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教育/留学/習い事

その12 [友情か金か]

Y子

31歳。ものごとをあんまり深く考えていないのでストレスは少ない。自分の身に危険が迫ると恐怖のあまり脳がヒートしてしまい、笑い出してしまうクセがある。以前バンジージャンプをした時、飛び降りた瞬間からケラケラ笑っていた。お化け屋敷でも笑い出すので、お化けにビックリされてしまう。19歳でメイクアップアーティストに憧れて専門門学校へ。その後ファッションショーなどの現場で働くが、給料が安すぎて、家の電気、ガス、水道を止められる。それでもコンビニのトイレや銭湯に通いながら粘り強く続けるが、毎日ツナ缶だけで生活していたため、体重が40kgを切ってしまい最後は栄養失調で倒れてしまうという経験を持つ。彼氏ができると何よりも優先してしまうため友達はほぼいないという残念なタイプ。現在セカンドWHでシドニー滞在中。

どっちを選択するべきか…

こんな干からびた私のもとに、突然グッドニュースが舞い込んできた。何やらガトンから車で1時間ほど離れたところにある町、スタンソープ(stanthorpe)にも大魔人が所有している畑があり、そこの人手が足りないので行ける人を募集しているということだった。作業内容はブロッコリーニという野菜(菜の花とアスパラガスを掛け合わせたもの)のパッキング作業。パッキング作業は室内なので、天気に左右されることがなく安定して稼ぐことができる。しかもガトンから遠く離れているため大魔人は週に1回しか来ないという。彼の目も届かないしご機嫌取りなどしなくてもいい場所だ。これは絶対に行かなければ! こんなところで3ヵ月間何もしないで過ごしていたら、ヒッピーのように昼からダラダラと酒を飲みダメ人間になってしまう。私のような人間は元の生活に戻れなくなってしまうのがオチだ。さっそくA子に思いを伝えるため、彼女の住んでいるシェアハウスに行ってみた。決意を伝えた途端、『Y子と離れたくない、いっしょにいたいよ~』とA子は泣き出してしまった。私たちは本当に仲が良く、A子は妹みたいな存在で、ワガママも可愛く思えてしまうほど。性格も顔も可愛いので、異性からも人気があった。その頃、A子は同じワーカー仲間のひとりからストーキングされて悩んでいた。そのことも心配だったが、もっとやっかいな心配は、大魔人のお気に入りということだった。気に入った子には必ず手を出すという情報もあったので、愛人契約などしてしまったらどうしよう…。おせっかいなオバちゃんになってしまう私。あんな海賊みたいなオッサンに刃物でも突きつけられたら誰も拒むことなんてできないだろう。ここでは法律がねじ曲げられているので、それがまかり通ってしまうだろう。ウ~ン…、余計なお世話かもしれないがA子のことがほっとけない。だけど、こちらも働かなければ飢え死にしてしまう。ここは、お金をとるか、友情をとるか…。とうとう答えが出ないままキャラバンパークに戻ってきてしまった。ここに残るか、スタンソープに行くか…。両方のメリットとデメリットを紙に書き出してみた。これは人生の節目節目で何らかの選択を迫られた時にいつもしていることだった。紙に書くことで頭の中でモヤモヤ考えていることがハッキリするし、書いたものを目で確認して、間違ってないぞと安心できるのだ。結果、どう考えてもスタンソープに行くメリットの方が多かった。行くしかない、A子ごめんね…。翌朝私は大魔人とA子に思いを告げたのだった。

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