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シドニー発豪ドル見通し(26 September 2016)

 

”シドニー発豪ドル見通し”(毎週月曜アップデート)

(米ドル円日足)

(豪ドル米ドル日足)

 

(豪ドル円日足)

 

 

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在Junax Capital, AT  FUND、Sydney でファンドマネージャーを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。

豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。

趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ

 

今週の主な予定、イベント

9/26(月)

臨時国会召集日、安倍首相所信表明演説、黒田総裁講演、独9月ifo景況感指数、米8月新築住宅販売、ドラギ総裁議会証言、ダラス連銀総裁講演、米大統領選討論会

27( 火)

日銀議事録(7月28・29日)、米9月消費者信頼感

28(水)

米8月耐久財受注、イエレン議長議会証言、地区連銀総裁講演(セントルイス、シカゴ、クリーブランド、カンザスシティー)、OPEC非公式会合

29(木)

黒田総裁講演、独9月CPI、米Q2GDP(確報値)、米8月中古住宅販売、新規失業保険申請件数、FRB当局講演(イエレン議長、パウエル理事、ミネアポロスFED、アトランタFED、フィラデルフィアFED)

30(金)

日銀主な意見、日本8月雇用統計・CPI、中国9月財新製造業PMI、ユーロ圏9月CPI、米8月個人所得支出

10/1(土)

中国9月製造業/非製造業PMI

 

<マーケットの焦点>

キーワード:日米金融政策会合終了-両国金融政策の妥当性、米大統領選、OPEC非公式会合、日銀限界論、北朝鮮核実験、原油価格

 

先週は注目の日銀金融政策決定会合とFOMCが21日の同日に開催され市場の焦点となりました。

結果は日銀がマイナス金利の深堀を実施せず、代わりに長短金利のイールドカーブを立たせるという”長短金利操作付き量的質的緩和の強化”を発表。

一方FOMCは大方の予想通りに利上げを行いませんでした。

日銀の政策は2月のマイナス金利導入以来収益悪化や運用難が問題視されている日本の銀行や、生保、年金運用などに配慮して現在マイナスに沈んでいる10年国債利回りをゼロ%に誘導することを発表。一方マイナス金利は続行されるため、長短金利のイールドカーブが立つ計算となります。

また”オーバーシュート型コミットメント”つまり市場にインフレマインドが植えつけられるまで引き続き2%目標達成まで量的緩和を続行するとしています。

日銀(政府)の円売り介入が世界的に認められていない現状、日銀は金利市場への介入を強化し、加えて今年6月に上場投資信託(EFT)購入額を従来の年間3.3兆円から6.0兆円に増額しましたが、株式市場にも介入して、何とか株高、消費者物価上昇の実現に躍起になっています。

しかしG20主要国の合意は金融政策一辺倒ではなく、構造改革や財政支出で景気回復を図ることで一致しています。

果たして日銀の技術論に終始する今回の金融政策で、20年以上続く日本の超低金利、プラスとマイナス圏を行き来する低インフレ、そして一向に上向かない景気が好転するのか大いに疑問です。

一方、FOMCの利上げ見送りは大方の予想通りとは言うものの、1月足らず前に米ジャクソンホールシンポジウムでイエレン議長やフィッシャー副議長が唱えた”利上げの時期は迫っている”との発言は何だったのか?

完全雇用と言いながら米経済への懸念はそんなに強いのか?FRB当局の言動への不信感が強まる同時に、むしろ不安感がつのります。

これら日米の金融政策会合直後こそ、主要国の株価は上昇し、商品相場も堅調推移しました。

また為替市場では日銀会合前100.円台前半まで下落していたドル円は発表直後の日経平均の大幅上昇を好感して一時102円台後半まで反発しました。

しかし翌日早朝のFOMC結果発表を経て、先週末から今週にかけて再び株価・商品相場反落、そしてドル円も週初は再び100円台に反落しています。

原因の一つには日銀の金融政策の有効性についての疑念があると思います。

量的緩和継続とはいっても日銀の大量国債購入を受けて、国債買取余地が減少しているとの思惑はかねてからあり、今回の政策転換は量的緩和から金利介入に方向を転換せざるを得なかったとの見方もできます。

日銀の金融政策の有効性に対する疑念が強まれば市場はドル円下落で反応するでしょう。再び100円割れのリスクが高まるものと考えます。

一方米国サイドも今回のFOMCで米経済見通しやドットチャート(FOMCスタッフによる金利見通し)の下方修正が行われており、利上げのペースが更に落ちる(年内利上げがない?)可能性が指摘されます。

加えて本日の米大統領選討論会を皮切りに11月の大統領選へのデットヒートが始まりますが、大統領選を巡る不透明感もドルの重しとなるでしょう。

 

<豪ドル相場>

先週の相場レンジ  AUDUSD 0.7474-0.7674  AUDYEN 76.17-77.53

今週の予想レンジ AUDUSD 0.7550-0.7750  AUDYEN 74.50-77.50

.今週の豪ドルは: やや軟調推移でしょう

先週の豪ドルは米ドルの軟調と商品相場の反発(原油は一時46ドル台に反発)、更にはフィリップ・ロウ新総裁誕生のご祝儀買いもあり76セント台後半、77円台半ばまで上昇しました。

ロウ新総裁とモリソン財務相の恒例の共同声明(Statemento on the conduct of Monetary Policy)でRBAのインフレターゲット2-3%に当面変更がないことが確認されたことも市場には好感されました。

上記のように米ドルを取り巻く環境は厳しく、米ドルの続伸も考え難いことが豪ドルに一定のサポートを与えると考えますが、一方対円ではドル円が再び100円を割る事態となれば豪ドル円も軟調に転じる可能性があります。

更には28日に開催されるOPEC非公式会合への懐疑的な見方(増産凍結に対する)もあることから、豪ドルの買いにもやや慎重であり、OPEC会合の結果は注視する必要があります。

また本日NAB(Narional Australia Bank)の会長は豪州の格付けAAAが格下げされる可能性を指摘し、モリソン財務相も財政赤字削減の必要性を強調するなど、やはり豪州国内要因としては財政問題の解決が急務といえるでしょう。

先週はロウ新総裁誕生へのご祝儀もあり上昇した豪ドルですが、76セント台、77円台では利食いの売りが活発化するでしょう。

 

Have a nice week in advance !!!

 

 

Junax Capital, Sydney

Joe Tsuda

 

☆豪ドルトレーディングにはFXマガジン「Joeの豪ドル道場」をお勧めします。

http://www.fxmagazine.jp/magazine_direct.php?uid=3Gl8j

サンプル例を添付させて頂きます。

「サンプルpdf」ダウンロード

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)

http://www.central-tanshifx.com/

☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)

http://www.gaitame.com/gaitame/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿

 

ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

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