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オージー英語がワカラナイ…

シドニーには3週間前にやってきたばかりですが、じつはその前にニューヨークで2年程生活をしていたことがあります。そういったこともありアメリカ英語には親しみがある一方、オーストラリア英語は未だ馴染めず、苦悩する日々を送っています。

先日銀行に行ったときのこと。窓口で口座開設とデビットカードの発行をお願いしたのですが、どれだけ言い方を変えても、簡単な言葉を使っても通じません。途中で担当者がパニックになり、近くにいたスタッフ全員がこちらに集まってきてしまい、非常に恥ずかしい思いをしました。

これは極端な例ではありますが、こちらに来てからというもの、カフェで注文をする時や、駅で人に話かけられた際にも、同じように英語が通じないという状況を何度か経験したので、銀行スタッフの問題ではなく、自分の英語が日本訛りとアメリカ訛りが混ざっていて、オーストラリアの方にとっては非常にわかりにくかったようです。

アメリカ英語とオーストラリア英語の違いの特徴として”T”と”R”のサウンドが全然違うことに気づきました。オーストラリアでは”T”はクリアに発音して、”R”は舌を巻きません。アメリカでは”T”はほとんど発音せず(または”D”の音に変わる)、”R”は強く舌を巻き込みます。例えばBottle of waterが「ボドォー・オブ・ワダー⤴︎」といった感じで発音されます。またオーストラリア英語で特徴的なのは”A”が入る単語の発音がかなり独特で、初めて「トゥダイ(Today)」を聞いた時は衝撃が走りました。

ニューヨークとシドニーで生活する人の英語力を比較した場合、平均的な英語力はシドニーの方が高いと感じます。ニューヨークでは不法滞在の移民が問題となっており、経済的な理由からきちんとした教育を受けるのがむずかしく、英語ではなく母国語しか話さない人の比率がとても高いです。公園、駅、役所などの注意書きには、多い時に6カ国語以上の併記があります。また移民2世、3世といったアメリカ生まれの人でさえ強い訛りを持っていることが少なくありません。

ニューヨークでの生活を経験しているが故に、移民の方と話しをする時に少し構えてしまう習慣がついてしまっているのですが、シドニーでは誰もがきれいな英語を話されます。ニューヨークでは癖の強い英語を話す傾向が強い中国系やインド系の方が、こちらで流暢な英語を話されているのを耳にすると、未だに不思議な感覚に陥ってしまいます。どちらの都市も英語が第一言語の世界的な多文化・多民族都市という共通点を持っていますが、違った特徴を持っていることが分かりました。

発音の他に、使われている単語も一部に違いがあります。例えば先日RSA(Responsible Service of Alcohol)の講習を受けた時、Patronという言葉が頻繁に使われていて、辞書で調べてようやく顧客という意味だと理解しました。アメリカではCustomerと一括りに言いますが、Patronという言葉からはオーストラリア人の上品さと高いホスピタリティを感じることができ、良い表現だなとひとりで感心してしまいました。

このような観点から英語を比較すると、地域の人たちが持つ文化、慣習、思考が見えてきます。英語は公用語として世界中で話されていので、国や都市が変われば違った英語を聞くことができるし、話す人によっても大きな違いが出るでしょう。正解を敢えて作らず、個性を認める寛容さが英語をむずかしくしていますが、それこそが英語の持つ面白味のひとつでもあります。訛りはアイデンティティに成り得る。そう考えると自分が持つアクセントにも自信が持てるようになりますし、英語や英語を話す人への興味がさらに強くなりますね。

などとうまくまとめましたが、じつは自分の英語力の低さをごまかすための、長ーい言い訳でした。理想の英語像を持つのは良いことですが、結局は通じないと意味がありません。せっかくオーストラリアに来たのだから、オーストラリアの英語を学び、カルチャーに触れ、それが自分の一部となるよう、これからしっかりと吸収したいと思います。

 

文:德田直大(編集部)

 

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