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太っていて何が悪い!

 

日本で4年前から裁判員制度がはじまり、一般の国民が裁判に参加することができるようになりましたね。2011年末現在で、裁判員に選ばれた人は1万8,326人です。そして3,173人に判決が言い渡されました。

はじまった当初はマスコミに大きく取り上げられて、死刑判決も出すのか?と騒がれました。

 

法務省の調査によると、裁判員の方々は、実際の裁判での審理について、内容が理解しやすかった(61.9%)、評議は十分にできた(71.6%)と答え、おおむね問題なく制度が運用されているようです。また、審理した事件は、強盗致傷(23.8%)、殺人(22.9%)、放火(9.2%)、覚せい剤(9.2%)、傷害致死(8.0%)、などとなっています。

 

日本の裁判員制度は、裁判員と裁判官が合議体を形成して、裁判員は事実認定と量刑まで行い、法律的な解釈や問題は裁判官が行います。欧米の陪審制度とは異なる日本独自の制度です。

 

オーストラリアでは陪審制度を導入していますが、陪審制は、有罪か無罪の犯罪事実の認定を陪審員のみが行い、裁判官は法解釈と量刑を行う制度です。陪審員は被告が有罪なのか、無罪なのかの判断を下すわけですね。死刑判決を下すわけではありません。日本の裁判員は、場合によっては死刑を判断します。そのため、その責任が重すぎるという声が出ています。たしかに、自分が他人の死を宣告するわけですから、責任重大です。

 

オーストラリアの場合、永住者は除きますが、市民権保持者の場合、つまり国民はすべて陪審員の義務を負っています。NSW州の場合、陪審員に選ばれても正当な理由なく出廷しなかった場合は、$1,100の罰金が科せられます。

でも、陪審員の日当は、4時間で約50ドル、一日で約100ドル、10日以上の場合は一日約130ドルとなっていて、ほかに交通費($16.50)が支給されます。高いのか、安いのか? 義務を果たすのに見合った額なんでしょうか。

 

前述したように、被告の有罪を決めるわけですから責任重大です。

 

ところが、陪審員は普通の国民ですから、法律の知識もそれほどなく、裁判資料を元に、検察官と弁護士の主張を聞いて、被告が有罪か無罪かを決めることになります。難しいですよね。そこに、偏見が入り込むことはないのでしょうか?

例えば中東系やアジア系の人に対する人種偏見を持っているような人が陪審員の場合、そのような人種の人が被告の裁判では、被告にとってたまったものではありません。

 

一応、たとえ陪審員に選ばれたとしても、事前審査によって、除外される場合があります。被告の弁護士が偏見を持っていそうな人に異議を唱えることができます。

 

ところで、肥満調査の結果、陪審制度に疑義を生じるような結果が出ました。肥満と陪審裁判? 一見、関係なさそうなトピックスですが…

 

陪審員が男性の場合、被告が肥満の女性に対しては重い量刑を下す傾向があるというのです。体重に自己責任と自己管理が与える影響についての調査によると、一般的に男性は、肥満の男性よりは、肥満の女性に対して厳しい態度をとるようです。ところが女性は男女の別に関係なく、肥満だからといって厳しい態度をとることがありません。

 

この調査、男女の肥満と痩せた人のイメージを元に、被告だった場合の有罪の可能性を問うもので、その結果、男性は、肥満女性に対してやせた女性より罪を重くする傾向があり、女性はそのようなことがなく公平に判断したというものです。つまり被告が男性の場合は、太っていても痩せていても、何も影響が出ないことが明らかになりました。

 

これって、男性が被告の場合は公平に判断され、太った女性が被告の場合は偏った判断がされるということですよね。

 

この肥満の報告書では、陪審員にとって、体重と性別は被告の罪に大きく影響を与えるということが明らかです。結局、男性は女性よりも、肥満女性に対して偏見が強いということですね。それはつまり、男性は肥満ということに対して、自己管理ができないための結果と考えているふしがあります。これは裏を返せば、女性は肥満に対して、自己責任よりも遺伝的また環境的な要因を考慮しているとも考えられます。

 

こうなると、陪審員を選出する審査項目に、体重に対する偏見の度合いを加える必要があるかもしれません。

 

まあ、肥満度ばかりではなく、美人か、可愛いか、強面の面構えか、などで陪審員の印象は大きく変わるとも言われていますから、肥満ばかりを問題にしても仕様がありませんが、万が一被告になった場合を想定して、しっかりと自己管理することが大事なのでしょうか。

くわばら、くわばら。

 

(水越)

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