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教育/留学/習い事

その6 [ファームで迎える初めての朝]

Y子

31歳。ものごとをあんまり深く考えていないのでストレスは少ない。自分の身に危険が迫ると恐怖のあまり脳がヒートしてしまい、笑い出してしまうクセがある。以前バンジージャンプをした時、飛び降りた瞬間からケラケラ笑っていた。お化け屋敷でも笑い出すので、お化けにビックリされてしまう。19歳でメイクアップアーティストに憧れて専門門学校へ。その後ファッションショーなどの現場で働くが、給料が安すぎて、家の電気、ガス、水道を止められる。それでもコンビニのトイレや銭湯に通いながら粘り強く続けるが、毎日ツナ缶だけで生活していたため、体重が40kgを切ってしまい最後は栄養失調で倒れてしまうという経験を持つ。彼氏ができると何よりも優先してしまうため友達はほぼいないという残念なタイプ。現在セカンドWHでシドニー滞在中。

原始時代かよ! と突っ込みたくなる生活風景

元カレと愛車のバイクで海岸沿いをドライブしている。海から吹いてくる潮風にのって夏の香りが心地良い。首すじや腕や背中がゾクゾクする感覚だ。ん?! ゾクゾク? 目を開けると見知らぬ部屋の天井が見えた。夢か…、私ってば元カレをかなり引きずっているのね。最近頻繁に夢に出てくるのだ。せつない乙女ゴコロね。そんな感情に浸っていたがすぐに現実に引き戻された。カユイ…、首すじが…、腕が…、背中が…、鏡を見ると少し赤くなっているではないか。なんと、ダニの仕業か…。そうだ、昨日ホコリまみれのベッドでそのまま眠ってしまったのだ。まあいい、今回は許してやろう。かゆみ止めも持ってるし、しあわせな夢を見れたのでダニのことは大目にみてやることにした。それにしてもここはどこなのだろう。外へ出てみると、きのう夜中に見たのは小屋ではなくキャンピングカーだったと気づいた。ここはキャラバンパークなのか! ファームで働く人の住居はキャンピングカーやテントというところが結構あるらしいと、前に聞いたことがある。あたりを見まわすと結構な人がいるではないか。ヨーロッパ系、アジア系、中東系の人がいて、ここは多国籍のようだ。みんな決してキレイとは言えない格好をしてるけど悪い人たちじゃなさそう。大魔人、私を売ろうとしてたワケじゃなかったのね! 疑ってごめんなさい。エヘっ。そんな反省をしているとヨーロッパ系の女の子に『Hello! 』と話かけられた。話しを聞くと彼女は私と同じキャンピングカーに住んでいるらしい。そういえば奥の方に部屋があったな。彼女は陽気なフランス人で、私に興味を持ってくれたらしく、いっしょにランチを作ることになった。歳も近いらしく、話しに花が咲き、能天気でポジティブな私だが問題が生じると結構引きずってしまうというような、ディープな部分にまでつっこんで語っていた。そんな私に彼女は人生観について語り出した。 『人生はさざ波のように問題が生じては消えてそのくり返しなのよ』 本当にそう思う。 『でもそれは絶好の機会なの。それを乗り越えて人は成長できるのよ』 ごもっとも。 『でもそれを他人や運命や神のせいにする人、自分にその原因があるとは考えない人は、いつまでも成長できないわ』 これには度肝を抜かれた。今までの人生で問題が生じたとき人のせいにばかりしていた。お金がないから買ってもらえないおもちゃも親のせいにしたし、学校の成績が伸びないのは先生の教え方が悪いんだと言っていた。そして大好きな彼と別れたときも、自分に原因があるなんてちっとも考えなかった。なんだかスッキリしてきたぞ。もしかしたらこの天使のようなフランス娘との出会いは、私のこり固まった考え方をいい方向に導いてくれるかも! 能天気でポジティブな私が戻ってきた。

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