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シドニー発豪ドル見通し(2011年3月14日)

”シドニー発豪ドル見通し”(毎週月曜アップデート)

(米ドル円日足)

(豪ドル米ドル日足)

(豪ドル円日足)

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在Junax Capital,AT FUND,Sydneyでファンドマネージャーを務める傍ら日本の投資家に市場情報を発信している。為替歴28年。

趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ

今週の主な予定、イベント

3/14(月)G8外相会議、日本1月鉱工業生産、ユーロ圏1月鉱工業生産、カナダQ4設備稼働率

15(火)日銀会合、RBA議事録、独・ユーロ圏3月ZEW景況感調査、米3月NY連銀製造業景気指数、1月対米証券投資、FOMC政策金利

16(水)ユーロ圏2月CPI、米Q4経常収支、2月住宅着工件数、2月宅建設許可、2月PPI、英2月失業率

17(木)スイス中銀政策金利、米2月CPI、新規失業保険、2月鉱工業生産、2月景気先行指数、3月フィラデルフィア連銀景況指数

18(金)日本1月景気動向指数、独2月PPI、ユーロ圏1月経常収支、メルケル独首相講演

 

マーケットの焦点

国外在住の私ですが、東北地方太平洋沖地震犠牲者の方々にお悔やみ申し上げるとともに、被災者の方々の早期復興をお祈りいたします。

当地から日本への電話回線も先週金曜日は一日中ほぼ麻痺状態でした。

先週も日本の地震をはじめ、様々なリスク材料が市場を撹乱し、”リスク”が市場の焦点となった1週間でした。

引き続きリビア情勢は緊張しており、仏は主要国にリビアへの空爆を打診。原油価格は一時1バレル107ドル近辺まで上昇しました。

米格付け会社ムーディーズはギリシャとスペインの格下げを発表し、南欧諸国とドイツ国債の利回格差が拡大しました。(質への逃避)

また金曜日に発生した日本の大地震では”リスク回避の円買い”が活発化し、ドル円は発生直後の83円台から81円台まで急落しました。一説には地震関連の巨額の保険金支払いのため、日本の保険会社が海外資産を売却して円転する(リパトリエーション)との思惑も働いたようです。

これらのリスク要因とは別に発表された米国経済指標は概ね景気回復の兆しを示し、また欧州では引き続きインフレ懸念が高まりました。

ニュージーランド準備銀行は地震への対応として、予想を上回る0.5%の利下げを敢行しています。

金曜日の日本の大地震の影響もあり、先週一週間ではやはり”様々なリスク回避”の動きが主体となり、主要国の株価も前週比で下落しました。

原油価格も週間高値107ドルから101ドル台に下落して越週するなど、投資資金を回収する動きが目立った一週間でした。

豪ドルマーケット

先週の相場レンジ AUDUSD 0.9970-1.0183 AUDYEN 81.95-83.75

今週の予想レンジ AUDUSD 0.9950-1.0250 AUDYEN 81.50-84.50

”今週はリスク要因、米FOMCの結果を見ながらボラタイルな動き” 

先週の豪ドルは”下げて→戻す”でした。上記のようなリスク要因、中でもリビアの緊張激化や、欧州不安の再燃から、豪ドルは週初の高値1.01台後半、83円台後半から週央にかけてじり安推移。また発表された2月の雇用統計ではfull-time-jobは+47.6千人と増加したものの、part-time-jobの大幅減少から全体としては過去1年半で最大の-10.1千人の減少となり、先月分も下方修正されるなど不冴えな内容。2月のNAB企業信頼感・景況感は前月より改善しましたが、WESTPAC消費者信頼感指数が-2.4%(前回は+1.9%)になるなど景気はまだら模様。ロウRBA総裁補の「消費支出が極めて抑制されている」の発言が印象的でした。

金曜日の日本の大地震報道直後は”リスク通貨豪ドル売り”により、99セント台、また豪ドル円も一時81円台まで続落しましたが、その後海外市場では、”リスク回避の円買い”がドル売りにつながり→ドル売りが対主要通貨で強まる展開に急転したのはちょっとビックリでした。

結局豪ドルは1.01台、83円台に値を戻して越週しています。

さて今週は日本の地震の金融市場への影響が無視できません。ゼロ金利の日本がNZのように利下げをすることは不可能ですが、日銀が新たに地震対策として資金供給を行うのか?政府の財政援助はどのように出るか?中期的に見れば自然災害の金融市場への影響は一過性と思われますが、災害規模が規模であるだけ注目する必要があります。また原発の放射線漏れ被害の状況も気になるところ。その他リビア情勢、欧州不安からも目を離せませんが、やはり注目は火曜日の米FOMC(結果発表は水曜日早朝)です。果たして出口戦略(ゼロ金利解除)に向けて、FRBの一歩踏み込ん姿勢が確認できるか?

週末に買い戻された豪ドルですが、地震の影響による急反発は一時的なものと思われます。むしろ上記リスク要因や米国の金融政策などの材料を受けて不安定な乱高下が予想されます。

つボヤキコーナー

”地震で円売り、有事のドル買い”―今いずこ?

一昔前であれば金融市場の常識は”有事のドル買い”であり”地震は円売り”でした。つまりイランイラク戦争では米ドルが逃避先として買われ、また阪神大震災時には一時的にせよ円が売られたものです。有事のドル買いが過去のものとなった背景には歴史的にドル離れが進んだこともあるでしょう。また”地震の円売り”はいつの間にか”リスク回避の円買い”という真反対のオペレーションに取って代わられてしまいました。ただこれは”円買い”というよりはむしろ”円買戻し”と表現するのが正しいでしょう。というのは我々個人投資家ではないヘッジファンドなどのいわゆる機関投資家は円キャリートレードといって、平時には『ゼロ金利円を借りて―したがってコストゼロです―それを原資にして円を売って、代わりに商品相場や株などのリスクアセットへ投資する』というオペレーションを大規模に行っています。そこで一旦市場のリスク値が高まりポジション手仕舞いを余儀なくされると、”それらリスクアセットを売って、円を買い戻して借り手に返済する”という逆のオペレーションが大々的に起きるわけです。歴史的にも2002年から2008年の豪ドル円の上昇(60円→107円)は円キャリートレードであり、2008年の世界金融危機時の豪ドル円の暴落(104円→55円)はリスク回避の円買戻しの典型と説明できます。また個人投資家を含めた投機筋もキャリートレードやリスク回避の円買いに乗じた動きをするために、市場へのインパクトが益々大きくなるわけです。「地震で円売り」「有事のドル買い」などかつての事象を変化させてきた原因が金融市場のオペレーション自体にあると思うと複雑な心境になります、、、

 

それでは 、Have a nice DAY!!!

Junax Capital, Sydney

Joe Tsuda

・豪ドルトレーディングにはFXマガジン「Joeの豪ドル道場」をお勧めします。 http://www.fxmagazine.jp/magazine_direct.php?uid=3Gl8j

サンプル例を添付させて頂きます。

「29_december_2010.pdf」をダウンロード

       

ご注意!

本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、

それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
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