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シドニー発豪ドル見通し(2011年5月16日)

”シドニー発豪ドル見通し”(毎週月曜アップデート)

(米ドル円日足)

(豪ドル米ドル日足)

(豪ドル円日足)

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在Junax Capital,AT FUND,Sydneyでファンドマネージャーを務める傍ら日本の投資家に市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴29年。

趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ

今週の主な予定、イベント

5/16(月)ユーロ圏4月CPI、米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数、ファンロンバイEU大統領と中国胡錦濤国家主席会談、バーナンキFRB議長講演、ユーロ圏財務省会合、米国の連邦債務上限(14兆2940億ドル)到達。米為替政策報告書

17(火)RBA議事録、英4月小売売上高、英4月CPI、独5月ZEW景況感指数、米4月住宅建設許可、米4月鉱工業生産、EU財務相理事会

18(水)豪第1四半期賃金コスト指数、NZ第1四半期PPI、英4月失業率、英MPC議事録、FOMC議事録、ブラード・セントルイス連銀総裁講演

19(木)日本第1四半期GDP(速報値)、英4月小売売上高、米5月フィラデルフィア連銀景況指数、米4月中古住宅販売件数、ブラード・セントルイス連銀総裁講演、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁講演、トリシェECB総裁講演、エバンス・シカゴ連銀総裁講演

20(金)カナダ4月CPI、カナダ3月小売売上高、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁講演

 

マーケットの焦点

キーワード― 欧州ソブリンリスク(ギリシャ債務再編問題)、株・商品市場高値警戒感、ドル安(米財政不安)、中国、リスク回避、原油の動き

先 週は通貨市場・アセット市場(株、商品相場)ともにリスク回避と選好が交差する神経質な相場展開となりました。

ニューヨークダウ引け値は12,595ドル(前週末は12,638ドル)、商品相場(CRBインデックス)は338.53(前週末は337.35)と大きく落ちてはいませんが、ニューヨークダウも4/29の12,810ドルをピークに、どうも調整局面に入ったように感じます。(高値警戒感)

引き続き相場の焦点は欧州ソブリンリスク。今週は月曜日、火曜日にユーロ圏財務省会合、EU財務相理事会が開かれますが、中心議題はやはりギリシャの債務再編問題。この再編とは償還期限の延長、金利減免、更には元本削減ヘアカットを意味しますが、これでおさまらない場合にはギリシャ債務不履行(デフォルト)、そして最悪の場合はギリシャのユーロ圏からの離脱の可能性も皆無とはいえません。このギリシャの他にも独、仏などのユーロ圏コア国と、南欧、東欧などのいわゆる周辺国との格差が拡大しており、国民感情の対立も激化しています。

独国民の中には「独はギリシャの救済ボランティアか?」などという不満も渦巻いているようです。今週のEU財務相レベルの会合が注目されます。

また先週は底値圏を若干放れた米ドルですが(ドルインデックス金曜日引け値は前週末の74.90から75.71に上昇)、まだまだ予断を許しません。今週も4月の米住宅関連指標が多く出ますが、はたして当局者の言う「Q1の弱い指標からQ2は上昇へ」が本当かどうか?

バーナンキFRB議長他、多くの地区連銀総裁の講演も予定されており、出口戦略に向けた当局者の本心を探りたいところ。

また米国関連では5/16日に米国の連邦債務上限(14兆2940億ドル)に到達することになり、ガイトナー財務長官は「16日以降も特例措置で8/2まで借り入れ継続は可能」と発言していますが、この巨額の財政赤字がドル安の根本原因であることを忘れてはいけません。

先週発表され中国の4月主要指標(小売売上高、鉱工業生産、CPI、PPIなど)は若干市場予想を下回り、資源通貨が発表後下落しました。かたやインフレ懸念からの金融引き締め観測は依然根強く、今後中国関連では景気のスローダウンとインフレ懸念という二つの問題を意識する必要があるようです。

先週はこれらの諸要因が日替わりメニューのようにリスクの回避と選好の動きを誘い、通貨市場も神経質な動きで疲れる1週間でした。特に中東問題以降114ドル台(1バレル)まで上昇していた原油価格が一時94ドルまで下落しました。主に調整色を伴ったリスク回避の動きが主因ですが、最近は原油の動きがユーロや豪ドルの動きとパラレルに、またはむしろ通貨を先導して動くのが特徴です。

もともと原油の動きは米ドルの動きと逆相関関係にありますが、裏を返せばユーロや豪ドルとは相関関係ということです。

暫くは通貨動向を考える上で原油の動きを無視することは出来ない状況です。

豪ドルマーケット

先週の相場レンジ AUDUSD 1.0522-1.0886 AUDYEN 84.93-88.09

今週の予想レンジ AUDUSD 1.0400-1.0700 AUDYEN 83.50-86.50

今週の豪ドルは”上値重く、下値不安強い展開”

先週の豪ドルは軟調地合でした。ある意味史上高値(1.10)からの調整局面継続という見方も出来るでしょう。

週前半はドル安地合継続や商品相場堅調から1.09手前、88円台まで上昇しましたが、その後は息切れ状態でした。

火曜日の2011/2012連邦予算案は予想通りに緊縮予算となりましたが、景気/インフレ見通しはむしろ、”洪水の影響は一時的で来年にかけて景気は拡大し、インフレは上昇する”との見通しで、然程豪ドルにとりネガティブは内容ではありませんでした。

ただしかし週末に向けてギリシャ問題その他からリスク回避の動きが活発化しました。トドメは木曜日に発表された4月の雇用統計で、就業者数が事前予想の+17千人に対して-22.1千人となったことが豪ドル失望売りを誘いました。週末にかけては欧州ソブリンリスクなどリスク回避の再燃から株価が軟調となり、豪ドルは1.05台前半、85円近辺まで続落して安値引けとなりました。

今週豪州国内では水曜日の第1四半期賃金コスト指数が注目されます。資源産業に牽引された高い数字が予想され、再び利上げ観測が強まる可能性はありますが、豪州全体としては発表された3月小売売上高、4月雇用統計共に不冴えであり、6月初のQ1GDP発表に向けて、むしろ景気スローダウン懸念が強まる可能性があります。

豪州国内でも資源/非資源産業の格差問題、来年7月導入予定の資源新税と炭素税を巡る議論などがネガティブ材料視される可能性があります。

ただ上記のようにやはり足元の豪ドルの動きに大きく影響するのは、米ドル動向や欧州不安などの外的要因と言えそうです。

豪ドル円は、金曜日に発表される日本のQ1GDPが前期比-0.5%予想ですが、予想通りに3期連続マイナスとなれば、再び円買い圧力が高まる可能性がある点要注意です。

不安材料がどうも、目に付きますが、豪ドル下落局面では”中長期的な視野から”投資機会を伺う投資家需要が強まることが予想されますので、大きな豪ドルの崩れ(AUD=1USDのパリティー以下など)には至らないでしょう。

またドル円が80円を大きく割り込めば、再び介入警戒感が高まることが予想されます。

それでは 、今週も Have a nice WEEK!!!

Junax Capital, Sydney

Joe Tsuda

・豪ドルトレーディングにはFXマガジン「Joeの豪ドル道場」をお勧めします。 http://www.fxmagazine.jp/magazine_direct.php?uid=3Gl8j

サンプル例を添付させて頂きます。

「29_december_2010.pdf」をダウンロード

・現在セントラル短資FXブログに執筆中!

http://www.central-tanshifx.com/

 

       

ご注意!

本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、

それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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