政治

移民制度を大幅改革へ、「制度の悪用」取り締まり強化の方針

【ACT17日】   労働党が長らく検討してきた移民制度改革を発表した。ただし、トニー・バーク内相は、今回の改革について「自分が望むほど包括的ではない」と認めており、政府は連合との今後の協議に余地を残す形となった。

バーク内相は17日、移民制度の大幅な見直しの一環として、すべての訪問者ビザに「さらなる滞在不可条件(no further stay condition)」を付けるほか、外国人留学生向けビザの規則を厳格化すると発表した。これにより、訪問者ビザでオーストラリアに入国した人は、その後、国内からパートナービザなど別のビザを申請して滞在を延長することができなくなる。また、ほとんどの留学生は家族をオーストラリアに同行させることができなくなり、別の一時滞在ビザへの切り替えも大幅に難しくなる。

バーク氏は「政府は移民を支持しているが、移民制度を悪用することには反対している」と述べた。「オーストラリアに来る人のほとんどは、わが国にとって良き訪問者だ。今回の改革は、オーストラリアの現在のニーズに合わせて、移民制度をより適切に運用することを目的としている」と話した。

しかし、ナショナル・プレス・クラブで講演したバーク氏は、今回の改革について「自分が望むほど包括的ではない」と認めた。今回の変更は法改正ではなく、規則の改定によって実施されるためだ。法律を変更するには、上院でグリーンズまたは連合のいずれかの支持を得て、議会を通過させる必要がある。

また、連合が導入を検討している多くの案は、労働党が求めているような法改正なしには実施できないと述べた。そのうえで、国民の前で議論できるようになるまで提案を公表しなかったことについても擁護した。

法改正が必要となる分野の一つとして挙げたのが、保護ビザだ。バーク氏によると、保護を必要としない国の出身者がこの制度を悪用しているという。「彼らは正当な保護申請の理由がないことを分かっている。それでも、『とにかく申請すればいい。上訴制度が終わるまで待つことができるし、裁判制度が終わるまで待つこともできる。オーストラリアで最長9年間働ける可能性がある』と助言されている」と述べた。「申請者のうち85%以上が不認定となっている国からの申請だけを見ても、それが私たちの案件全体の80%を占めている。私は、正当な庇護を求めている人々に決して問題を生じさせない方法で、この問題に対処したい。まともな国であれば、そうした人々のために適切な制度を整える必要がある」と述べた。

バーク氏は、オーストラリアが大量移民の問題を抱えているという指摘について「ばかげている」と述べ、オーストラリアの住宅危機は移民によって引き起こされたものではないとした。一方で、移民数を変更することで、「移民の受け入れ状況を追いつかせる機会」が生まれると述べた。

また、ワン・ネーション党の支持拡大によって移民をめぐる議論が活発になったことを受けた改革だとの見方も否定した。「これらの改革はすべて、昨年から準備が進められていた。私がこれから説明するすべての措置は、今年2月までにはほぼ策定され、正式な形になっていた」とした。

また、留学生向けのビザ変更についても懸念を払拭しようとした。高等教育から就労、最終的には市民権取得へとつながる通常のルートは維持されるとしている。今回の変更では、例えば、ある大学の学士課程から、より安価で評価の低い別の教育機関へ移るといった、同等または下位の教育機関への転籍が制限される。

さらに、今回の改革では「正当な根拠のないビザ申請を意図的に支援する悪質な移民エージェント」への取り締まりも強化する。ワーキングホリデービザについては抽選制度を導入し、技能移民については重要分野を優先する。優先分野には、医療、建設、教育、法執行、国防、資源、農業、養殖業、漁業などが含まれる。

ワーキングホリデーで滞在する人には、地方地域のオーストラリアを支えるため、「地域での就労」も求められることになる。

バーク氏は、2015年以前の移民法執行を強化する方針について、米国で行われている取り締まり、特にICE(米移民・関税執行局)による摘発と比較されることを強く否定した。「2015年以前、オーストラリアではビザの期限を超過した人に対して通常の手続きがあった。ビザの期限を過ぎた場合、その人を収容施設に連れて行き、ブリッジングビザを発給して出国するよう伝えていた」と述べた。「それでも出国しなければ、再び収容施設に入れ、数週間以内に本人が自分で航空券を手配して出国するという流れだった」と説明した。さらに「私たちが行うのは、オーストラリアが2015年以前に常に行っていた方法に戻すだけだ」と述べた。

バーク氏によると、政府はすでに「利用可能な空港近くの」収容施設や、メルボルンにある旧検疫施設について調査しており、再利用する可能性もあるという。

これに対し、グリーンズのラリッサ・ウォーターズ党首は、今回の方針を「トニー・アボットのやり方」であり、「ドナルド・トランプ氏が自身の移民取り締まりのきっかけになったと語っている時代」の政策だと批判した。一方で、ウォーターズ氏は「移民政策は単なる人数の問題ではない。実際にどこで労働力が必要とされているのかを認識する必要がある」と述べた。

アサイラム・シーカー・リソース・センターのコーン・カラパナギオティディス最高経営責任者(CEO)も、政府が「ここで生活を築き、この国に貢献し、ただ所属する機会を求めてきた移民、留学生、庇護希望者を攻撃する道を選んだ」と批判した。

「バーク大臣は、これがドナルド・トランプ氏の移民摘発のようにはならないとオーストラリア国民に納得させるため、かなりの努力をした。しかし、これはオーストラリアの移民収容制度を倍増させることになる」と述べた。

一方、オーストラリア・レストラン&カフェ協会は「オーストラリアには持続可能な移民制度が絶対に必要だ」とした。「レストランやカフェではすでに、シェフ、調理スタッフ、キッチンスタッフ、マネージャー、接客スタッフを見つけることに苦労している。実際に人手不足が起きている業界から労働者を取り除いても移民問題は解決しない。それは経済問題を生み出すだけだ」と述べた。

バーク氏は、新たな法律を制定するのではなく、既存の権限を使って今回の変更を実施する。改革は、2027~28年度末までに純海外移民数を22万5000人まで減らすことを目指している。最新の人口統計では、現在の純海外移民数は29万2000人余りとなっている。政府がこの方法を選んだのは、連合との法改正をめぐる協議が決裂したためだ。

これに対し、アングス・テイラー氏は、今回の決定によって、労働党が移民数を減らしたいのであれば「必要な手段をすでに持っていた」ことが明らかになったと述べた。連合が独自の計画をいつ発表するのか問われた野党党首は、「すでに多くの詳細を示している」と答えた。そのうえで「移民数は住宅供給量に基づいて上限を設定すべきだ」と主張した。

「労働党政権下で見られた人口増加を基にすると、必要な水準と比べて40万戸の住宅が不足している。労働党自身が設定した目標でさえ、その不足分を解消するには7年かかる。これは持続不可能だ。移民数が多すぎるため、若いオーストラリア人は住宅を購入できなくなっている。それだけ単純な話だ。だからこそ、住宅供給量に基づいて移民数に上限を設ける」とした。

留学生向けビザやワーキングホリデービザを対象とする今回の改革については、オーストラリア最大級の輸出産業である大学や農業に打撃を与える可能性があるとの警告も出ている。シドニー大学のマーク・スコット学長は、留学生ビザ制度の見直しに加え、ビザ申請料の引き上げや申請拒否の増加、さらに政治的な発言のトーンが重なることで、「間違ったメッセージ」を送るリスクがあると警告した。

「大臣が今日最終的に発表する内容の詳細を確認したい。しかし、オーストラリアが留学生にとって素晴らしい場所であるという、世界の市場へのメッセージを間違った形で伝えてしまわないか懸念している」とABCラジオに語った。

「シドニー大学に来る学生の大半は、母国に戻り、それぞれの国で影響を与える。一方で、彼らは生涯にわたってオーストラリアの友人でもあり続ける。そして、オーストラリアで留学生を受け入れる最大の恩恵を受けているのは、国内の学生、つまりオーストラリア人学生だ。留学生がもたらす資金によって国内学生の学費が補助され、インフラ整備や研究能力の向上、オーストラリアの大学の国際的な評価向上にもつながっている」と説明した。

さらにスコット氏は、「すべての移民を同じように考えるべきではない」と述べた。「先ほども述べたように、私たちの留学生の大半は母国に戻る。そして、一定期間だけオーストラリアに滞在する別の留学生がその後を引き継ぐ。彼らは滞在中、観光、接客業、高齢者介護などの分野に重要な経済的貢献をしている。そのため、見出しに出る移民数が市場に間違ったメッセージを送らないよう、十分に注意する必要がある」と述べた。

一方、閣僚のタニヤ・プリバセク氏は、メディアの取材に対し、移民制度改革への懸念を軽視し、労働党は純海外移民数を減らすために「体系的に」取り組んできたと強調した。「現在は政権発足時と比べて約45%減少しており、純海外移民数について設定した目標、今年は24万5000人、今後数年間は22万5000人を引き続き達成したい」とABCに語った。

「ただし、それを合理的かつ体系的な方法で実現したい。この国には技能移民が必要だということを私たちは理解している。海外からの移民がなければ、医療制度、高齢者介護制度、農業部門は成り立たない。それを継続する必要があるが、オーストラリアのニーズに応え、オーストラリアの利益を最優先する方法で進めなければならない」と述べた。

ソース:news.com.au – Labor reveals sweeping changes to immigration system in move against ‘rorting’

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