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19「火入れについて その2」

19「火入れについて その2」

 

前回のコラムでは火入れのお話をさせていただき、本火入れにはタンク貯蔵用の火入れと瓶貯蔵用の火入れの2種類が主流だとお話させていただきました。

両方の火入れの方法にそれぞれメリット、デメリットがあると前回は書いたのですが、それぞれについて詳しくお話させていただきます。

まずタンク貯蔵用の火入れは、メリットとしては大量のお酒を場所など取らずに貯蔵が出来ると言う点です。デメリットとしては、お酒の劣化を非常に促進してしまうことです。65度でタンクを満タンにするためには1万リッタータンクで約30分から長ければ1時間かかってしまいます。そうなると、長い時間、高温の状態にお酒がおかれます。そして1万リッターのタンクを10度以下まで冷やすには約半日から長ければ1日かかります。つまり高い温度に長くお酒が置かれるために、ヒネ香や着色の促進が始まるため、劣化のスピードが速くなります。

瓶貯蔵用火入れは、メリットとしてお酒の劣化が非常に少なく、よりしぼったままのフルーティーな香り、綺麗な味わいを保てることです。上記のタンク貯蔵用火入れと比べると圧倒的に短い時間で火入れすることが出来ます。一升瓶、720ml瓶に生酒を入れて湯煎するのですが、65度まで上がるのに約15分から30分、そして10度以下まで冷却するのに30分から1時間と、圧倒的に早く冷却することが出来ます。デメリットとしてはタンク貯蔵に比べると貯蔵の場所を多く必要とすることと、まれにですが瓶貯蔵したお酒の品質が火入れの温度の上がり方や下がり方でばらつきが見られることです。

そこで、南部美人ではこの両方の火入れの良いところを取り入れた最新の火入れ方法を考案してほぼ全てのお酒に使用しております。その火入れ方法は「熱交換プレートヒーター急冷却火入れ」です。これはタンク貯蔵火入れの場所を取らないというメリットと、瓶貯蔵用火入れの品質を損なわないというメリットをあわせたものです。

65度に熱したお酒を急激に10度以下まで下げてタンクで貯蔵します。1Lのお酒が65度に加熱され、10度以下まで冷却するのに約1秒で終了してしまいます。これは瓶火入れよりもはるかに短い時間となり、香り、味とも生酒とほとんど変わらないほど変化がありません。現代の酒造りは火入れも非常に大事な味の確定要素となります。

 

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