルの上限を、3倍の1万8,200ドルまで引き上げました。つまり課税所得が1万8,2000ドルまでの人は所得申告しなくてもよいということです。低所得者にとっては税金を払う必要がありませんから嬉しいニュースですね。

ところで、表を見て分かるように、その他の税率区分の税率も改定されています。これを見ると、中間層である1万8,200ドルから3万7,000ドルと、3万7,001ドルから8万ドルの所得層は、それぞれ19%と33%と、税率が以前より少し上がっています。オーストラリアの平均所得は7万7,000ドルですから多くの国民にとっては所得税率が上がったということになります。それに8万ドル以上の高額所得者の税率は据え置きです。

税率が上がったのですが、非課税所得額が大幅に上がったため、所得によっては所得税が増えることにはならない人もいます。税率区分が変わる金額の前後の所得の人にとっては、よく計算してみることが必要です。ほんの少しの金額が区分を超えたために次の大きな税率が課せられるということになってしまいます。そうなるとなんとか経費計上できるものはないかと探すことになります。

さらに、非居住者の税率(8万ドル以下の場合)はこれまでの29%から32.5%に引き上げられました。

11/12年度の税率

課税所得範囲($)

12/13年度の税率

12/13年度の課税所得範囲($)

0%

0〜6,000

0%

0〜18,200

15%

6,001〜37,000

19%

18,201〜37,000

30%

37,001〜80,000

32.5%

37,001〜80,000

37%

80,001〜180,000

37%

80,001〜180,000

45%

180,001+

45%

180,001+

なんだか騙されているような、いないような感じですね。一方で物価が上がり、他方で減税措置がなされてはいるけれど、多くの国民に恩恵が与えられているかというとそうでもないので、結局、新年度は物価の上昇に耐えながら、これまでの生活を見直して自己防衛しなければならなくなるのでしょうか。

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