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第9回 アロマセラピスト 相澤 正弘さん

1972年、神奈川県川崎市生まれ。93年にサーフィンを目的に、ワーキングホリデー制度を利用してゴールドコーストへ来豪。免税店数社で営業職を経験し、98年、現在代表を務めるスキンケアメーカーBonchicへ入社。2001年シドニーへ移り、本格的にナチュラルスキンケア製品の開発に携わる傍ら、Australasian College of Natural Therapiesでアロマセラピーを学び 、ディプロマ・アロマセラピー、アーユルヴェーダ・アロマセラピー、リメディアルマッサージの資格を習得。09年10月、アロマセラピーをもっと身近に感じてもらいたいとMarvo Aroma Schoolを開校。 2010年、アロマセラピーの世界では最も難関と言われるIFA(英国国際アロマセラピスト連盟)の資格を取得。現在は、クリニカルアロマセラピストの講師として活躍する傍ら、アロマスキンケア製品の自社ブランド「C19」、「Green Shower Aroma」の開発・監修を行っている。また、アーユルヴェーダ・アロマセラピーのディプロマ資格取得を目指している。

夢から覚めるとアロマが身近に

 好きなサーフィンがしたくて、20歳のときにワーキングホリデー制度を利用してゴールドコーストに来ました。今はアロマセラピーをやっていますが、実は体育会系な理由が来豪のきっかけなんです(笑)。現地の何社かで営業職を経験して、90年の終わり頃、シドニーにあるスキンケア商品の輸出会社に営業として入り、十数年ほど勤めました。当時、日本で開催されていたダイエットや美容関係のイベントに参加した際、クライアントのバイヤーから「アロマセラピー関係の商品は扱ってないの?」と問い合わせを受けたことがあったんです。オーストラリアにアロマ関連の商品があることは知っていたんですけど、僕自身アロマに関する知識がまったくなくて…。そのとき初めてアロマを意識しましたね。

 

 それから、会社でも新しくアロマの製品を扱おうということになったんですが、その場合、アロマに関する専門知識を持った人がいないと扱ってはいけないということだったので、僕が学校へ行ってアロマを勉強することになりました。そこで約1年間アロマを学んで、ディプロマの資格を取得しました。学校に通うのも仕事の一環だったので、ちゃんと卒業しなきゃっていう責任感はあったんですが、最初は情熱がそんなにあったわけじゃないんですよ(笑)。

 

 あるとき、学校の試験勉強をしていてつい眠ってしまったことがあったんですが、そのとき変な夢を見たんです。僕は夢の中でアロマを勉強していて、アロマの液体を数適垂らすとそこから妖精たちがふわふわっと出て来て、いろんな話をしてくるんです。普段メルヘンチックな夢は見ないだけにそれがすごく印象的で、アロマに対して非常に特別な感情を持ったんです。おかしな話なんですが(笑)、それからだんだんアロマセラピーに興味を持つようになって、学校でベーシックなことを学ぶだけじゃなく、独自でもっと深く勉強するようになりました。そしてアロマにハマり始めた頃にはちょうど卒業のタイミングだったんですよ。

 

“壁”を取りたいとの思いから、スクール開校へ

 アロマが好きな方は、自分で調べて知識を深めていかれると思いますが、アロマをよく知らない、もしくは少し興味がある程度の人たちのほとんどは、いい香りだけどどういう効果があるのかわからないし、どのように始めていいかわからないと、結局始めずじまいでいるというのが現状のようです。アロマ未経験の人にとっては壁があるのかもしれませんね。最初僕自身がそうだったのでよくわかるんですよ。学校を卒業してある程度知識を得たときに、わりと簡単に始められてすごく良いものなんだということがわかったので、まだ始めていない人たちにぜひ伝えたいと思ったんです。好きな人だけがやっているアロマセラピーじゃなくて、まったく興味がない人たちが「ちょっと触れてみようかな」と思えるきっかけを作りたかったのと、美容系のアロマセラピーを教える学校は数多くある傍ら、医療的なアロマを扱うところはあまりなかったので、そちらの分野の需要はわりとあるんじゃないかと思い、2009年の10月にマーヴォアロマスクールを開校しました。日本でのクライアントのあの一言がなければ、おそらく今でもスーツを着て営業まわりをしていたでしょうね(笑)。

 アロマはどうしても美容系の製品が注目されやすいんですけど、実は、認知症やうつ病、婦人科系、更年期障害にもアプローチできるんですよ。医療への本格的な導入としてはまだまだ発展段階なんですが、アロマセラピーケアを取り入れている病院も増えてきていて、高齢者介護の場面ではかなり浸透しているようです。

 日本は狭い土地にたくさんの人が住んでいるなかで、相手の気持ちを察する力がすごくあると思うんです。オーストラリアなどの大陸系の人たちは、どちらかというと言葉で聞いたことをベースに考えていくタイプですよね。僕は日本人の繊細さがアロマセラピーとうまく調和するとよりいいんじゃないかと思うんです。日本人の特徴である、他人の気持ちを察する力をさらに高めて、アロマセラピーに加味することで、より深いリラクゼーション効果を得たり、よりいいオイルを選出できたりする可能性があるんじゃないかと思います。“察する”ことが難しい人たちからしてみると、大きなアドバンテージではないかと思うんです。

 

一家に一本エッセンシャルオイルを

 今までアロマに触れたことのない人たちに、エッセンシャルオイルを1本でいいので家に置いてもらって、アロマのある生活をぜひ取り入れてもらいたいと思っています。気をつけていただきたいのは、ディスカウントショップなどで1〜2ドルくらいで売っているラベンダーオイルなんかは、ラベンダーから抽出したオイルではなく、単にラベンダーの匂いがするオイルなので、実際には何も効果がないんですね。ちゃんとしたピュアなオイルを手にしてもらって初めて効果があるんですよ。そういった正しい知識もどんどん伝えていきたいですね。将来的には伝統的なアロマセラピーだけじゃなくて、いろんな種類のアロマセラピーを授業に取り入れていこうと考えています。ここオーストラリアは、アロマセラピーを学ぶためにはすばらしい環境が整っていると感じますね。1日で気軽に学べるレッスンや、アロマとマクロビオティックを組み合わせたワークショップなど、バラエティーにも富んでいます。僕は男性アロマセラピストという存在が確立されるよう、とことんこだわりと探究心を持って正しいアロマセラピーやこの職業について広く発信していき、こういう仕事もいいなと思ってくれる人が1人でも2人でも多く出てきてくれたらいいなと願っています。さらに、これから社会にでる人たちに少しでも勇気や魅力を与えられたらいいですね。

 

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