【ACT21日】 オーストラリアの生活費高騰が深刻化し、安定した仕事に就いている人でさえ、住宅費の負担や慢性的な借金、高額な保険料などに苦しめられていることが、最新の報告で明らかになった。
これまで経済的に余裕があった人たちも困窮に陥り、もともと生活に苦しんでいた人たちは、借金の悪循環や貧困から抜け出せなくなっている。支出を削ったり、さらに働いたり、より安い住居に移ったりする余地さえほとんど残されていないという。
こうした深刻な状況を明らかにしたのが、消費者行動法律センター(CALC)が発表した「生きるためのコスト」報告書だ。VIC州とQLD州の全国債務ヘルプラインで相談にあたる、最前線の金融カウンセラーから集めたデータや情報を分析した。この2州だけで、前会計年度には1万3000人以上が支援を求めて相談窓口を利用した。報告書の著者スーザン・クイン氏によると、その多くが初めてサービスを利用した人だった。
「以前は主にセンターリンクの支援を受けている人から相談を受けていた。しかし現在では、3分の1以上が雇用されているか、自分で事業を営んでいる。これは、生活費危機がオーストラリアで深く根付き、さらに多くの人へ広がっていることを示している」とクイン氏は語った。
特に目立ったのが住宅ローンの借金に関する相談の増加だ。現在では約4人に1人が住宅ローンの返済について相談しており、2022年にはわずか14%だった。「これが現在、私たちが最も多く目にする問題だ」とクイン氏は述べた。
住宅ローン返済に苦しむ人を支援する無料サービス、モーゲージ・ストレス・ビクトリアは、今年最初の8カ月間で支援要請が倍増したことを受け、今月、一時的に新規相談の受付を停止せざるを得なくなった。同サービスは海外の事例を参考に、住宅ローンをより公平かつ低コストにするための対策を提案している。例えば、カナダ、デンマーク、米国、EU、韓国などで導入されている10~50年の長期固定金利型住宅ローン商品の提供などだ。
そのほか、既存顧客に最も有利な金利を提示することを保証する仕組み、返済額の上限設定、住宅ローン保険の廃止または制度改革、金融業界全体で統一された経済的困窮者向け支援制度なども提案している。
クイン氏は、今回の生活費に関する報告書は政府にとって現実を見直す機会であり、現在のオーストラリア人の生活がいかに厳しいかを示すものだと指摘した。「これは個人の失敗や特殊なケースの問題ではない。増え続ける人々に影響を及ぼしている、国家レベルの危機だ」と述べた。
クイン氏が深刻な問題として挙げたのが、税金の滞納だ。約5人に1人が税金の借金について相談しており、「懸念すべき傾向」だという。「この問題にはあまり注目が集まっていない。しかし金融カウンセラーは、人々を支援するのに非常に苦労している。オーストラリア国税局(ATO)が耐え難いほどのプレッシャーをかけており、返済計画にも柔軟性がないためだ」とクイン氏は指摘した。報告書によると、税金の滞納は相談に来る頃には5000~2万豪ドル程度と、比較的大きな額になっているケースが多く、そこに複利で加算される一般利息も上乗せされる。
税務オンブズマンには、2025年7月から2026年4月までに約3000件の苦情が寄せられた。前の期間と比べて127%増加したことになる。ただし、税務オンブズマンは勧告を行うことしかできず、拘束力のある決定を下すことはできない。税務オンブズマンによる調査では、ATOから送られる通知が一貫性を欠き、専門用語が多く、責めるような口調になっているほか、人々のさまざまな事情が十分に考慮されていないことが分かった。
CALCの金融カウンセリング部門でマネージャーを務めるカースティ・ロブソン氏は、経済的困窮に対するATOの理解や対応は、業界のベストプラクティスと比べて数十年遅れていると指摘する。個々の事情に合わせた返済方法がなく、現在の対応がさらなる困窮を招いているという。
納税者は税金の滞納を3年以内に返済するよう求められる一方、その間にも利息が加算される。さらに、ATOは毎月数千豪ドルの返済を求めることが多く、多くの人にとって現実的ではないという。「その結果、ATOは実際にはお金を回収できていない。低額の返済計画を受け入れないからだ」
政府機関を相手にすることで、恐怖や不確実性、不安がさらに増すという問題もある。例えば、GST詐欺をめぐって強制措置を受けたり、刑務所に入ったりした人もいる。
報告書は、ATOに対し、より公平な困窮者支援策を求めている。銀行や電力・ガスなどの公共料金会社と同じように個人の事情を考慮すること、ATO職員の裁量に大きく依存せず標準化された手続きを導入すること、さらに家庭内暴力などの被害を検知・防止し、適切に対応する仕組みを整えることなどが盛り込まれている。
ATOは、一部の納税者が納税義務の支払いに困難を抱える可能性があることを認識していると説明した。「人々の事情は複雑なことが多く、経済的困窮、家庭内暴力、メンタルヘルス上の問題、識字能力の低さ、言語の壁、地理的な不利など、複数の問題を抱えている納税者も少なくない。こうした事情がATOとのやり取りを難しくすることもある」とATOの広報担当者は述べた。
20万豪ドル未満の税金を滞納している納税者は、オンラインまたは専用の電話窓口を通じて返済計画を設定できる場合があるという。「これらの方法を利用できない納税者については、本人または登録税務代理人、BAS代理人と協力し、無理なく継続でき、それぞれの事情に合わせた返済計画を設定して、再び安定した状態に戻れるよう支援している」
「すべての人に当てはまる一律の方法があるわけではない。返済方法や支援策について話し合う際には、納税者一人ひとりの事情を考慮している」ATOによると、多くの場合、返済期間を短くすることで加算される利息を減らし、より早く借金を解消できるという。また、ATOは個々の事情をより適切に把握し、一貫性のある支援を提供するため、脆弱な立場にある納税者への対応に関する枠組みを継続的に見直しているという。
一方、報告書によると、10人に1人が、自動車登録費、医療費、獣医療費など、通常の生活費を支払えないことを理由に国民債務ヘルプラインに相談していた。2020年7月から2026年6月までに賃金は20.3%上昇したが、同じ期間に生活費は28.4%上昇した。報告書によると、雇用されている世帯の支出は平均33.8%増加しており、高金利が大きな要因となっている。
ロブソン氏は、これまで一度も経済的困窮に陥ったことがなかった人たちからも、今年になって相談を受けるようになったと話す。「生活状況そのものに変化はない。ただ、日々の生活費をまかなうことが現実的に不可能になったという人たちだ」クイン氏によると、現在ではより多くの人が、日々の生活を乗り切るための手段としてクレジットを利用している。金融カウンセラーは、過去数年間と比べても非常に高いレベルのストレスや不安を抱えるオーストラリア人に出会う機会が増えているという。
経済的な問題を自分だけでは解決できない、または借金を減らしたいと考えている人には、国民債務ヘルプラインへの相談が推奨されている。クイン氏によると、このサービスではAIを使わず、実際の金融カウンセラーが相談者一人ひとりの状況に合わせてアドバイスを提供している。
ソース:news.com.au – Working Australians pushed to breaking point due to cost of living crisis as debts surge