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教育/留学/習い事

その13 [往きはよいよい帰りは怖い①]

Y子

31歳。ものごとをあんまり深く考えていないのでストレスは少ない。自分の身に危険が迫ると恐怖のあまり脳がヒートしてしまい、笑い出してしまうクセがある。以前バンジージャンプをした時、飛び降りた瞬間からケラケラ笑っていた。お化け屋敷でも笑い出すので、お化けにビックリされてしまう。19歳でメイクアップアーティストに憧れて専門門学校へ。その後ファッションショーなどの現場で働くが、給料が安すぎて、家の電気、ガス、水道を止められる。それでもコンビニのトイレや銭湯に通いながら粘り強く続けるが、毎日ツナ缶だけで生活していたため、体重が40kgを切ってしまい最後は栄養失調で倒れてしまうという経験を持つ。彼氏ができると何よりも優先してしまうため友達はほぼいないという残念なタイプ。現在セカンドWHでシドニー滞在中。

ボロボロだけど初めての大きな買い物

日本にいた時からの夢。それはオーストラリアを車でラウンドするということ。オーストラリアの強い日差しの下でサングラスをかけ、カーステレオから流れる洋楽を口ずさむ。マクドナルドでドライブスルーして買ったハンバーガーをほお張りながら片手でハンドルをきる。思い描いただけでウットリしてしまう。この夢を叶えるためずっと車がほしいと思っていた。スタンソープに行くことを決意し、そこではたくさん稼げるという情報を聞いていたので、移動する前に少ない貯金をはたいて車を買うことにした。ネットで中古車を探しているとタイミング良く安値で日本車が売られている。なんと、$1300! なんだか運命のめぐり合わせかしら…? 即決で購入することにした。電話での交渉も無事終わり、初めての大きな買い物に胸がバクバクしていた。また鼻血がでそうだ…。これで夢が一つ叶うのだ! だけどひとつ不安が…、引き渡し場所がガトンから車で2時間ほど離れたゴールドコースト。日本ではペーパードライバーだった私。ゴールドコーストのような都会(?)の道を走って帰ってこれるだろうか…。気弱になった私はファームで仲良くなった男の子についてきてもらうことにした。結局はいつも人に助けられる人生…(スミマセン)。翌日、早速バスでゴールドコーストへ向かい、いざ、ご対面! グレーの三菱マグナだった。ちょっとオヤジくさいけど、そこは大目にみよう。塗装がハゲて少しポンコツな気もするけど車は車だ。走ればいい。夢が叶ったのだ! 帰りは絶対マクドナルドでドライブスルーしなくちゃ。早々に代金を払い、陽が沈む前にゴールドコーストを出発。ブリスベンへ向かい、そこから高速を下りて下道でガトンまで帰る。事前に道を調べておいたので安心して車を走らせていた。しかしものごとはそんな順調にはいかない…。ガソリンの補給ランプが点滅しだした。ヤバイ、ガソリンがなくなる…。その時すでに下道を走っていたので、車を止め通行人にスタンドの場所を聞いてみることに。すると、このまま進んでも当分スタンドはないという。仕方がないので予定の道を変更しスタンドを探すことに。それから数時間さまよい、辺りは暗くもう深夜近くになっていた。しかし行けども行けども灯りは見えない。『どんだけ田舎なんだ』と突っ込んでいると、いつの間にか森の中に迷い込んでしまったようだ。月の光もおぼろげで外は闇に包まれていた。車のライトの光でカンガルーの死体が見えた。気味が悪い…、どうしよう…。でもこの道を戻ってもスタンドはない。ガソリンのメモリはもうゼロになっていて、いつ車が止まってもおかしくない状況だった。それでも先に進んでいると小さな灯りが見えた。助かった~! 灯りに近づいていくとそれは民家だとわかった。家には車が駐車してあったので、少しガソリンを分けてもらえればそれで充分。すがる思いで戸を叩いた。すると、ドア越しに何か言っている。何を言ってるのかわからなかったので、とりあえず『ヘルプミ~』と言うとドアがゆっくり開いた。そしてその瞬間から動けなくなってしまった。おそらく頭の中が真っ白になって、脳がヒートしてしまったのだろう。おじさんが私に拳銃を向けていたのだ…。

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