【ACT14日】 オーストラリアの大手上場企業で、経営幹部に占める女性の割合が低下している。最新の報告書では、10年ぶりに後退が確認されたほか、職場でジェンダー平等への反発が強まっていることも明らかになった。企業に対し、男女比率の数値目標を設定するよう求める声が上がっている。
女性経営幹部の支援団体、チーフ・エグゼクティブ・ウィメン(CEW)が発表した最新の調査によると、オーストラリア証券取引所(ASX)上場企業上位200社(ASX 200)で、経営幹部に占める女性の割合は過去1年間で32%から31%に低下した。また、上位300社(ASX 300)では、経営幹部チームが男性のみで構成される企業が増加している。
女性の上級管理職からは、ジェンダー平等への正式な取り組みが続いている企業でも、反発が強まっているとの報告が寄せられた。CEWのヘレン・コンウェイ会長は、2026年版の調査について、「長年の努力によって獲得してきた成果は、もはや当然のものとして維持できるわけではないという警告を、すべての取締役会と経営幹部チームに発している」と述べた。
報告書によると、進展が停滞しているだけでなく、実際に後退が始まっている。ASX 300では、経営幹部に女性が一人もいない企業の数が17社から25社に増加した。また、最高経営責任者(CEO)への登竜門となる主要ポストで、女性が占める割合も2ポイント低下し、18%となった。
こうした人材育成の段階での後退は、経営トップの人事にも表れている。今年、ASX 300で新たにCEOに任命された人のうち、女性はわずか13%にとどまった。2025年には4人に1人だった。現在、ASX 300で女性がCEOを務める企業は31社で、全体の11%を占める。前年より4社増えているものの、依然として少数にとどまっている。
CEWのリサ・アネーゼ最高経営責任者は、こうした後退について、職場文化全体の変化と関連づけている。アネーゼ氏は「世界的にジェンダー平等への公然とした反発が広がるなか、オーストラリアの大手企業で女性の割合が低下したことは、国内の進歩も同じ圧力にさらされていることを示している」と述べた。
今回の調査では初めて、CEW会員を対象としたアンケートも実施された。会員には、国内でも特に上級職に就く女性リーダーが多く含まれる。回答者は、過去12カ月間にジェンダー平等への支持が高まったと感じる場合に比べ、反対が強まったと感じる場合が2.3倍多かった。また、回答者の約3人に1人が、自身の組織内で反発が強まっていると回答した。回答からは、ジェンダー平等が企業の方針から完全に消えたわけではないものの、優先順位が下げられている実態が浮かび上がった。
シドニー大学ビジネススクールのディミトリア・グルーツィス教授は、ジェンダー平等に向けた取り組みが注目や資金などのリソースを失い、代わりに「実力主義」をめぐる議論として捉え直される傾向が強まっていると指摘した。
長期的なデータを見ると、進展はあったものの、その歩みは非常に遅い。過去10年間で、ASX 200の経営幹部に占める女性の割合は21%から31%に上昇した。また、女性CEOの割合も5%から11%に増加している。しかし、現在のペースが続いた場合、ASX 200の経営幹部チームで女性が半数を占めるのは2043年ごろになる可能性がある。CEOの男女比が同等になるのは、2085年ごろまで実現しない可能性があるという。
報告書は、文化的に多様な背景を持つ女性や、先住民出身の女性が直面する、さらに大きな格差についても指摘している。ASX 300の経営幹部チームに所属する女性について、文化的背景を初めて分析したところ、アングロ・ケルト系または北西ヨーロッパ系以外の背景を持つ女性は23.5%だった。オーストラリアの成人女性全体では、この割合は38.9%に上る。
アボリジナルおよびトレス海峡諸島民の女性の割合は、さらに低い。ASX 300の女性上級幹部に占める割合は0.7%未満で、先住民がオーストラリアの総人口に占める割合である3.8%を大きく下回っている。
シドニー工科大学(UTS)の先住民と労働に関する研究・実践拠点のディレクター、ナリーン・ヤング教授は、オーストラリアの企業経営層について、「ブラック(Blak)女性は、ほとんど存在しないも同然だ」と述べた。「Blak」は、オーストラリアの先住民が自らのアイデンティティーを表現する際に使うことのある言葉だ。
CEWは、明確な目標を設定している企業ほど、より良い成果を上げていると主張する。報告書によると、経営幹部における男女比率を「40:40」とする目標を掲げた企業は、目標を設定していない企業に比べ、男女のバランスが取れた経営幹部チームを持つ可能性が4倍高かった。しかし、この基準を導入しているASX 300企業は39%にとどまる。
CEWは企業に対し、男女比率の数値目標を設定して公表すること、経営トップにつながるキャリア形成の道筋を強化すること、組織内部の反発に対処すること、そしてリーダーとしての可能性を評価する基準を広げることを求めている。
ソース:news.com.au – Women lose ground in ASX executive teams as new CEW report warns of growing backlash to gender equity