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勝負はスタート前に始まっている! マラソン出走前の“攻防”はいかに??

Sydney Half Marathon / 5月15日@Sydney City (Hyde Park)

それにしても空前のランニング・ブームだそうです。海の向こう日本では、定員3万5000人のレースに約33万人の応募があったなんて話しもあります。このブームは世界的な傾向なのでしょうか、ここオーストラリアもご多分に漏れずランニングが盛んなようです。ランチ時にジョギングに精を出す人やジムに足繁く通う人たちなどもよく見かけます。秋から冬にかけては大小さまざまなレースが全国各地で開催されます。シーズン到来を告げるかのごとく先月4月にはキャンベラ・マラソンが開催され、6月パース、7月ゴールドコースト、8月アデレード、9月シドニー、10月メルボルンと各地でマラソン大会が目白押しです。そしてシドニーでは先週の日曜(5月15日)にシティを走るSMHシドニー・ハーフ・マラソンが開催され、街中の通りは21.1kmを走る1万人以上のランナーで埋め尽くされました。じつは偶然にもJAMS.TVの“韋駄天”走るエディターこと不肖Cがこのレースに参加してきましたので、ちょっぴりだけレポートしたいと思います。

新コースが今大会の特徴

今回で20回を数えるシドニー・ハーフ・マラソン。今年の特徴は、まずコースが新しくなったということ。これまでの2周回コースではなく、いわゆる折り返しスタイルのコース設定が注目されています。このコース、個人的には大歓迎です。どっちも21kmには変わりないじゃないか、と言うかも知れませんが、これが気分的にはまったく違うのですよ。だって同じところを何回も行ったり来たりするコースって何となく町内会のマラソン大会みたいで、せっかくの“大舞台”もそれだけでスケールが小さく感じてしまうのです。個人的な好みの問題かも知れませんが、ワタクシメは今回のコースの方が好きです。第2の特徴は、スタート時間が恐ろしく早いということ。6時45分ですよ! 夜明け前ですよ! 文句言っても始まらないので4時起きして6時にはスタート地点のハイドパークに行ってきましたよ。まだ真っ暗でしたが、人がうじゃうじゃいてある意味異様な光景でした。

コースマップはこちら

(クリックで拡大表示)

 

まずは用を足すのが鉄則

走る格好の上にTシャツとパーカーを着込んで、携帯電話と小銭、クレジットカード、水(ペットボトル)の入ったバッグを背負い現地入り。まずは最初にトイレをさがして用を足します。レースの際にはスタート地点付近に必ず特設のポータブルトイレが用意されているのですが、じつはレースの前にはトイレとの戦いがあるのです。ポイントは、いかに出走30分前までにトイレを澄ませることができるかということ。今でこそタイミングチップ(時間計測タグ)を装着してスタートライン通過からゴールまでの正確な時間が測定できる時代になったので、スタートポジションの場所取りも昔ほどは熾烈ではなくなりましたが、それでもスタートの位置によっては混雑がひどくスタート後もしばらくは走れないなんて状況もあるわけです。だからわりとシリアスなランナーたちは常にいいポジションからスタートしたいと考え(当然です)、そのためなるべく早めにスタートラインの近くに陣取り出走までそこで待機するのです。待機している間にトイレに行きたくなったらどうするか? まあ1時間くらい前ならその場を離れてトイレに行きます。長蛇の列に並んで戻ってきてもまだその場所に戻れる可能性は充分にあります。これが30分前ならどうするか? まずトイレに並んで30分で用が足せるかはなはだ疑問です。そして出走が近づくごとに混雑の具合が増すわけですから運良く用が足せたとしても今度は自分がキープしていたポジションには、まあ戻れないでしょう。考えてみてください、1万人からの人が参加するわけですから目の前はちょっとした“初詣”状態です。そんな押し合いへし合いしている人の波をかき分けることなんてできないのです(話しが長くてすみません)。だからまずはトイレを済ませておくのです。そういうわけで何機も並んだ特設のトイレに向かいました。そこにはすでに人の列が。列もそれほど長くないし今ならまだ大丈夫そう…。結局5分ほど並んだだけで済んだ(よかった)。これでまずは一安心。

出走前は寒さとの戦いが待っている

次は荷物です。指定の場所に行き、用意されているプラスチックバッグにゼッケン番号を書き込み、それに荷物を入れて預けるだけ。ちなみに今回のレースは発着点が同じところなのでそのままの場所に荷物が番号ごと分けられボランティアによって保管されますが、スタートとゴールが違うレースの場合にはレース中にトラックでゴールまで移送したりします。ところがいつも困るのが預けるタイミング。荷物をすべて預けるということは、つまり走る格好になるということ。そして大概はシングレットかTシャツに短パンの軽装備で走るわけですから冬の寒風吹き荒む中を寒さを耐えながら出走を待つことになるわけです。だから結構の人が捨ててもいいトレーナーなどを着込んでスタート間際に沿道に脱ぎ捨てる、というのがお決まりなわけですが、ちょうど捨ててもいいシャツなどを持ち合わせていない場合は、寒さに震えながら出走を待つしかないのです。もちろん出走間際に荷物を預ければそれまで寒さはしのげますが、おのずと好ポジションはあきらめなければなりません。そしてワタクシメもちょうど捨ててもいい服を今回持ち合わせていなかったわけで(今回で通算30回目のレースなのですでに散々捨て尽くしてしまっているわけです)、 覚悟を決めて30分前には荷物を預け、場所もなんとかキープし出走を待ちました。もちろんこのタイミングには個人差があるわけで、ある程度タイムにもこだわらなければもっと後でも 全然問題ありません (ただしレースによっては

預け入れ受付時間が設定されていていつでも 自由ということではありません)。そしてここで頭をもたげてくる不安がまたまたトイレなのです。そうです、やっぱりトイレなのです。寒いと不思議とトイレが近くなるのです。というわけでこれがスタート前の“攻防”なのです。(全然レースのレポートじゃないじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、まあ結局は走るだけですから……。)


完走者の笑顔があふれるゴールエリア

ホントに寒かった。30分も震えながら待ちましたよ。しかし若干の尿意はあったものの“有事”には至らず、問題なくスタートを迎えることができました。よかった(ホっ!)。あとは走るだけです。BANG! 6時45分スタート。気持ちが折れないように自分で自分を励ましながらがんばって走りました。そして悪戦苦闘の結果……、無事6度目のシドニーハーフ完走を果たしました。走り終わった後の光景はどのレースもほぼ同じです。ゴール付近でそれぞれが呼吸を整え、水分を補給したりしながら、達成感と疲労感の狭間で完走者同士が声をかけ、お互いの健闘を称え合う……。 汗まみれのみんなの笑顔を見る度に「参加してよかった、完走できてよかった」といつも思います。

そして走る前の自分よりもちょっぴりだけ背が伸びたみたいなくすぐったいような感覚もいつもと同じです。この大会も思えばワタクシメが初めて参加した2005年なんて5000人限定のこじんまりとしたレースだったのに今じゃ1万人ですよ(1万905人出走、1万842人完走)! 今回からは車イス部門も新設され、ここシドニーでもマラソン熱のすごさを実感しました。身体と呼吸が落ち着いたら荷物を受け取り、びしょびしょに濡れたシングレットを脱いで朝着ていたTシャツに着替えます。そして「今回もがんばりました、お疲れ様」と心の中でつぶやきながら家路へと向かうのでした。さて次はどのレースに参加しようかな、などと思いを馳せながら……。

ちなみに7月3日にはゴールドコースト・マラソンが、8月14日にはシドニーでシティ・トゥ・サーフが開催されます。

 

 

エントリーするとゼッケンと大会インフォメーションが事前に送られてくる。

進化するタイミングチップ。これまで靴ひもに結びつけるチップだったのに、今回はゼッケンの裏にタグが装着されている!

今回は車イスランナー4人が出場。

スタートを待つエリートランナーたち。

コース途中(WESTERN DISTRIBUTOR)ではあまりの混雑に流れがストップする一幕も。

ゴールした後は休憩エリア(HYDE PARK)でみんなリラックス。

預けた荷物を受け取る完走者たち。

女子優勝者のNIKKI CHAPPLEさん(1時間12分55秒)。

優勝者のMARTIN DENTさん(1時間4分59秒)。

 

車いす部門優勝者のKURT FEARNLEYさん(59分23秒)。

完走者全員が手にしたフィニッシャーズ・メダル。

 

 

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