11 September 2023

◎＜ポイント＞今週は米8月CPI vs  “日銀の引き締め”の思惑

・先週はドル高が進行し、ドル円は年初来の高値147円台後半に上昇し、ユーロは1.06台、ポンドは1.24台に下落した。ドルインデックスは一時3月以来の105台まで上昇した。
・米国の非製造業関連（ISMなど）や雇用関連（失業保険申請件数や単位労働コストなど）で強い数字が出る一方、今週のECB理事会での据え置き予想や、BOE総裁が「金利はサイクルの頂点に近い」と発言し、欧州通貨への売り圧力が高まった。
・神田財務官や鈴木財務相など政府関係から円安けん制発言が出たが効果は一時的だった。
・産油国の減産予想から原油価格が87ドル台まで上昇したことも、インフレ懸念再燃＝米金利高＝米ドル上昇の一因となった。
・しかし、本日のシドニー市場でドル円は146円台後半と、久々に金曜日のクローズから「1円の窓」を開けて下値でオープン。
週末に報道された植田総裁の読売新聞との単独インタビュー記事（9/6付）が影響したか？植田総裁は「賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信を持てた段階になればマイナス金利解除を含めて大規模な金融緩和に対して色々なオプションがある」と発言したが、ガソリン価格が新高値を付けるなど、日本の下方硬直的な物価高に対して“本音”が出たのであろう。
・植田総裁は「単位労働コストに関連する基調インフレは依然目標を下回る」とのスタンスだが、諸物価高騰が国民性に与える甚大な影響を直視すべきだろう。
・「足元の何十年ぶりかの物価上昇を金融政策正常化の足掛かりとすべき」というのが持論。YCCの撤廃やマイナス金利の解除に着手すれば、当初は円高要因→いずれは超金融緩和の庇護をなくして日本経済や財政は厳しい現状に晒され、現在ホットマネーで沸き立つ日本株式や債券市場から資金流出＝大幅円安との見方を変えていない。
・今週は米8月CPIと日本の金融政策を巡る“思惑”で、UP and Downの乱高下が予想される。

◎＜豪ドル相場＞――依然不安材料払しょくできず

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6357-0.6462  AUDYEN  93.59-94.72
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6250-0.6550  AUDYEN  91.00-95.00

・先週豪ドルは、依然くすぶる中国不動産危機問題とRBAの金利据え置き、金利ピークアウト観測が重石となり、豪ドルは対ドルで63セント台の新安値に下落。
・一方対円ではドル円の年初来高値147円台後半への上昇と相殺しつつ94円台割れにじり安推移した。
・RBA理事会声明では「豪インフレはピークを過ぎた」とするも「依然高過ぎる、2025年後半に2-3%のターゲットに戻る」という慎重姿勢も示した。
・今後の金利動向は「データとリスクの評価次第」としているが、豪州経済の低迷が続く中、市場では早くも利下げ時期を模索する動きも見られる。
・本日ドル円が1円下にギャップオープンするなど、ドル反落の動きも見られるため、ドル反落となれば（インデックス105台は行き過ぎか？）対ドルでは底割れはないだろう。対円ではドル円の思わぬ反落には注意を要しよう。
その場合、豪ドル円は90円を割る可能性があるだろう。

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