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「停電中の酒造り その2」

「停電中の酒造り その2」

 

電気も通り、仕込みも無事に再開したのですが、ここでまた問題が起きました。

蒸米をするためには、ボイラーを使って蒸気をつくるのですが、このボイラーは重油で動いています。

通常ならば、2週間ごとに重油を入れてボイラーを動かしていますが、このボイラーを動かす重油の基地が今回の大震災で被災し、重油の供給が難しいという話になりました。

計算してみると、うちの重油は通常の状態で仕込み、火入れ、ビン詰を行った場合、あと10日で重油が無くなってしまう、というシュミレーションが出てきました。

このままでは、仕込みが継続できない、という事がわかり、急きょ瓶詰め、火入れなどをストップして、仕込みだけにボイラーを使うようにしました。

重油の会社に連絡を入れて、いつごろ供給が可能になるか何度聞いても「未定」を繰り返され、節約をいくらしても見通しが立たない事から、蒸米の時間にまで手を付けざるをえませんでした。

通常ならば、約1時間程度蒸米をするのが良いのですが、これを10分ずつ短くしていきます。50分、40分・・・その分、米への吸水を少しずつ多くしていきます。最終的に20分まで短縮し、何とか重油を少なく使うようにしていきます。

重油の供給が開始されても、最優先は沿岸部の被災地で、そちらへ先に供給が始まります。うちのような企業は後回しになります。それでも何とか2週間ちょっとで重油が入ってきて、仕込みを中断することはありませんでした。

なぜ仕込みを中断したくなかったかというと、酒母をもう震災前につくっているので、それが全て無駄になり生きている酵母を廃棄して殺してしまわなければいけなくなるので、どうしてもそれだけは避けたく、仕込みを続けることにこだわりました。

このような苦労で何とかお酒は生まれてくることになります。しかし、まだまだ困難は続きます・・・

 

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