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女性杜氏について

 オーストラリアの皆さんこんにちは。前回は蔵元=杜氏という日本でも最新の流れの酒造りを紹介しました。

 日本酒を造る「杜氏集団」というのは全国にあります。日本三大杜氏として岩手の「南部杜氏」、新潟の「越後杜氏」、兵庫の「丹波杜氏」がありますが、そのほとんど全てが男性の杜氏、男性の蔵人です。

 しかし、ここ数年の流れで、酒造りを目指す女性が増えてきたのも事実です。南部杜氏協会では、数年前、初めて女性の南部杜氏認定者が長い歴史の中で生れました。彼女は若干30歳で難関の南部杜氏試験を突破し、技術面でも5年以上酒蔵の中心的な仕事をしており、技術評価も非常に高かったそうです。ちなみに南部杜氏試験はテストが100点でも杜氏とはなれません。実務評価も非常に重要視しており、その面で、初の認定女性杜氏が生れたことは岩手県だけではなく、日本全国に大きな話題を振りまきました。

 また、蔵元の娘で杜氏の役割を担っているところも多く、同じく岩手県では「月の輪」というお酒の蔵元は長女が杜氏の役割を担い、何と全国鑑評会で1年目の杜氏として金賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

 その他、栃木県の「開華」という蔵元は、奥様が酒造りを担当して、こちらも今年の全国鑑評会で金賞を受賞しています。この蔵元の奥様は商品開発やきき酒師の授業の講師などもやっており、各方面で大活躍をしています。また、広島県の「富久長」の今田美穂さんがここ何年も杜氏として活躍しています。

 彼女の造る軟水仕込みのお酒は日本だけではなく、世界で評価される唯一の女性杜氏の酒です。さらに今田美穂杜氏は、新しい考え方、女性の考え方を取り入れ、日本酒を利用した様々なリキュールの製造にも力を入れており、ゆずのリキュールは日本をはじめ、世界でも高い評価を得ています。

 男性だけの世界に殴り込みをかけて乗り込んできた女性杜氏。彼女達の持つ価値観は、間違いなく男性杜氏のそれとは大きく違います。いつかオーストラリアで女性杜氏のお酒が飲めるようになることを願っています。

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