アメリカ英語がワカラナイ…

オーストラリアに来てから始めた和太鼓歴が1年半になりました。もう初心者と言って甘えられない経歴です。日本にいたころは西洋楽器ばかりで、和太鼓や篠笛といった日本の楽器に触れたことはありませんでしたが、何ごともやってみると思いのほか楽しいものです。

ウルティモにあるTaikozという和楽器グループの道場クラスに通っていますが、教わった先生は、現地のオーストラリア人がほとんどでシドニーに住む日本人もいました。

今年から始まった中級クラスの先生はアメリカ人。昨年10月にTaikozメンバーとして来豪し、今年の6月まで滞在する予定だそう。和楽器の修行で日本滞在歴もある先生なので日本語も話しますし、個人的に面識もあってクラス外で遊ぶこともあります。とはいえ、クラスには英語が母語の人がほとんどなので、和太鼓の演奏方法も英語で理解しないといけません。

最初のクラスで「ぼくのアクセントでお気づきの方もいると思いますが、アメリカ出身です」と自己紹介した先生は、私たちに“斜め打ち”という演奏スタイルを教えてくれるそう。準備運動の時点で「なんか先生のアメリカ英語がよく分からない」と不安に感じていましたが、本番はレッスンに入ってからのことでした。

 

先生(英語)「斜め打ちスタイルは、1959年に東京で……(聞きとれない)……プロの組太鼓チーム『助六太鼓』が初めて創作和太鼓に……(聞きとれない)……です。江戸から伝わる歌舞伎や長唄などを……(聞きとれない)……日本の夏の風物詩、盆踊りで打つ太鼓を盆太鼓と呼びますが、東京の盆太鼓スタイルであった斜め台による打法を、江戸の祭り……(聞きとれない)……打芸にしたんですね。名前は……(聞きとれない)……歌舞伎の助六にちなんで付けられました。“粋”は英語でいうと“ダンディ”と訳されて……(聞きとれない)……なので、……(聞きとれない)……リズムと和太鼓……(聞きとれない)……パフォーマンス性も高く、シャープな打法のひとつです」

私の心の声「なるほど、まったく分からない」

先生(英語)「まず立ち位置が大事。ここが間違っているとシャープに見えないし、体の一部分に負担が偏ってしまってケガにもつながります。斜め打ちの場合、右腕と左腕では……(聞きとれない)……主に大きく違うのが……(聞きとれない)……利き腕は、打つ動作のときに……(聞きとれない)……対して利き腕の反対側は……(聞きとれない)……胸の筋肉と……(聞きとれない)……疲労してきます」

私の心の声「何言ってるかもう分からない。というかアメリカ英語がちっとも頭に入ってこない……なんかツルツルしたうどんの麺みたいに聞こえる」

先生(英語)「じゃあ、太鼓の前に立って足を軽く開いて。バチを持って、腕が体幹部に導かれるイメージを描いたまま、腕の動きを太鼓を打つ軌道に乗せて、いつものように太鼓を打ってみて。(私を指して)そこ、立ち位置が違いますね」

私(英語)「こう?」

先生(英語)「いえ、…………です」(何か言ってるけど聞きとれない)

私(英語)「え、こう?」

先生(英語)「違う、…………!」(何か同じことを言ってるけどやっぱり聞きとれない)

先生(英語)「…………!」(さらに何か言ってるけどもう聞きとれない)

私(英語)「分かりません!」

先生(英語)「…………!」(日本語)「あしを、よこに、ずらしてください」

私(日本語)「横って何!?」(焦ってもはや日本語も分からない)

 

結局、先生は「Stand with your feet shoulder width apart.」らしきことを言っていたようですが、そんな簡単なセリフも聞き取れなかった自分にものすごく落ちこみました。そういえば、昨年日本に一時帰国したとき、アメリカ人の友だちから「なんかちょっとオーストラリアのアクセントになってる」と笑われた覚えがあります。なじんだと言えるのでしょうか……。ともかく、太鼓と一緒に英語(米語)のリスニングもがんばれる、まあ一石二鳥かなと思って楽しんでいます。

 

文:武田彩愛(編集部)

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