【ACT30日】 夜更かしや旅先での一夜限りの出会い、二日酔いのまま大型バスに乗り込み、ヨーロッパやアメリカ、アジアの名所を巡るといった旅行スタイルは、オーストラリアの若者の間で減りつつある。その代わりに、ローマでランニングクラブに参加したり、ドロミーティ山脈をハイキングしながら、その日のコーディネートを撮影したりするようになっている。
Z世代は、ひと世代前のミレニアル世代とは異なる。若者の旅行に対するニーズが大きく変化したことを受け、18〜35歳を対象にしたグループ旅行を展開するコンティキは、新たな旅行スタイルに対応するため、ブランド・アイデンティティを刷新する。
同社が昨年、18〜30歳のオーストラリア人を対象に実施した調査では、次の旅行の目的として「現地の文化を体験する」と答えた人が43%に上った。一方、「パーティー文化を楽しむ」と答えた人はわずか10%だった。また、その前年に実施された世界規模の調査では、18〜35歳の旅行者の83%が、完全にアルコールを提供しない旅行プランの予約を検討すると回答していた。
コンティキの親会社であるトラベル・コーポレーションでオセアニア地域のマネージングディレクターを務めるトニ・アンブラー氏は、「アルコール消費が確実に減っている傾向がある。朝起きてローマの街を走りたいと考えている。その後、3〜4日たってから夜に出かけるというスタイルだ」と語った。
コンティキのツアーリーダーを10年間務めているブリット・ウィルトシャー氏も、現場で旅行者の行動が明らかに変化していると話す。「夜遅くまで遊ぶことを中心とした旅行から、健康やウェルビーイングを重視するスタイルへと移行している。ツアーリーダーと一緒に街を朝ランニングや散歩で巡ったり、地元産の食材を使ったカフェや農場直送の料理を楽しんだり、おしゃれなジムやピラティススタジオに行ったり、地元の人しか知らない場所から夕日や日の出を眺めたりするようになっている」と、同氏は語った。
コンティキは、これまでブランドの代名詞となってきた大型バスでの交流型ツアー「コンティキ・オリジナルズ」も引き続き提供する。ただし、現在はブランド全体の8カテゴリーのうちの1つにすぎず、ほかに7つのカテゴリーが設けられている。その1つが「コンティキ・アウトドアーズ」だ。
2023年から2026年にかけて、「アクティブ」に分類されるコンティキの旅行商品は2倍に増加した。2023年に初めて登場したアクティブ・アルプス(Active Alps)は、同社初のアクティブ旅行ブランド商品で、この商品だけでも利用者数は856%増加している。
アンブラー氏は、「ドロミーティのハイキングツアーを始めたが、需要に対応しきれないほどだ。出発日を次々と追加している」と話した。山歩きやスキーを目的としない旅行でも、コンティキは新たなトレンドに合わせて内容を調整している。
今回、コンティキはこれまでで最大規模の変革に乗り出す。全254種類の旅行商品のうち、年末までに76種類を新設、または内容を「再構築」する予定だ。これには、旅程を全面的に新しくするものだけでなく、既存のツアーのグループ人数や旅行日数、移動手段を変更するものも含まれる。
アンブラー氏は、冒険や探検を楽しむというコンティキの精神は、世代を超えて変わらないと説明する。ただし、ミレニアル世代は、従来から人気のある観光名所を巡り、行きたい場所を「バケットリスト」から消していくことをより重視していたという。
「一方、Z世代は、私たちが『旅行世代』と呼んでいる人たちだ」と同氏は話す。「長距離でも短距離でも、家族と一緒に旅行する機会が以前の世代より多かったのだと思う。そのため、18歳になって自分で旅行を始める頃には、前の世代と比べてすでに多くの旅行経験を積んでいる。そして、自分が何をしたいのか、どこを訪れたいのか、どのように旅をしたいのかについて、非常に明確な考えを持っている」
同社は、Z世代の旅行者が1つのカテゴリーに固定されるとは考えていない。1人旅なのか、パートナーとの旅行なのか、友人グループとの旅行なのかなど、その時の状況や同行者に応じて、異なるスタイルを選ぶと見ている。ウィルトシャー氏によると、10年前はツアーリーダーが紙の地図を使って街を案内していたが、現在のコンティキの旅行者は、それ以上のものを期待しているという。
「以前は、旅行者自身が地図にルートを描き、必ず訪れたい場所に印を付けることもよくあった」と同氏は話す。「今では、旅行者は現地に到着する前から、訪問先について詳しい知識を持っている。オンラインで地域やレストラン、隠れた名所、文化体験などをすでに調べている。そのため、旅行者が求めているのは単なる情報ではない。地元ならではの知識、本物の体験、自分だけでは簡単に見つけられない場所や機会にアクセスできることを期待している」
コンティキの旅行といえば大型バスを思い浮かべる人も多いが、全254種類の旅行商品のうち、実際に大型バスを使用するのは40%にすぎない。アンブラー氏は、こうした固定観念を払拭することも今回のブランド刷新の重要な目的の1つだと説明する。また、今後はこの40%という割合がさらに縮小すると見込んでいる。
「ヨーロッパでは鉄道を利用する商品が増えると思う。大陸各地の興味深い場所を訪れ、旅行者にできる限り多くの選択肢を提供したい」と同氏は話す。「今回のブランド変革の大きな目的は、旅行に伴う面倒な部分を取り除くための土台を、コンティキの旅行者に提供することだ。手配や交通手段、宿泊先、目的地から目的地への移動など、いわば退屈な部分は私たちが担当する。その一方で、旅の途中は自由度や柔軟性、個人に合わせた選択肢をできるだけ確保したいと考えている。それがZ世代の求めていることだと分かっている。旅を続ける中で、予定を変更できる自由を望んでいる」
例えば、コンティキ・ライトのツアーは必要最低限のサービスに絞り、旅行者が自由に過ごせる時間を多く設けている。また、コンティキは旅行商品を見直すにあたり、ベネチアやサントリーニ島のように、すでに観光客であふれている地域にさらに旅行者を送り込むことも避けたいと考えている。
「私たちの大きな目標は、観光による経済効果が必要とされ、歓迎される世界各地の小さな地域に、若者が足を運べる機会を提供することだ」とアンブラー氏は話す。「観光による収益を、必要としている地域にさらに広く、より多く行き渡らせるにはどうすればよいのか。世界のほかの地域にも事業を拡大する中で、しっかりとした計画を立てている」
すべての旅行プランには、地域社会や環境とのつながりを促す「メイク・トラベル・マター」体験が組み込まれている。これは1月から「ワンダー・ライトリー」体験へと名称が変更される予定だ。アンブラー氏は例として、ポルトガルのポルトで行われている体験を挙げた。「ポルトでは、元少年受刑者で、社会復帰を果たして仕事を探している人たちによるグラフィティ(壁画)ウォーキングツアーに参加する。彼らが私たちの旅行者向けにツアーを運営している」
最近のコンティキのツアーでは、パーティーの機会が大幅に減っている。ただし、完全になくなったわけではない。アンブラー氏によると、Z世代は旅行経験が豊富な世代ではあるものの、まだ十分に旅行する機会がなく、エッフェル塔のような有名な観光名所を訪れたいと考える若者も多い。そうした旅行者に向けて、コンティキ・オリジナルズは引き続き同社の主要商品として提供される。また、夜の社交やナイトライフを楽しみたい人にも適した選択肢だという。
ウィルトシャー氏は、以前の世代がコンティキでのにぎやかな旅行を懐かしく振り返るのは、そこで得られた人との交流が大きかったからだと考えている。そして、そうした交流の機会は、形を変えながら今も残っているという。同氏は、ブランドが時代に合わせて進化することが重要だとし、「ブレーキをかけて、これまでのやり方に固執するのではなく、変化していく必要がある」と話す。
「旅行者は今も新しい人々との出会いや交流、一緒に思い出を作ることを楽しんでいる。ただ、Z世代の旅行者は一般的に、文化や意義のある体験、本物の友情を築くことに、より重点を置いている。人との交流は依然として重要だが、今では自己成長や地域とのつながり、観光名所の訪問、本物の旅行体験と並ぶ要素になっている」
ソース:news.com.au – Contiki rebrands as Gen Z drink and party less, choose health and wellness instead