【ACT12日】 アンソニー・アルバニージー首相は、ベトナムとの安全保障および経済協力を強化する新たな共同声明に署名し、「不確実性が高まる世界」においてオーストラリアの国益をより確実に守ることにつながるとの考えを示した。
戦争や関税措置の影響で世界のサプライチェーン(供給網)が混乱する中、ベトナムはオーストラリアにとって貿易やエネルギー安全保障の面で重要なパートナーとなっている。両国間の貿易額は2020年以降で2倍に増加し、2025年には300億豪ドルに達した。これにより、ベトナムはオーストラリアにとって最も成長の著しい貿易相手国の一つとなっている。ベトナムはオーストラリア産の石炭、鉄鉱石、アルミニウムの主要な輸出先であるほか、多くの留学生を送り出している国でもある。
一方、オーストラリアは燃料供給先としてベトナムへの依存を強めている。アルバニージー首相は12日、共同記者会見で「世界の不確実性が増す中、強靱なサプライチェーンはこれまで以上に重要になっている」と述べた。さらに、「食料、エネルギー、重要物資のいずれについても、両国には貿易を開かれた信頼できるものとして維持する共通の利益がある」と語り、「それは両国の経済、安全保障、そして地域全体にとって利益となる」と強調した。
隣に立ったベトナムのトー・ラム国家主席は、今回の首脳会談について「非常に率直で建設的な話し合いだった」と述べた。同主席は、「まず、政治的信頼と戦略的信頼をさらに深め、持続可能で信頼できる包括的戦略的パートナーシップを発展させることで一致した。それは両国の繁栄と強靱性を促進し、地域の平和と安定にも貢献するものだ」と語った。また、「国際法を基礎とし、互いの独立、主権、正当な利益を尊重しながら、防衛・安全保障分野での協力を強化することでも合意した」と述べた。
ベトナムは、中国との間で南シナ海の領有権を巡る長年の対立を抱えている。オーストラリア国際問題研究所のブライス・ウェイクフィールド最高経営責任者(CEO)は、「今回の訪問はベトナムの外交姿勢が劇的に変わったことを意味するものではない」と指摘した。その一方で、「オーストラリアとベトナムが、海洋安全保障や威圧行為への対抗を含め、地域の安全保障環境をますます共通の認識で捉えるようになっていることを示している」とニュースワイヤーに語った。
トー・ラム主席は10人以上の閣僚を伴い、11日の夜にシドニーへ到着した。今回が2度目のオーストラリア訪問となる。同主席は2016年に公安相としてオーストラリアを訪れており、その当時は反腐敗運動を主導し、歴代大統領2人を含む数千人の政府関係者を失脚させたことで知られている。今年4月には、ベトナム共産党書記長に加えて国家主席にも就任した。
2024年に共産党書記長へ就任して以降は、大規模な行政改革を推進し、省庁級機関を8つ削減するとともに、63あった省・市を34に再編し、郡レベルの行政組織を廃止することで10万人以上の公務員を削減した。こうした権限の集中については、安全保障機関を背景に「誰も対抗できない最高指導者」が誕生したのではないかとの懸念が、専門家や研究者の間で広がっている。
ソース:news.com.au – Anthony Albanese inks security and economic deal with Vietnam