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「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣)6 May 2024

6 May 2024

<ポイント>
激しい攻防―160円台を付けた後、介入が出たか?151円台まで反落


・先週は今回のドル円上げ相場のクライマックスが来た。
・日本休場の薄商いの中、4/29午前10時過ぎ頃から投機筋の仕掛か、ドル円は一気に160.26まで急騰→しかし同日午後、日銀の介入入った模様で、ロンドンにかけて154円台まで大幅下落。
・次の日に発表され日銀当座預金残高推移から5.5兆円規模の介入がなされた模様だが、神田財務官は「ノーコメント」。
・翌日介入見ないままドル円は再び157円台に反発してFOMCに。
パウエル議長は”利上げの可能性は低い“と述べ、全体トーンとしてはハト派的と感じたが、FOMC後も156円台維持→5/2(木)早朝二回目の介入出たか?ドル円は153円台に急落。翌日の日銀データから3.5兆円規模の二回目の介入出た模様だが、神田財務官は再び「ノーコメント」。
5/3(金)発表の米4月雇用統計は、予想通りに弱く(事前に数字を把握しているであろうFOMCでのパウエルの言動から弱い数字は予測できた)、ドル円は151円台後半まで続落した後、1円反発して152円台後半で越週。
・結局先週はドル円が158円台でオープンし、日本のGWの薄商いの中、仕手筋の仕掛けに160円台まで急騰後、介入とロング筋の投げ、短期筋の売り仕掛けにより151円台まで反落したというストーリーだと思われる。
・筆者が今年のドル円高値を170円と予測した最大の理由は「日本のファンダメンタルズ劣化がもたらす円の下落」であるが、今回のドル円上げは、依然として日米金利差を囃したスペキュレーションによる160円であり、「160円はいかにも”伸び切った“」という印象。
・さすがにそこまで”なめられたら“、政府日銀も「売られた喧嘩は買いましょう」ということだろう。
・米雇用にやや陰りが見られ、今後は景気減速が米ドル金利先安観を助長する可能性はあるが、やはりもう一つのFRBのマンデートである”インフレの行方“が最重要で、今後の米インフレ指標を注視する必要がある(4月の米CPI5/15発表)。
・自分は158円台から売り上がり、実際160円は見ていなかったが(笑)、その後の”介入“は「ビンゴ」であった。
・ただ150円割れまで「押し上げ介入」に出る可能性は低く、繰り返しになるが介入はあくまで「スムージング」と見るが、あまりに市場のドルロングが溜まっていたため、予想以上の成果を見たと思う。
・暫くは簡単に155上には戻らないだろう。欧米でよく使われる「wary of inrervention」、介入を警戒する、だけではなく「介入に疲れる、辟易とする」というニュアンスが加わると思う。つまり「上がったらまたいつ出るか分からない」ということで、暫くは上値警戒感が強く、介入を模したスペックの売りも出やすいだろう。したがって”地固めしてドル円が再上昇するまで“暫くは「上がったら売り」で行きたい。

 

◎<豪ドル相場>――豪ドル円はドル円急騰により105円近辺まで上昇後、日銀の介入の可能性から100円割れまで急落。しかしその後は102円台に反発するなど不安定な展開。対ドルではユーロの軟調に連れて一時65セントを割ったが、弱い米雇用統計後は66セント台に反発。


先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6465-0.6648   AUDYEN  99.92-104.97
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6500-0.6700    AUDYEN  98.00-103.00

・先週はドル円が主役で、週前半に160円台に急騰後、介入と思われる動きと、弱い米雇用統計を受けて151円台まで大幅反落。この動きを受けて豪ドル円も99円台~104円台で乱高下した。
・金曜日の米4月雇用統計が予想を下回り、米債券利回り低下でドルが全般的に軟化した(ユーロは一時1.08台まで上昇し、ドルインデックスは104台まで下落)ため66セント台での越週となった。
・今週はRBA理事会が予定されるが金利据え置きとなるだろう。国内重要指標の発表は予定されず、ドル円を巡る動きや米経済の行方など、外部要因で豪ドルも動くことが予想される。
・対ドルでは、弱い米雇用統計後の動きが今週も継続しそうだ。つまり徐々にドルの上値が対主要通貨で重くなる状況が継続しそうだ。焦点である4月の米CPI発表は5/15まで思惑先行の相場となりそうだ。
・豪ドルは基本的に対ドル堅調、対円では引き続き乱高下と言わざるを得ないが、中期的には100円台を固める動きを予想する。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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