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教育/留学/習い事

その25 [クリスマスの呪い]

Y子

31歳。ものごとをあんまり深く考えていないのでストレスは少ない。自分の身に危険が迫ると恐怖のあまり脳がヒートしてしまい、笑い出してしまうクセがある。以前バンジージャンプをした時、飛び降りた瞬間からケラケラ笑っていた。お化け屋敷でも笑い出すので、お化けにビックリされてしまう。19歳でメイクアップアーティストに憧れて専門門学校へ。その後ファッションショーなどの現場で働くが、給料が安すぎて、家の電気、ガス、水道を止められる。それでもコンビニのトイレや銭湯に通いながら粘り強く続けるが、毎日ツナ缶だけで生活していたため、体重が40kgを切ってしまい最後は栄養失調で倒れてしまうという経験を持つ。彼氏ができると何よりも優先してしまうため友達はほぼいないという残念なタイプ。現在セカンドWHでシドニー滞在中。

楽しいクリスマスパーティーのあとに恐ろしいことが起こるとは知る由もない…

クリスマス。私はこの日があまり好きではない。社会人になってからは、いつも仕事をしていてパーティーなんてしたこともなかった。私はクリスチャンじゃないし、仏教徒だし! と自分に言い聞かせクリスマスなんて関係ないもんと高をくくっていた。だが、それにはちゃんとした理由があるのだ。幼い頃のこと、クリスマスプレゼントにリカちゃん人形がほしかった私は、サンタさんに手紙を書いて朝が来るのを待ち遠しく過ごした。しかし朝起きて枕元に置いてあった人形は、リカちゃん人形ではなくなぜか当時流行っていたキャベツ人形だった。このキャベツ人形は顔がキャベツの形をしたちっとも可愛くない人形だった。隣でクスクス笑っている姉が拍車をかけたこともあり、ショックで思い切り声をあげて泣いた。そのあと、父親が不覚にも『ゴメン間違えた』と謝ってきたときにサンタさんがいないことも知った。そしてクリスマスを一日泣いて過ごした。その数年後、小学生の時には好きな子にプレゼントを渡そうと思い、貴重なおこづかいをはたいてプレゼントを買った。それを抱え彼の家の近くでウロチョロしていたら彼のお母さんが出てきて、本人が怖がっているから帰ってくれと言われる始末。その時からクリスマスは特別でもなんでもなく、むしろ虫唾が走る一日となった。そんな経験が影響してか社会人になってからも絶対にパーティーなんかには参加しなかった。期待しても結果は見えているのだ。はしゃいだって無駄だ。キリスト様の誕生を祝いたいならおとなしく教会で賛美歌を歌えばいいのだ。だが国が変われば気持ちも変わるもので、クリスマスに対してそんな卑屈な思いを持っていた私もここではパーティーでもなんでもやって楽しもうという気持ちになっていた。環境とは偉大なのだ。そして、オーストラリアに来て初めてのクリスマスがやってきた。きっと海外に来たという実感を体験することができるだろう。ここには畑以外何もない田舎ということもあってワーカーみんなで料理を持ち寄って、近くのシェアハウスでパーティーをすることになった。ケーキは誰かが作るだろうから私はめんつゆを使って豚の角煮を作ることにした。これなら絶対誰ともかぶらないだろう。仕事を早々に切り上げ、午後からはキッチンの取り合いとなった。このみんなではしゃいでる感じ、つまみ食いをしながらワイワイやりながら料理を作るのは楽しい。パーティーが行われる家に行くとすでにお酒を飲んで酔っ払っている人もいれば、料理を必死に食べている人もいる。総勢50人で歌を歌ったり、写真を撮ったり学生に戻った気分で楽しい時間はあっという間に流れていった。残念なことに次の日も早朝から仕事があったので、一足早く自分の家に引き上げることにした。歩いて帰れる距離なので酔い覚ましにはちょうど良い。やっぱりクリスマスに卑屈になってちゃダメね、などと思いながら部屋に入ると、なんとビックリ!私の部屋に大魔人が居るではないか…。え? 酔っ払って幻覚でも見ているのだろうか。しかし、何度目をこすっても事態は変わっていなかった。状況が把握できないまま、大魔人が話しかけてくる。まずい、みんなパーティーに参加しているので家には誰もいない。とりあえず家の中は危険なので、『暑いから外で話そう』と誘導してみた。大魔人はどこで飲んできたのか完全に酔っている。言葉など、もう通用しなそうだ。手を引っ張って外へ連れていく。次の対応を考えているといきなり腕を捕まれ無理やり抱きついてきた。ヒ~っ…。離せ! クソジジイ。ダメだ。力では勝てそうもない。こんな時スーパーサイヤ人にでもなれたらいいのに。すると天の助けか、一足遅く家の住民がパーティーから帰ってきた。私たちはちょうど玄関にいたので、運よく見つけてくれたのだ。よかった、助かった…。バツが悪くなった大魔人は『ファ●ク! 』と言って酔っ払ったまま車で帰っていった。やっぱりクリスマスには何かしらケチがつくようだ…。

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