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第11回 良性発作性頭位めまい症(BPPV)

日豪プレス 2012年7月号 掲載記事

第11回 良性発作性頭位めまい症(BPPV)


▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神 経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専 門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を 行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、 体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !

 

脳が混乱することで起こるもの

良性発作性頭位めまい症(BPPV)の症状は最近メディアでも頻繁に取り上げられるようになってきましたのでご存知の人も多いのではないでしょうか。なでしこジャパンの澤穂希選手もこの症状に悩まされていたようです。

BPPVとは頭を動かした時のみに起こる回転性のめまいのことです。今回はBPPVとGPに行った際に診断され、クリニックにいらっしゃった50歳代の女性Kさんのケースをご紹介しましょう。Kさんはベッドに横になった時や突然上を向いた時など、頭を動かした際に突発的なめまいに襲われるということでした。しかし、長くても30秒以内にめまいは治まり、その後、数時間以内に何度か起こるものの、その都度、症状は軽くなっていき、起こる時間も短くなっていくとのことでした。しかし、ひどい時には吐き気や嘔吐を伴うこともあったそうです。

Gray’s Anatomy 参照

BPPVはカルシウムの堆積物である耳石が本来あるべき卵形嚢のうから三半規管の中の6つある半規管の中に侵入することによって起こります。脳は絶えず眼と三半規管からの情報を分析して頭の位置を把握していますが、三半規管に異物である耳石が侵入したことで、眼で見ている風景と半規管からの情報が脳の中で一致せず、脳が混乱してしまい眼球が横振れし、めまいを引き起こすのです。

繰り返しの誘発が早期回復へとつながる

フィジオセラピーでは、まず左右どちら側の三半規管、そして6つあるどの半規管に耳石が侵入しているのかを眼球の振れ方により特定し、耳石を元の位置である卵形嚢に戻す治療をします。同時に再発を防ぐため、自宅でも引き続き耳石が半規管に侵入しないようにするための運動療法を処方します。BPPVの特徴として、めまいが起こる頭位を繰り返していれば、徐々にめまいの度合いと時間が改善します。これは脳が耳石の侵入した半規管からの情報を間違いだと認識し、眼からの情報を正しいものだと修正するからです。BPPVの場合は安静にするより、医療従事者の指示の下、めまいを我慢できる程度に繰り返し誘発することで早期回復へつなげます。

耳石はおよそ6週間の周期で身体に吸収されるので自然に改善に向かうこともありますが、場合によっては治療なしでは改善が見られないこともありますので 早期に医療機関での診察を受けられることをお勧めいたします。

 

*同コラムは、一般医療情報の提供を目的としています。症状や治療法は人によって異なりますので、必ず専門家の指示に従ってください。

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