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今週の為替相場見通し by Joe Tsuda(津田 穣)

22 November 2021

◎<主なイベント>

22日(月)中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート)、ユーロ圏消費者信頼感指数(11月)、米中古住宅販売件数(10月)
23
日(火)勤労感謝の日祝日のため東京市場は休場、英国製造業PMI速報値(11月)、ドイツ製造業PMI速報値(11月)、ユーロ圏製造業PMI速報値(11月)米国製造業PMI速報値(11月)
24
日(水)NZ中銀政策金利、ドイツIFO景況感指数(11月)、米GDP改定値(第3四半期)、米個人所得支出(10月)、米FOMC議事録(11月2日-3日開催分)
25
日(木)豪州Q3民間設備投資、韓国中銀政策金利、ドイツGFK消費者信頼感(12月)、ラガルドECB総裁講演、ベイリーBOE総裁講演、ECB議事録、感謝祭祝日のため米株式・債券市場は休場
26
日(金)豪小売売上高(10月)、感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」のため米株式・債券市場は短縮取引

◎<マーケットの焦点>

先週はドル高・円高が進行した。
前週に発表された米10CPI+6.2%の影響残り米早期利上げ観測が広がって、米10年債利回りは再び1.6%台半ばに上昇し、ドルインデックスは16カ月ぶりの高値である96台まで上昇した。
しかし先週発表された米指標も総じて強かったが、CPIを上回る程の市場の反応は見られず、ドル高警戒感も徐々に強まった。
今週木曜日の米感謝祭前には次期FRB議長が選ばれるとの報道もあり、一時優勢が取り沙汰されたブレイナード理事はパウエル議長より更にハト派との市場認識であり、週央には急ピッチのドル高への調整が強まった。
しかし金曜日に「オーストリアが全土でロックダウン導入」と報じられ、独など欧州でコロナ再拡大の状況から再び経済停滞の懸念強まり、ユーロ売りが活発化してユーロは1.12台に続落。またリスク回避の円買いが出回りドル円も一時113円台半ばまで下落してドル高・円高相場となった。
ポンドは先週発表された雇用並びに物価統計が強かったことからBOEの早期利上げ観測強く、一時1.35台まで上昇したが結局ユーロに連れる形で1.34台まで下落。またトルコ中銀の3回連続利下げを受けてトルコリラは一時11.34台まで最安値を更新した。
今回欧州のみならず米国においても再拡大の様相であるが、米国は極力ロックダウンをしない方針であり、その違いがユーロ売りにつながった。また現在支持率低迷中のバイデン政権は支持挽回のためにもインフレ圧力緩和は最優先であり、ここで超ハト派のブレイナード理事の昇格の可能性は少ないのではないか?
つまり今週もコロナ格差、景気格差からもドルがサポートされる地合は続くだろう。
またリスク回避相場の中でもドル円に昔のような大きな崩れはなく、再度114円台まで反発していることを見ても「安全通貨円神話の形骸化」が進んでいるとの印象を受ける。
ただ、依然「リスク回避の円買い」が市場のコンセンサスであり、その意味では今週もリスク回避相場となる可能性がある。材料はコロナの再拡大、米中摩擦、そして少ないとはいえブレイナード理事の議長昇格の可能性など。したがって引き続き持論である「ドル高が故の円安も115円台がピーク」との見方であり、115円台接近局面では再びドル円の売り圧力が高まろう。

 

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―再び売り圧力が強くなっているが、年末の豪ドル需要もあり下値は押し目買いにサポートされる展開か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7227-0.7370  AUDYEN  82.16-84.16
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7150-0.7350  AUDYEN  81.50-84.50

先週豪ドルは前週の弱い10月雇用統計の影響が残る中、商品相場の軟調や欧米でのコロナ感染者再拡大の動きからリスク回避色強まり、週末にかけて72セント台前半、82円台前半まで下落した。
現在国内コロナ感染のピークは過ぎたとはいえ、日々の新感染者が依然として1,000人超えと日本より状況は悪く、今後の感染状況によっては再度のロックダウンの可能性も否定できない。
更に足元のドル相場の強さも「米ドルの受け皿」としての豪ドルの上値を重くする。
ただ年末に向けて豪州資源輸出会社の来年に向けた輸出決済の豪ドル買い予約が活発化するのが例年であり、今年も係る実需の豪ドル買い需要が豪ドル押し目買いとなって豪ドルの急落を妨げることが予想される。


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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