シドニーにて
念願のシドニーでは、クルーザーでベイエリアを周遊したり、ブリスベンから予約を入れておいたレストランでお寿司を堪能したりとで、両親は子供のように楽しんでくれました。
更に、お引き合いいただいている日系レストラン社長が私たちをご自宅に招待してくださり、大変なおもてなしもいただきました。もちろん両親と社長は初対面でしたが、笑いあり、おいしいワインあり、おいしいステーキありと、それはそれは和やかで温かいパーティでした。そして時間も遅くなったので、そろそろ失礼させていただこうという時、えっとすることが起こったのです。
なんと、父が「社長、どうか、うちの恵美子を今後ともよろしくお願いします」と土下座をするではありませんか! その様子があまりにもショッキングだったので、そのあとのリアクションは私には思い出せないのですが、この日、寒い外でコンクリートのところに両手をつき、深々と頭を下げた父の姿が、強く私の瞼に焼き付いています。
4年前、移住のために成田を発つ日、父は一張羅の背広とネクタイをし、母は明るい黄色のスーツを着て、成田に一緒に来てくれました。また、親戚も、40人ほど見送りに来てくれ集まり、5冊のアルバムを渡してくれました。そうです。私たち家族一人ひとりに、それぞれのメッセージを書いて集めてくれたものです。感激しました。そしていよいよ家族5人で出国ゲートを出ようとした時、親族40人が1列に並び、それまで言葉の少なかった父が背筋を伸ばしてかすれた太い声で「恵美子、バンザーイ」と両手をあげるのです。胸に熱いものが走りました。
その声を背に、「今日から、オーストラリアという新天地で私たち家族の戦いが始まる。負けられない」と、戦場に向かうような心境でした。そして、「お父さんがバンザイをしてくれた気持に、恥じない戦いを私はしていきたい!」真剣にそう思いました。これがホントの「戦地メンタル」?
そして半年前は、このシドニーの地で、どん底の状態を味わいました。父に心配をかけ、叱咤された地で、今回はシドニーのマリーンエリアを一望できるホテルに泊まり、父の好きなおいしいお寿司を食べてもらえ、かけがえのない思いでを作ってもらえました。私にとっての一つの雪辱を晴らした感じでしょうか。。。
今回、10日間オーストラリアに滞在した両親も、喜んで日本に帰ってくれました。
2008年9月から、大陸横断鉄道の1等客室で私たちのおしぼりが配られます。「おしぼり」という日本のおもてなしのホスピタリティ精神が、またこの地に広がります。 感謝
左上段:父と母.(東八郎と赤木春恵ではありません ) 右上段:夫(昔、保坂尚樹→今は。。。)と私
左下段:お父さんキンチョーしてます 右下段:芝居がかっている両親(いつもふざけてます)