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1「蔵元=杜氏の酒」

オーストラリアの皆さんこんにちは。

今回から色々な日本酒の面白い情報を織り交ぜてコラムを書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。

まず、現在の日本の地酒業界で人気の高いお酒は、「蔵元=杜氏」という図式が完成しているところが多いです。

その昔は、南部杜氏や越後杜氏など杜氏集団にお願いをして、蔵に来てもらい酒を造っていました。

杜氏集団とは農家の出稼ぎの事で、農家は冬に仕事が欲しいですし、蔵として酒造りは冬だけなので、その時期だけに人数が必要ということで、需要と供給が行ったになった素晴らしいシステムでした。

しかし、このシステムも農家の高齢化により、杜氏の高齢化も必然的に出てきており、中には杜氏を呼ぶことが出来なくなる蔵もここ10数年でたくさん出てきました。

そんな中で、杜氏がいなくなり、蔵元の息子が杜氏となり大成功した蔵が山形県にあります。

かの有名な「十四代」の蔵です。ここは息子さんである専務が東京で修行中に杜氏さんが蔵に来られなくなり、酒造りを断念せざるを得なくなりました。

ここで専務さんが意を決して杜氏を継ぎ、その造り出した酒が全国で評価され、たちまち十四代は山形の小さな無名の蔵元から全国でも手に入らない酒NO1の蔵になりました。

十四代の成功以降、蔵元の息子が杜氏を兼ねる蔵は非常に多くなりました。

これは自分の家の酒を杜氏集団に外注するのではなく、自分の思いの酒に自分で造り上げたい、という自然な気持ちからこのような流れになってきています。

そしてそのようなお酒は、間違いなく全国で高い評価を得ています。要は蔵元の息子が覚悟を決めて造った酒は間違いない、という図式が現在では成り立っています。

まだオーストラリアには少ないですが、蔵元が杜氏を兼ねるお酒としては「東洋美人」「月の輪」などが日本でも高い評価を得ています。

自分の蔵、会社、銘柄を実質背中に背負っている人間が造る酒には、うそやごまかしはありません。

是非その「魂の酒」を飲んでみてください。

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