法律/ビザ

オーストラリアが虹色に染まった日


画像出典元:news.com.au

11月7日に、以前お伝えした同性婚の是非を問う郵送式の自主投票が締め切られました。締め切り直前の世論調査では64%が賛成し、合法化実現の公算が大きいと言われていました。そして15日キャンベラにて、オーストラリア統計局(ABS)のデイヴィス・カリッシュ局長で記者会見を開き、投票結果も発表! 選挙権を持つ79.5%が参加、61.6%の人が賛成し、すべての州で賛成が反対を上回る結果(オーストラリア全国150の選挙区中賛成過半数が133)に。

カリッシュ局長は、高い投票率を受けて「国民は統計が有権者の意見を反映していることを信頼できる」とコメント。マルコム・ターンブル首相は、「多くの市民が意見を表明し、圧倒的に婚姻の平等が支持され、オーストラリアの人々は公平性、コミットメント、愛に賛成票を投じた。今度はオーストラリア連邦議会の我々が行動を起こす時だ」と、クリスマスまでに同性婚を合法化する改正法案を連邦議会で通過させることを目指す姿勢を見せています。法案の具体的な内容をめぐる議論は今週中にも始まる見通しで、自由党のディーン・スミス上院議員がすでに法案を提出しています。

結果発表を受けて、その場で恋人にプロポーズした人や、さっそく結婚式の準備を始めた気の早いカップルもいるようですよ!


画像出典元:news.com.au

 

とはいえ与党保守派の一部からは、免除項目(「宗教の自由」条項)を議案に含めるよう求める声も。1270万人以上が参加した自主投票ですが、賛成は約782万票、反対は約487万票。320万人ほどのオーストラリア国民が調査に回答しませんでした。それを考えると「圧倒的YES」と報じているメディアもあるのですが、個人的には61.6%は胸を撫でおろしたけれどきわどい数字という印象。

反対票を投じた人々は、ABC放送のインタビューによると「宗教上の理由」が多いとのこと。保守的なムスリムやクリスチャンであることから、教義に反する抵抗があるそうです。賛否は単純なものではなく、家族内でも立場が違うことも。例えば、トニー・アボット元首相も「ゲイである実の妹の子供は、ストレートのカップルに育てられることが ”最善” 」と発言していましたが、実の娘のフランシスさんは、テレビCMに出演して結婚の平等を訴えていました。

投票結果の発表を受け、オーストラリア各地ではレインボーフラッグを振り、賛成派多数を祝う人々の姿を道行く先で見かけました。当日、シドニーのPrince Alfred Parkで開かれた集会では、YESキャンペーンのアレックス・グリニッジ代表と同キャンペーンに参加したイアン・ソープ、シドニーのクロバー・ムーア市長、ケルン・フェルプス議員、クリスティーン・フォスター議員を始めとしたリーダーが壇上でスピーチ。歓喜に湧く人々の中、感極まって抱き合うカップルたちの様子が印象的でした。

歌手のカイリー・ミノーグ、シーア、ハリウッドスターのヒュー・ジャックマンなどオーストラリア出身のセレブを始め、カンタス航空のアラン・ジョイスCEO、Appleのティム・クックCEOなど、世間にカミングアウトしている著名人も祝福のコメントを出しています。

私の通っている学校の先生たちも、当日はYESキャンペーンのTシャツやバッジをつけて授業そっちのけでお祝いモード。「おめでとう」と話したら、「ありがとう! 日本の同性婚事情はどうなの?」と興味津々でした。オックスフォード・ストリートでは、夕方からセレブレーションが開かれ、大勢の人々が翌日まで踊り明かしたそう。

 

シドニーのオペラ・ハウスやニューヨークのエンパイア・ステイト・ビルディングも、虹色に輝いて祝福! さらに、同日はサッカーのオーストラリア代表がホンジュラス代表と対戦し、念願の2018年ワールドカップロシア大会への出場権を獲得しました。11月15日は、オーストラリアの多くの人々にとってファンタスティックな1日となったことでしょう。さらに、シドニーで開催されるLGBTIQの祭典「Mardi Gras(マルディグラ)」は、来年で40周年! もしターンブル首相の言葉通りに年内に法案が改正されれば、その盛り上がりは計り知れませんね。

最後にYESキャンペーンのグリニッジ代表からのメールをご紹介。↓

メール出典元:voteyes.org.au

 

文:武田彩愛(編集部)

 

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